『24』シーズン1の衝撃再び!食わず嫌いじゃもったいなさすぎる『24 -Twenty Four- レガシー』

全世界で大ヒットを飛ばしてきた『24 -Twenty Four-』シリーズ。2014年の『24: Live Another Day』以来に戻ってきた待望の最新作『24 -Twenty Four- レガシー』は、全米での放送時にシリーズ史上最多となる2034万人もの視聴者数を記録し、シリーズの人気の高さをあらためて証明してみせた。

これまでとは違う点、主人公がジャック・バウアーではないということでまだ観ていない人がいるかもしれないが、それで"食わず嫌い"しているとしたらもったいない! この最新作は、『24』ファンへの仕掛けと愛がたっぷり詰まった作品に仕上がっているのだ。大きな衝撃を与えた傑作、本家のシーズン1を思い出させると言っても過言ではない

 

エミー賞で10部門にノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞ではジャック・バウアー役のキーファー・サザーランドが主演男優賞を受賞したシーズン1。おびただしい数の作品が放送されているドラマ部門では放送1年目だとノミネートを果たすことすら非常に珍しく、その点からも本作の評価の高さがうかがい知れる。シーズン1がこのように例外的に高評価を集めた理由として、リアルタイムで24時間の出来事を追う、スプリットスクリーンや時計のカウントダウンを利用するといったコンセプト、ビジュアルの面白さが目を引いたのも一因だが、キャラクターや設定をゼロから作り上げたからこそのサスペンス感が見事だったというのは大きい。

ドラマシリーズの場合、話数を経るごとにメインキャラクターたちのことがより分かり、愛着が強まるという特徴があるが、サスペンス要素の強い作品だと、その反面、キャラクターの性格や作品における重要性をすでによく知っているからこそ、その人が裏切らなかったり、死ななかったり、次にどういう行動を取るのかがある程度は予想できてしまう。そして、キャラクターありきで話を作るようになると、ストーリーを展開させる上である種の制限も生じる。もちろん、キャラクターが成長していくからこその面白さや、それを逆手に取ったツイストもあるのだが、『24』シリーズで"サスペンス度数"が最も高かったのはシーズン1と言えるだろう。なぜなら、観ている側にとって最初の段階では「CTU(テロ対策ユニット)捜査官のジャック・バウアーが主人公」ということ以外、誰が敵で誰が味方なのかも全く分かっていなかったのだから

 

ジャックは何があっても死なない、CTUか政界に必ず裏切り者がいる、デヴィッド・パーマー大統領やトニー・アルメイダは信頼できる、クロエ・オブライエンはどんなシステムも突破できる、ジャックの娘キムはトラブルメイカーである、といったシリーズのお約束もまだ確立されていなかったからこそ、次の瞬間にどんな展開を見せるのかが一切読めず、各エピソードを新鮮な気持ちで楽しむことができたのだ。

そういう意味で、「再始動」となったこの『24 -Twenty Four- レガシー』は、そのシーズン1に戻ったかのような作品。主人公が米軍エリートのエリック・カーターである、ということ以外は白紙の状態なので、まっさらな気持ちでドキドキワクワク、時にハラハラしながら観ることができる。ただし、白紙状態でのスタートながら、「一秒ごとに事件は展開する」という従来の流れはしっかりと継承。そのスピーディーな展開は、最初の10分で主人公がテロリストに襲われるほどで、シリーズ史上最速と言ってもいいかもしれない。

 

一方で前述したようなシリーズのお約束要素も押さえているほか、これまでアフリカ系や白人女性が演じてきた大統領クラスの役にプエルトリコ系の俳優をキャスティングしたり、CTU内にシリーズ初の同性愛者カップル(別れた後だけど)が描かれたりと、よりアップデートされた要素も盛り込まれている。さらには、本家で人気のキャラクターが再登場したり、馴染み深い人物の親戚が出てきたりと、ファンに嬉しい仕掛けも。つまり、"食わず嫌い"どころか実際には"美味しいとこ取り"の作品なのだ。さすが、ジャック役のキーファー・サザーランドをはじめ、ハワード・ゴードン、ブライアン・グレイザー、ジョン・カサーといったシーズン1から同シリーズに関わってきたスタッフが集結しただけのことはある。

 

そして、ジャック・バウアーに代わる主人公エリック・カーターも、高い戦闘能力を持っていたり、現場にあるものを使って敵に対抗したり、家族に問題を抱えていたり、以前の任務のトラウマに苦しんでいたりと、ジャックを彷彿とさせる強みや弱みを持っている。無謀としか思えないような計画を立てて、それをなんとか実現させてしまうところも前任者と同じだ。一方で、初登場時点で30代半ばだったジャックよりさらに若い20代ということもあり、体力や体のキレはジャック以上。シーズン終盤には人気キャラクターとの対決シーンもあり、『24』ファンは必見だ。

 

時系列としては『24』シリーズの最も新しいストーリーでありながら、最後まで観てみると前日譚的な作品とも言える『24 -Twenty Four- レガシー』。これを観ればジャック・バウアーの物語もこれまでとはひと味違った形でとらえることができるはずだ。第1話を現在PlayStation™Videoで無料配信中(7月21日まで)なので、この機会にぜひ"一口"味わってみてほしい

『24 -Twenty Four-』シリーズはPlayStation™Videoで配信中。

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『24 -Twenty Four-』
『24 -Twenty Four- レガシー』
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