大ヒット医療ドラマ『ER 緊急救命室』のショーランナーを務めたジョン・ウェルズが、同作の中で最も不満を感じた指摘について告白している。
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『ER 緊急救命室』ショーランナーが明かす、放送当時の「衝撃的なNG要求」
大ヒット医療ドラマ『ER 緊急救命室』のショーランナーを務め …
今との人種の考え方の違い
米The Hollywood Reporterのインタビューに答えたウェルズは『ER』の初期にさまざまなストーリーラインについて議論があったことを明かした。その内容には、「黒人のキャラクターが白人のキャラクターとキスしてよいのか」という疑問や、グロリア・ルーベン演じるジェニー・ブレがHIV陽性であることをどのように描くべきか、などがあったという。
「『ER』時代には、人種をテーマにしたストーリーラインについて大きな議論がありました。“この黒人のキャラクターがこの白人のキャラクターと本当にキスしていいのか?”という話です。1998年に! 私は“皆さんは、何言ってるの?!”と感じていました。また、『ER』シーズン3の大きなストーリーラインの一つに、グロリア・ルーベン演じるキャラクターがHIV陽性になるというものがありました。これについては彼女は生き延びるんですか? 生き延びるべきですか?という議論もありました。HIVは恐ろしいものです。でも、すでに世界には多くの人が向き合って闘っていましたし、感染者の死を示すことは、私たちが伝えたいメッセージではありませんでした」
ジョン・ウェルズの発言が示す『ER』初期製作時の状況
『ER』で行われていた議論は、2020年代では当たり前のような考え方でも、1990年代当時はためらいがあったことを示している。異なる肌の色を持つ二人のキャラクターがキスするという設定は、今では論争の的にもならないが、当時はそうではなかったのだ。
また、HIVのストーリーラインは、ジェニーが夫から感染し、診断されるところから始まったが、その物語は彼女の死で終わるのではなく、感染を抱えながらも人生を続けていく様子を描いた。当時、彼女がウイルスで死なないという展開は画期的な試みとみなされた。
『ER』における不満の多い制作上の指摘についての見解
議論の必要なテーマを取り上げるという点において、『ER』は医療ドラマの先駆者だっただけでなく、テレビにおける包摂的な物語の道を切り開いた存在であり、物議を醸す可能性のある題材にも深く踏み込んで、重要な問題に取り組んだ。