『ハドソン川の奇跡』モデルとなったサリー機長、イーストウッド監督に直談判!?

10月1日(土)と2日(日)の週末興行成績では2位をキープし、2週目もなお好調な数字を維持し大ヒットとなっている『ハドソン川の奇跡』は早くもアカデミー賞有力候補の呼び声が高く、主要部門でのノミネートが確実視されている。主人公は、奇跡と呼ばれた航空機事故の当事者でベテランパイロットのサリー機長。事故が起きた時の心境やイーストウッド監督に伝えた映画への思いを明かした。

機長は当時の心境を、意外にも死ぬことは考えなかったと冷静に振り返る。「両方のエンジンが停止したのはとても突然だった。でもこの問題を解決する方法を見つけられる自信はあった。たった208秒という限られた時間だったけれど、唯一実行可能な選択はハドソン川への着水だったんだ」。技術的にも相当な腕前を持つ機長だからこそできたことであり、乗員乗客155人全員生存という偉業を成し遂げた。しかし本当の苦しみは事故後に待っていた。「事故が起きてから一度に30分以上眠ることが出来なくなってしまった。悪夢を見ることも多かった。それに血圧と脈が正常に戻るまで2カ月半かかったよ」と後遺症に悩まされる日々を過ごしていたことを告白。

実はこのような描写は、機長自らが監督にできる限り忠実に再現してほしいとリクエストしていたそう。それは「この映画で描かれていることは僕の人生なんだ。クリントに『あなたには次の作品があるかもしれない。でも僕らは自分たちの人生を生きることに戻っていく。多くの人たちがこの物語を見ることになって、それが観客にとっての真実となり、それが僕らになるんだ。僕らはそういったことと自分の人生でずっと付き合っていくことになるんだよ』と伝えたんだ。そうしたら彼もそのことを明確に理解し、僕らをちゃんと扱いたいと思っていたんだ。それは映画を見たら明らかだよ」と理由を語った。

また機長は自分だけが英雄ではなく、副機長やキャビンアテンダント、パニックにならなかった乗客、救助隊など事故に関わった人全員が一丸となったからこそ、全員が救助されたことに言及した。「あの日、誰もが自発的に行動を起こして団結し、それぞれが自分の役割を果たした。だからこそ全員の命が救われたんだ」と一人だけの手柄ではなかったことを謙虚に語っている。こうしたサリー機長の謙虚な人柄に誰もが魅了されてしまうからこそ、容疑者となったサリー機長の過酷な運命に誰もが心揺さぶられることは間違いないだろう。(海外ドラマNAVI)

Photo:チェズレイ"サリー"サレンバーガー機長、トム・ハンクス&クリント・イーストウッド(『ハドソン川の奇跡』)
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