2010年代、Netflixの台頭に合わせるように『LAW & ORDER ロー&オーダー』や『CSI:科学捜査班』など、人気の犯罪捜査ドラマが打ち切られていった。この時、テレビ関係者は基本的に1話完結の犯罪捜査ドラマよりも『ビッグ・リトル・ライズ』や『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のような1シーズン通して語られる物語の方が配信サービスに適しているとの見解を示したという。(New York Timesより)
しかし、新しいメディアの形の中でも生き残り、繁栄し続けているシリーズもある。
エピソード数の多さが理由?
ニールセンによると、『クリミナル・マインド 行動分析課』(2005-2020)、『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』(2003-現在)、『ブラックリスト』(2013-現在)、『BONES -骨は語る-』(2005-2017)などは配信サービスで最も視聴された番組の1つになっているという。
実際に、2021年に配信サービスで最も視聴された番組は『クリミナル・マインド』で、話題を呼んだ『イカゲーム』や『ブリティッシュ・ベイクオフ』、『ブリジャートン家』などを抑える結果となった。2022年で見ても、『オザークへようこそ』や『ミラベルと魔法だらけの家』よりも『NCIS』が視聴されているのだ。
これらネットワーク発の犯罪捜査ドラマの視聴されている理由の1つに、エピソード数の多さが挙げられる。『クリミナル・マインド』は全15シーズンで300話以上あり、1度見始めると自動的に次のエピソードを再生し続けてくれる。反対に、1シーズンを通して語る物語はエピソード数が少ない傾向にあり、『イカゲーム』は全9話で見終えることができる。
ハードルの低さも魅力
また、見始めるにあたりハードルが低いことも魅力と言えるようだ。ぼーっとしたり、スマホをスクロールしていても展開についていけないということがなく、複雑な物語を理解するためにさまざまな考察を探す必要もない。
『アリー・myラブ』や『ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル』などの人気シリーズを生み出したプロデューサーのデヴィッド・E・ケリー曰く、何時間も時間を割くことはできないが「何か見たい」と思う視聴者にとって、ある程度パターン化される1話完結の犯罪捜査ドラマは「ちょうどいい」のだという。
「少なくとも3、4話を見ればシリーズの全体を把握できた気分になり、食事をするかどうか考える余地があるでしょう」
『CSI』や『NCIS』、『FBI:特別捜査班』などは国際市場でも人気が高く、『クリミナル・マインド』においては配信サービスでの好調を受けて、Paramount+でリバイバル版となる『クリミナル・マインド/FBI vs. 異常犯罪:エボリューション』がスタートしている。
日本においても、近年は“考察系”と言われるドラマがSNSを中心に話題を呼んでいるが、『相棒』や『科捜研の女』などは根強い人気を誇り続けており、安心して見ることのできる番組の人気は今後も長く続いていきそうだ。(海外ドラマNAVI)
Photo:『クリミナル・マインド FBI行動分析課』(c) ABC Studios/『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』©2022 CBS Broadcasting, Inc. All Rights Reserved./『NCIS:LA ~極秘潜入捜査班~』©2022 CBS Broadcasting, Inc. All Rights Reserved./『NCIS:ハワイ』©2022 CBS Broadcasting, Inc. All Rights Reserved./『ブラックリスト』© 2013, 2014 Sony Pictures Television Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved./『BONES』©2017 Fox and its related entities. All rights reserved.