2022年ベストLGBTQドラマ&映画!来年日本上陸の注目作品も

今年もたくさんの個性豊かな作品が発表されたLGBTQ映画&ドラマ。この記事では、米Indie Wireが選ぶ2022年ベスト作品の中から、特に押さえてほしい作品をピックアップしてご紹介。

ドラマ編

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』

Netflixで配信された英国出身アーティストのアリス・オズマンによるベストセラー・グラフィックノベルを原作にした青春BLドラマ。男子校を舞台に、ラグビー部のニックに恋をしたチャーリーの恋模様を描く。

『セックス・エデュケーション』や『好きだった君へのラブレター』と近い系統で、初々しい恋にキュンとさせられること間違いなし。原作コミックへのオマージュもファンからは好評。“好き”という気持ちにフォーカスしたハートフルドラマはシーズン2の製作も決定済みだ。チルドレンズ&ファミリー・エミー賞を受賞したニック役のキット・コナーはじめ、若手スターたちの活躍からも目が離せない。

『プリティ・リーグ』

アマゾンプライムで配信中の青春スポーツドラマ。1992年に公開されたトム・ハンクス主演の名作をシリーズ化した本作は、同じ精神を引き継ぎながらも全く新しい作品に。

女性がスポーツをすることは既に急進的な時代になっていた1940年代を舞台に、全米女子野球リーグの入団テストを目指す主人公カーソン・ショウはじめ、夢をかなえようと諦めないキャラクターたちのドラマは、観る者を掻き立て、胸を熱くさせる。アビ・ジェイコブソン演じるカーソンもさることながら、シャンテ・アダムズ演じるマックスももうひとりの主人公で要注目。

『海賊になった貴族』

U-NEXTで配信中の海賊船を舞台にしたシットコム。『 ソー:ラブ&サンダー』で監督・脚本・声優を務めるなどマルチに活躍するタイカ・ワイティティが本作でも製作総指揮と出演を兼任してその才能を発揮。そのユーモラスなコメディに注目が行きがちだが、意外にも時間をかけてゆっくり展開していくロマンスとしても楽しめる。

18世紀に自分で船を“買って”海賊になった実在の人物スティード・ボネットにインスパイアされた本作では、スティードと伝説の海賊“黒ひげ”が恋に落ちるなど、たくさんのクィアカップルが登場。1作でこんなにも様々なクィアカップルを見せてくれる作品はなかなかない!

『Pバレー: ストリッパーの道』

Apple TVやアマゾンプライム、LIONSGATE+などで配信中のクライムドラマ。ピューリッツァー賞受賞作家のカトリ・ホールが手掛けた本作は2年ぶりの待望の新シーズンが本国で解禁。

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ノンバイナリーのストリップクラブを創めたクリフォードとラッパーのリトル・マーダーとの複雑な関係をはじめ、野心的なストリッパーたちや複雑な事情を抱えた客たちの見応えのあるドラマが展開。ポストコロナ時代のアメリカの描き方として最も優れているという評価も。

『ザ・ステアケース ―偽りだらけの真実―』

U-NEXTで配信中の本作は、2001年に実際に起きた事件を基にしたクライムドラマ。作家マイケル・ピーターソンの自宅階段下で妻キャスリーンが死亡。転落してしまった事故死ではなく事件として扱われ、容疑者には目撃者である夫マイケルの名があがった。その後、家族がマイケルの無罪を主張するも通らず、いまでは同性愛嫌悪として悪名が知れ渡っているノースカロライナ州裁判で、バイセクシャルだったマイケルは起訴されることになる…。

2018年にNetflixで発表されたドキュメンタリー『ザ・ステアケース ~階段で何が起きたのか~』はじめポッドキャストなどでも取り上げられている注目度の高い事件を、夫婦役を演じるコリン・ファースとトニ・コレットという豪華キャスティングで改めて見つめなおしている。

『産婦人科医アダムの赤裸々日記』

日本ではWOWOWで放送された医療ドラマ。元産婦人科医のジュニアドクターであるアダム・ケイが自身のミリオンセラー医療自叙伝を基に、クリエイターを務めてシリーズ化。主演は『FARGO/ファーゴ:カンザスシティ』のベン・ウィショーが務める。

舞台となるのは新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、医療従事者にスポットライトが当てられるようになる前の2006年。誰も医療現場で働く者の精神や健康を気にすることのなかった当時、激務で疲労困憊になったアダムの日々を描いていく。ただひたすらに睡眠が欲しいアダムに対し、彼氏はデートを期待し、友達は友達っぽいことをしてと願い、両親は男性同士の結婚を認めず理想を押し付けてくる。さらには、自分のセクシュアリティが理由でキャリアに影響が出るかのではと心配は絶えない。ワークライフバランスなどに悩まされるアダムは見れば見るほど他人事とは思えないはず。

映画編

『リベンジ・スワップ』

Netflixで配信された映画『リベンジ・スワップ』。レズビアンであることが知られていた作家パトリシア・ハイスミスの小説を原作にしたアルフレッド・ヒッチコック監督作『見知らぬ乗客』にインスパイアされたダーク・コメディ。主演は『リバーデイル』のカミラ・メンデスと『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のマヤ・ホークが務めるほか、『ダッシュ&リリー』のオースティン・エイブラムズら若手スターも集結。

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名門私立校で人気者の女王として君臨していたドレアは、彼氏マックスの裏切りで一気にその座から転落。地味で冴えない転校生のエレナと手を組んで復讐に挑む青春ドラマには、フェミニスト風刺も散りばめられており、男子だけが敵というような単純な話ではないことを見せていく。“10代はサイコパス”というセリフに表れているように、ティーンの容赦ない攻撃は痛い!辛い!

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

2023年3月に日本公開が予定されているアクション・コメディ。今最も次回作に期待が寄せられるスタジオA24の最新作で、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』『ウィッチャー 血の起源』などアクション作品への出演が続くミシェル・ヨーが主演を務める。

問題山積みの人生を送っていたエヴリンが突如マルチバースに迷い込み、様々な並行世界を行き来するという突拍子もない設定なのだが、そのなかのひとつでジェイミー・リー・カーティスとのクィア・ロマンスが登場。家族へのカミングアウトや世代間の理解の違いなどを伝える以上のことがなされていて、純粋な喜びに心を動かされるはず。

『TAR(原題)』

2023年日本公開が決定したケイト・ブランシェット主演の映画。ケイトが演じるのはヨーロッパの名門音楽団で指揮者として活躍するマエストロのリディア・ター。天才的能力と、たぐいまれなるプロデュース力で、のし上がってきた女性だ。しかし、重圧、過剰な自尊心、仕掛けられた陰謀により、彼女の心の闇は少しずつ広がっていき…。

ケイトが演じるレズビアンといえば『キャロル』を思い出す方も多いはずだが、本作のケイトは冷淡で薄情な一面を見せていてイメージが一変するかもしれない。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『HEARTSTOPPER ハートストッパー』はNetflixにて配信中