『グッド・ドクター』とあるエピソードでの自閉症スペクトラムの描写が物議

人気医療ドラマ『グッド・ドクター 名医の条件』は、天才的な能力を持つ、自閉症でサヴァン症候群の天才医師ショーン・マーフィー(フレディ・ハイモア)が、医師として成長していく姿が感動的に描かれるヒューマンドラマ。本作は高い評価を得る一方、一部の視聴者や団体の間では、自閉症スペクトラムの描かれ方が問題視されているようだ。

『グッド・ドクター』シーズン2第17話「夢の終わり」で…

米Colliderによると、特に視聴者の間で物議を醸しているのが、シーズン2第17話「夢の終わり」で描かれたシーンだという。このエピソードでは、患者から巨大な腫瘍を除去する手術に参加できなかったショーンが、外科部長であるハン医師のオフィスを訪れ、「外科医に戻してくれるまで動きません」と宣言。

感情を抑えきれずに、「僕は外科医です」と何度も何度も同じ言葉を繰り返すのだが、自閉症スペクトラムを患う人が見せるメルトダウン(パニック状態)の描写に「疑問が残る」と問題視されているとのこと。

長年にわたり、映画『レインマン』などをはじめ、ハリウッドでは自閉症を患うキャラクターの描写がステレオタイプ化され、医学的な信憑性も疑わしい上に表現のバラエティにも欠けるため、自閉症の人々が間違った先入観を持たれかねないと懸念されていた。

ドラマや映画などで自閉症スペクトラムのキャラクターがメルトダウンを起こすシーンを大げさに描くことは、ある意味、パニック発作や不安発作なども含め、自分ではコントロールできない身体的・心理的な症状を揶揄することになり得る。

ここ数年、『グッド・ドクター』の人気が高まるにつれ、多くの障害者支援団体が、この番組が自閉症スペクトラムをどのように表現し、このテーマに関する独自の調査をどのように行なっているのか、その問題点を指摘してきた。

フレディがショーンの自閉症の特徴を演じる際に、自閉症の啓蒙活動を行なっているNPO団体「Autism Speaks」の情報を参考にしていたことが明らかになると、自閉症の問題意識を広める擁護者の多くが、『グッド・ドクター』における自閉症スペクトラムの描き方を許した「Autism Speaks」を非難したと伝えられている。

『グッド・ドクター』の他に自閉症スペクトラムのキャラクターを描くドラマシリーズには、Netflix製作の『ユニークライフ』や『ハートブレイク・ハイ』、『TOUCH/タッチ』などがある。視聴者が自閉症の人々に対して間違った固定観念や先入観を抱かないよう、キャラクターやストーリーの正しい描写が必要となるだろう。

『グッド・ドクター』はNetfliix、U-NEXTなどで配信中。

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