『Glee』記念すべき第100話は、旧シーズンのファン、映画ファン、音楽舞台ファン、誰もが楽しめる内容に!!

苦難を乗り越え、ついに100話目の放送を迎えた『Glee』。3月18日と25日の2部で構成する力作エピソードで、クイン役(ディアナ・アグロン)やパック役(マーク・サリング)、ブリトニー役(ヘザー・モリス)、アンバー役(メルセデス・ジョーンズ)、マイク役(ハリー・シャム・ジュニア)ら、オリジナル・キャストが集結し、それぞれに見せ場が用意されている。彼らが過去に評判の高かった人気の楽曲をリミックスで新たに披露していくのだから、それだけで、番組ファンにはたまらないだろう。メルセデスの歌声は健在だし、ハリーのキレキレなダンス技術はアジア系俳優としても見ていて爽快である。

スペシャル・ゲストも再登場

中でも、久々にこのドラマに戻って来たディアナ・アグロンにはどうしても視線が向いてしまう。それは、単にこの100話&101話で、彼女のスクリーン・タイム(画面に登場している時間)が物語上かなり長いから、と言うだけではない。月日を経て再び見る彼女には、あか抜けたオーラがあるのだ。

彼女は昨年公開の映画『マラヴィータ』でロバート・デ・ニーロやミシェル・ファイファーら大ベテランたちと家族として共演、その後もダーレン・アロノフスキー製作の作品に名を連ねるなど、映画界でのキャリアを押し進めている。今、現在も映画の撮影中だ。さらなる厳しいステージでの経験が、彼女に自信を深めさせているのだろう。顔つきもグッと引き締まっている。

そして、エンターテインメントに徹した『Glee』には、過去に登場したスペシャル・ゲストも再登場。ブロードウェイのスターだったエイプリル・ローズ役のクリスティン・チェノウェスと、さらに代理教師だったホリー・ホリデイ役のグウィネス・パルトロウがグリークラブに現れる。クリスティンはまだまだ日本では馴染みのやや薄い米国スターかもしれないが、彼女は生粋のブロードウェイ出身女優。その歌声も演技力にも確立したキャリアが伴っている。昨年のアカデミー賞授賞式で、司会のセス・マクファーレンと共に、式のエンディングで「敗北者の歌♪」をユーモラスに歌い上げたあの女性!と言えば、『Glee』を見ていない方でもピンとくるはずだ。

粋で楽しいのは、リー・ミシェル、クリス・コルファー、アンバー・ライリーがクリスティン・チェノウェスの目の前で歌う「自由を求めて♪(Defying Gravity)」は、もともとクリスティンが自身の出世作のNYの大ヒット舞台『ウィキッド』で、歌っていた曲。この曲こそ、現在大ヒットでアニメの史上第1位の興収の座についた『アナと雪の女王』でエルサ役を演じたイディナ・メンゼルが、かつて舞台でクリスティンと共に歌い、イディナをNYのミュージカル界でスターダムに押し上げた珠玉の名曲なのだ。

一方グウィネス・ パルトロウは、マシュー・モリソンらと共に、やはり本年のアカデミー賞授賞式を大いに盛り上げたファレルの「ハッピー♪」を軽快なリズムで歌い踊る。この曲には、旧メンバーも新メンバーも全員が参加するのでとっても楽しい。曲をファンが選んだタイミングも(もちろん偶然だろうが)実に旬の、抜群のタイミングとなった。その他、ディアナとヘザーと、ナヤ・リヴェラがセクシーに魅了する「トキシック♪」には、男性ファンは釘付け(笑)、女性ファンも格好の良さに憧れるに違いない。

2話連続で、とにかく楽しさと笑顔の溢れるこの記念エピソードだが、もちろん、旧メンバーが久々に揃っている以上、懐かしい顔をお互い見れば、そして想い出の曲を一緒にまた歌えば、実際の撮影中はこみ上げて来るものが山ほどあったはずだ。それを見せずに演じ続けた彼らはプロである。『New Directions』と名付けられた101話は、その想い出を大切に心に抱きつつ、これまでの環境を一気に振り払うかのように、その名の通り"新たなそれぞれの方向" に向かう、節目のエンディングになっている。最後の曲名は、ファンの方々ならもうご存知なのでここには書かないが、足りない何かを埋めよう、次へ飛び立とうと、ステージで歌う全員の姿が胸を打つ。

誰がNYへ向かうのかも明らかになり、いよいよ、第6シーズンの大フィナーレに向けて、"終わりの旅が始まる"、そんな記念の『Glee 100』だった。

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