スティーヴン・スピルバーグ製作『バンド・オブ・ブラザーズ』がテレビ史を変えた理由とは?

2001年に米HBOで放送されたリミテッドシリーズ『バンド・オブ・ブラザーズ』は、スティーヴン・スピルバーグ監督と名優トム・ハンクスがクリエイターを務めた戦争ドラマ。今もなお傑作として新旧ファンに愛されている本シリーズが、テレビの歴史を変えた理由を米Screen Rantが論じているので紹介したい。

テレビ史上最高額の製作予算

『バンド・オブ・ブラザーズ』は、スティーヴン・アンブローズのノンフィクション小説のドラマ化で、第二次世界大戦における米陸軍第101空挺師団と第506歩兵連隊、第2大隊E中隊の訓練から対ドイツ戦の勝利と終戦までを描く。

本シリーズがHBOで初放送された2001年のテレビ界といえば、シットコムなどのコメディ作品が主流で、シリアスなドラマや大作に挑戦しても、そのクオリティは映画と比べて明らかにクオリティが劣り、製作に投じられる予算も圧倒的に少なかった。

しかし、そんな劣勢にあったテレビ番組の状況を一転させたのが、他でもない『バンド・オブ・ブラザーズ』だった。10話構成のシリーズは“10時間の戦争映画”と呼んでも遜色ないほど画期的で、ようやく視聴者は映画並みのコンテンツを自宅で楽しむことが出来たのだ。驚くほどリアルなスペクタクルで描かれたシリーズでは、衣装や装備、舞台セットの細部に至るまでリアリズムを追求して注意が払われた。当時、その製作予算は歴代ドラマシシリーズにおいて最高額となり、番組の予算は約1億2500万ドル。各エピソードの平均予算は1250万ドルに達し、それ以前では考えられないような数字だ。

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テレビドラマの格付けが一気に上がる

また、製作費に負けないほど素晴らしいストーリーなくしては、テレビドラマの歴史は変えられない。製作チームは実話と実在の人物を基にした物語を映像化するうえで、当時を再現するために綿密な調査を行ない、その膨大なリサーチにより、驚くほど現実に忠実な物語を映像として蘇らせたのだ。

『バンド・オブ・ブラザーズ』のクオリティの高さと成功、それまで映画界を拠点にしていたスピルバーグとトムが参加した功績で、テレビドラマの格付けが一気に上がり、映画とテレビの垣根が取り払われる一歩を踏み出すことになる。それ以降、数多くの映画スターがドラマシリーズに出演するようになり、HBOをはじめとするケーブル局はドラマ作品に予算を割くようになった。この状況の変化は、『バンド・オブ・ブラザーズ』の存在なくしては実現しなかったかもしれない。

スターたちを輩出

また本シリーズには、『HOMELAND』『ビリオンズ』のダミアン・ルイス、『セックス・アンド・ザ・シティ』のロン・リヴィングストン、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのメンバーから俳優に転身した『ブルーブラッド ~NYPD家族の絆~』のドニー・ウォールバーグ、『ウォーキング・デッド』のマイケル・カドリッツ、『ミッション:インポッシブル』シリーズのサイモン・ペッグをはじめ、後に映画やドラマ界で大活躍するスターを輩出した貢献度も大きいと言えるだろう。

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Photo:HBO公式Twitter(@HBO_UK)より