【訃報】『ボーイズ'ン・ザ・フッド』ジョン・シングルトン監督、51歳で死去

1991年の映画『ボーイズ"ン・ザ・フッド』でアカデミー賞監督賞にノミネートされ、その後『ワイルド・スピードX2』『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』『シャフト』などでも監督として活躍、米FXの麻薬取引を描いたドラマ『スノーフォール』のクリエイターも務めたジョン・シングルトンが、現地時間4月29日(月)、ロサンゼルスの病院で亡くなった。享年51。

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シングルトン監督は、去る4月17日(水)、脳梗塞でロサンゼルスのシダーズ=シナイ病院に緊急搬送されていた。そして29日(月)未明、家族が病院の集中治療室にいた彼の生命維持装置を外すことを決断したという。緊急搬送から13日間、意識が戻らないまま帰らぬ人となってしまった。

家族と友人が見守る中、静かに息を引き取ったというシングルトン。遺族は、「シダーズ=シナイ病院の素晴らしい医師の尽力とお心使いに感謝しております。そしてこの大変な時期を、たくさんの愛とサポートでジョンを支えてくださったファンの皆さん、友人、仕事関係者の皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです」と声明を発表している。

シングルトン監督といえば映画界を中心に活躍しているイメージがあるが、近年はドラマ界でも活躍。『スノーフォール』でクリエイターを担当したほか、『Empire 成功の代償』『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』『ビリオンズ』といった人気シリーズでエピソード監督も務めていた。また、ジャンカルロ・エスポジート(『ブレイキング・バッド』)、ミケルティ・ウィリアムソン(『HAWAII FIVE-0』)、ブランドン・クイン(『アントラージュ★オレたちのハリウッド』)らが出演する米BETの『Rabel(原題)』のドラマシリーズも手がけていた。

この訃報を受けて、監督に関わった業界関係者より悲しみのコメントがソーシャルメディアに綴られている。

バリー・ジェンキンズ監督(『ムーンライト』)
「残酷だ。こんなことは言いたくないが、今の気持ちなんだ。残酷すぎる」

モリス・チェスナット(『ボーイズ"ン・ザ・フッド』)
「ジョン。彼は私にチャンスをくれました。彼の革新的な映画が世界中に与えた衝撃と重要性は、社会にとって測りきれないものでしょう。ジョン・シングルトン、ありがとう。世代を、国を、人種を、社会を繋いでくれて。安らかに」

コートニー・B・バンス(『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』)
「シングルトン監督と共に仕事ができる素晴らしい機会を持てました。そして出演した『O・J・シンプソン事件』は私の俳優人生で最も重要な作品となったのです。監督は唯一無二の人でした。彼のあの声と存在がもはやこの世界にはないのかと思うと寂しい限りです。ですが彼の作品の精神と、何世代もの映画関係者に影響を与えた炎の軌跡は、ずっと生き続けることでしょう」

アンジェラ・バセット(『ボーイズ"ン・ザ・フッド』)
「初めてオーディションで会った時のことを一生覚えています。彼は配慮深く、オープンで何よりも意欲的な人でした。そして今までずっと変わることなくそうでした」

サミュエル・L・ジャクソン(『シャフト』)
「彼は若き監督たちの道標だった。そして常に自分自身に正直でいる人だった。安らかに。早く逝き過ぎだ」

ヴィオラ・デイヴィス(『殺人を無罪にする方法』)
「軌跡を残せる人生は最高です。人間はこの地球上で、自分よりも大きな何かを残していくのです。ジョン・シングルトン、あなたは多くの世代のアーティストのインスピレーションでした。安らかに」

ロン・ハワード監督(『ビューティフル・マインド』)
「残念なニュースだ。素晴らしい監督だった。彼の作品と、彼の思いを込めた声は皆に惜しまれることだろう。安らかに」

若干24歳の時に史上最年少で、またアフリカ系アメリカ人として初めてアカデミー賞監督賞にノミネートされるという偉業を成し遂げ、その後の映画界、TV界に多大な影響を与えた。彼の残した作品は、世代を超えて受け継がれていくことだろう。シングルトン監督のご冥福を祈りたい。(海外ドラマNAVI)

Photo:

ジョン・シングルトン
(C)ElenaBaso/FAMOUS