大人気シットコム『フルハウス』では父親のダニー・タナー(ボブ・サゲット)が一家を支えるが、どうして彼の妻であり、3人の娘の母親であるパメラがいないという設定になったのだろう。その理由を米Screenrantが伝えている。
家族の絆が原動力!『フルハウス』という作品
試練や苦難、何かを成し遂げたときなど、登場するキャラクターたちの人生の様々な瞬間を描いた『フルハウス』。家族の絆と、愛する人たちと助け合いながら日常生活を送ることがシリーズの原動力となっている。"フルハウス(満員)"という文字の通り、また比喩的な意味でも、この家族に一体感があることは確かだ。
本作では、ダニーと彼の3人の娘、D.J.(キャンディス・キャメロン)、ステファニー(ジョディ・スウィーティン)、ミシェル(アシュレイ&メアリー=ケイト・オルセン)を中心に、ダニーの親友ジョーイ・グラッドストーン(デイヴ・クーリエ)と娘たちの叔父ジェシー・カツォポリス(ジョン・ステイモス)らが主要キャラクターとして登場する。タナー家の娘たちには母親がいない一方で、父親のような人物が3人いるのだ。
パメラの不在が『フルハウス』に与えるもの
ちなみに、パメラは飲酒運転の被害者となり亡くなったという設定。実はシーズン2で、クリスティ・ハウザー(『L.A.LAW/七人の弁護士』)演じるパメラが、古いホームビデオで一度だけ作中に登場もしている。
本作の前提は、パメラがいなくなった後に大家族がどのように機能するかという点にある。皮肉な話だが、母親の突然の死があったからこそ、ダニーとジェシーとジョーイ、そしてタナ―家の娘たちによる大家族の関係は成立しているという側面があるといえる。
また『フルハウス』が放送された当時、家族をテーマとしたシットコム(シチュエーションコメディ)は決して目新しいものではなく、‟男女の夫婦が子どもを育てる”という作品はすでにいくつも出てきていた。その中で本作は、3人の全く異なる男性(いずれも互いに血のつながりはない)が3人の女の子を育てるという独自の設定を展開。(※ちなみに、もともとは子どもたちの存在がない、全く異なる企画だったという。)
お互いへの愛情を深めていくことで、キャラクター同士の絆が強くなっていくだけでなく、母親を亡くした子ども(DJ、ステファニー、ミシェル)、妻を亡くした夫(ダニー)、姉を無くした弟(ジェシーはパメラの弟)、そして友人を亡くした友(ジョーイ)が、"大事な存在をなくした"というトラウマ的なそれぞれの心の空虚をも埋めていくのだ。
さらに、パメラの死はこの作品にさらなるリアリティを与えている。ジョークと笑いが満載の作品でありながら、そこに登場する彼らは強い喪失感と苦痛を経験している。タナー家の一員であったパメラの死は、生き残った家族の人生に大きな穴を開けたが、そうした悲しみのうえに成り立つ幸せがあることや、その悲しみを共有して乗り超えるからこそ生まれる絆があることを教えてくれる。
(海外ドラマNAVI)
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