『ブロードチャーチ~殺意の町~』森川智之さん独占インタビュー!

英ITVで34.2%という驚異的な視聴率をたたき出したクライム・サスペンス『ブロードチャーチ~殺意の町~』。現地イギリスでは同じ時間帯にTVを観た人の三人に一人が視聴していたという本作は、米国でもリメイクされるほどの大ヒットドラマ!  WOWOWプライムでの9月21日(日)の第1話先行無料放送および9月27日(土)の一挙放送に先駆け、デヴィッド・テナント演じる主人公アレックの吹替を担当する森川智之さんに、ドラマの魅力やアフレコ現場の様子などをうかがってきました!

 

――『ブロードチャーチ~殺意の町~』はどんなドラマなんでしょう? どんなところが魅力だと思いますか?

ブロードチャーチという小さな海沿いの町で、11歳の少年ダニーが殺害されるという事件が起きます。その捜査にやってくるのが主人公の刑事アレック。彼はいわゆる"よそ者"という立場で、ダニー殺害事件の捜査に挑みます。容疑者となるのは、個性的な町の住人たち。誰が犯人でもおかしくないほど、みんながみんな怪しいんです。視聴者は"よそ者"のアレックの視点で、彼と一緒になって犯人当ての謎解きを楽しめる、そんなドラマですね。とにかく展開を予測できないところが、このドラマの面白さだと思います。

――主人公のアレックはどんなキャラクターですか?

アメリカのドラマとは違って、ヒーロー然としていない人物ですね。"いかにも主人公!"という感じじゃなく、一見どこにでもいるようなタイプ。初めて画面に登場した時からカリカリしていて、とっつきにくい雰囲気もあります。それなのに、事件の捜査の進展と同じくらい、彼の存在にも注目せずにはいられなくなってくるんです。観ているうちにいつの間にか好きになってしまう、そんな不思議な魅力を持ったキャラクターですね。

オープンな性格として描かれていないからこそ、そこにリアリティを感じる部分もあります。最初はあまり印象が良くないけれど、付き合っていくうちに良さが見えてくる。「人との出会いってこういうものだよね」と、アレックというキャラクターを通じて思いました。

 

――アレックを演じてみていかがですか?

これからアフレコ収録も大詰めというところまできてるんですが、僕たち日本語版キャストも、台本をもらうまで次の展開を知らないんです。「この人怪しいよね?」「いや、こっちの方が怪しいかも」と、推理で大いに盛り上がってます(笑)

そういうわけで、僕もドラマの中のアレックと同じ目線で、手探りで前に進みながら演じています。視聴者の一人として楽しませてもらっている感覚すらありますね。

――では、日本語キャストのみなさんも犯人が誰なのかまだ知らないんですね?

そうなんです! 第1話の収録の時点と今とでは、自分の中の犯人の推理も変わってきてます。何だかもう、この"ブロードチャーチ"という町そのものが犯人なんじゃないかと思えてきました(笑)。小さくて閉鎖的な町そのものが生み出してしまった事件、そういう側面もあるのかもしれないと感じています。

――ちなみに、当初の森川さんの犯人の推理は?

第1話の印象では、被害少年ダニーの父親のマークが犯人だと思いました。とにかく彼、怪しいんです(笑)。何か都合が悪いことを隠しているようで、息子が亡くなっても妙に冷静なんですよ。ただ、第2話あたりからどんどん混乱してくると思います。捜査の進展とともに住人たちの裏の顔が明らかになるにつれて、みんながみんな怪しく見えてくるんです。

しかも、町にとっては"よそ者"であるアレック自身も、ある意味いわくつきの人物。過去に携わった事件の捜査でのトラウマのようなものを抱えていて、彼の身の上に起きる個人的な問題もあって。事件を解決するためには、まずはアレック自身の問題を解決すべきなんじゃ? なんて考えていると、どんどん混乱してくるんです(笑)

 

――アレック以外の登場人物も個性派揃いのようですが、森川さんお気に入りのキャラクターはいますか?

みんなお気に入りですが、中でも特に気になるのは、被害少年の祖母にあたるリズ。なぜかと言うと、彼女だけが"普通"というか"まとも"なんですよ。みんながみんな怪しい中、彼女のまともさが際立つんですよね。あとは、ダニーの友達のトムも気になる存在。子どもなんだけれども、むしろ大人たちよりもいろいろ知っているように感じられて。子どもの視点で、見てはいけないものをいろいろ見てしまっているというか。彼の動向には注目してます。

――では、アレックを演じているデヴィッド・テナントについての印象もうかがいたいのですが。

『エスケープ・アーティスト 無罪請負人』の主人公ウィル役に続いて、デヴィッド・テナントさんの吹替を担当するのは2回目です。僕が吹替えた役柄によるところが大きいのかもしれませんが、最初は「ひょろっとしていてちょっと不健康そう」という印象を受けましたね。でも、デヴィッドさんの素顔のスナップを見たら、とてもキュートで。普段は笑顔が似合うのに、刑事役や弁護士役の演技ではストイックな表情を見せる。そのギャップが彼の魅力だと思います。男の僕から見てもカッコイイ。だらしのない格好をしていてもカッコ良く見えるところが、キマッてる!と思いますね。

――デヴィッド・テナントの演技についてはいかがですか?

とっても柔らかいというか、自然な演技をする人だと思います。吹替を担当する立場からすると、役者さんによって"声のアテやすさ"みたいなものがあるんですが、デヴィッドさんはアテやすい方ですね。トリッキーではなくスタンダードな芝居をしているのに、時々想像もしないような表情や動きを見せてくれるので、声をアテていても楽しいです。

――アメリカで製作されている『ブロードチャーチ~殺意の町~』のリメイク版でも、デヴィッド・テナントが主人公を演じているようですが。

そのようですね。リメイク版が日本上陸したら、ぜひぜひまたデヴィッドさんの吹替を担当したいです! オリジナルとリメイク版の作風にどんな違いが生まれるのか、デヴィッドさんがどんな演じ分けをするのか、とても気になります。

 

――話は変わりますが、収録現場の雰囲気はいかがですか?

先ほども触れましたが、みんな犯人当てで盛り上がってます(笑)。独自の推理を展開したり、大いにツッコミを入れたり。収録では、自分の役が犯人だと信じているからなのか、セリフを怪しげに言い過ぎちゃう人もいて。そんな時は、「今の芝居は怪し過ぎる!」とディレクターからダメ出しが出ることもあるくらいです(笑)。

とは言え、みんなまだ真犯人を知らないわけですから、思い込みや先入観を持たずに演じられているのは良かったと思います。自分の役が犯人だと分かった上で演じることが、芝居のアダになることもあるので。ブロードチャーチは小さな町で、住人みんなが顔見知りという設定ですから、奇をてらった芝居をした場合もディレクターからNGが出ますね。僕はまだ出してないですけど(笑)

――では最後に、海外ドラマファンへのメッセージをお願いします!

海外ドラマのファンの方々なら、きっと気に入ってくれる作品だと思います。字幕版に比べて日本語吹替版はセリフなどの情報量が多いので、ぜひ細かいところも聞き逃さず、見逃さず楽しんでください。デヴィッド・テナントさん演じるアレックと一緒にブロードチャーチの町をめぐっているつもりで、犯人当ての面白さを一緒に体験してもらえればと思います。

まずは9月21日(日)の第1話先行無料放送をご覧ください! 第1話を観たら、きっと第2話目以降も観たくてたまらなくなるはず。第1話はもちろん第2話目以降は、9月27日(土)に全8話一挙放送でお届けします! 一挙放送とはいえ1話1話の間には一息つく時間もありますから、ご安心を(笑)

...と言いながら、僕はまだ一挙放送でドラマを見た経験がないんですよ(笑)。 きっと一挙に見たら、そのドラマの世界にどっぷり浸れるんだろうと想像してます。どうぞみなさん、お楽しみに!

――森川さん、ありがとうございました!

 

この日は、インタビューのあとに実際のアフレコの様子も見学させてもらいましたが、収録に集まったキャストのみなさんの数が多いのにはビックリしました! 登場人物は町の住人たちということで、スタジオ内の人口密度は通常の海外ドラマのアフレコ現場の倍以上だったかも。まさに、スタジオが「ブロードチャーチ」の縮図!? 閉鎖的な海辺の町が、そっくりそのままスタジオ内に再現されているかのようでした。

そんな『ブロードチャーチ~殺意の町~』、ぜひみなさんも刑事アレックになった気分で思いっきり楽しんでください!

 

 

Photo:森川智之さんインタビュー 『ブロードチャーチ~殺意の町~』 (c)ITV Network Ltd & Kudos Film and Television Ltd 2013