LAスクリーニング2017 :FOX作品紹介

2017年も行ってきました、LAスクリーニング! NAVI編集部スタッフが一足お先に鑑賞してきた新作ドラマをスタジオ別にご紹介していく特別企画。

FOXといえば、『THIS IS US 36歳、これから』、『アメリカン・ホラー・ストーリー』、『プリズン・ブレイク』などの作品を手がけているスタジオ。サスペンス色も入った医療ドラマや、『X-MEN』TV版など、日本上陸も期待したい良作が揃った。

■目次
『The Resident』:『リベンジ』や『グッド・ワイフ』からあの人が!サスペンス要素もある一味違った医療ドラマ
『Ghosted』:まるでコメディ版『X-ファイル』!
『The Gifted』:『トゥルーブラッド』のあの人が主演!『X-MEN』実写ドラマ
『Snowfall』:アカデミー賞ノミニ―が手掛ける麻薬ドラマ
『LA to Vegas』:コメディ俳優ウィル・フェレルが手掛ける飛行機内を舞台にしたコメディ

※タイトル、クレジットはLAスクリーニング2017開催時のものです。実際の放送時には異なる場合があります。

■『The Resident』

#TheResident is coming soon to FOX.

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映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の主人公ハッサン役で堂々とヘレン・ミレンと渡り合ったマニシュ・ダヤルが主役の夢と希望に溢れる研修医デヴォンに、鼻持ちならないが超優秀でデヴォンのメンターとなる医師コンラッドに『グッド・ワイフ』のマット・ズークリー、彼らが勤務する大病院の院長役にはブルース・グリーンウッドと、演技派キャスト勢揃いの医療サスペンスドラマ。

デヴォンはハーバード大医学部を卒業し、いよいよ研修医として由緒ただしき社ステイン・パーク病院で勤務することになり心踊っていた。だがそれも束の間。デヴォンの監督担当となった医師コンラッドは初っ端から鼻持ちならないイヤなヤツ。優等生のデヴォンを軽んじた皮肉や容赦ない言葉浴びせかける。怒り心頭で辞めるのもじさない気分のデヴォン。しかしやがて、自分の驕りがゆえに患者に対して致命的ミスを犯しかけた時にセーブしてくれたコンラッドの様子を見て、なぜ彼が容赦ない態度を取ってくるかを理解する。表向きにはズケズケ物をいう嫌なヤツに思えるが患者を深く気にかけ、曲がったことが嫌いなコンラッド。そんな彼は、名医と謳われ大病院の院長でもあるベルが、患者の命に関わる持病を隠し持っていることに気づいていた。その日も簡単な手術に執刀中、患者の大動脈を傷つけ死に至らしめたものの、周囲のスタッフは医療業界で生きていけなくなることを恐れて口をつむいでいる。そんなベルに対してコンラッドは真っ向から対決しようとするが...。

タイトルの"レジデント"というのは"住人"という意味もあるが、医療界では見習いドクターすなわち研究医のことを指す。米TV業界で相変わらず人気の医療ドラマだが、本作パイロット(=新番組の第1話目)には、アンジェリーナ・ジョリー主演映画『ソルト』やハリソン・フォード主演の『パトリオット・ゲーム』や『今そこにある危険』などを手掛けた有名監督フィリップ・ノイスを迎えており、シリーズを通して巨大な医療ミスの隠滅を暴くという、サスペンス要素も濃い一味違った医療ドラマになっている。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:FOX
放送局&放送開始日:未定
製作総指揮:アントワーン・フークア(『マグニフィセント・セブン』)など
出演者:マニシュ・ダヤル(『マダム・マロリーと魔法のスパイス』)、マット・ズークリー(『グッド・ワイフ』)、ブルース・グリーンウッド(『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』)、エミリー・ヴァンキャンプ(『リベンジ』)ほか

 

■『The Orville』

Welcome aboard #TheOrville. We"ll see you this fall on FOX.

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舞台は西暦2418年。エドは連邦宇宙局の劣等生。艦長になれる器なのにドジばかりで戦艦業務とはとんとご無沙汰している。だが人手不足のお陰でやっとエドにもチャンスが! だが、キャプテンを務めることになった戦艦は、有名な"スター・トレック"とは似ても似つかない地味ィ~な宇宙戦艦オーヴィル号。スタッフ不足で副操縦士もいないまま、昔馴染みの右腕的存在であるゴードンと、ひと癖ある寄せ集め隊員たちで物資配達任務に就く。最終地に着く前に副操縦士が着任するとの知らせが入るが、それを見たエドがパニックを起こす。副操縦士として着任することになったのは、苦い離婚を経験して以来、会っていなかった元妻のケリーだった。火花を飛ばし合う元カップルを昼メロ鑑賞のノリでエンジョイする乗組員たち。やがて到着した惑星では物資を配達する以上に困難な使命がエド一行を待ち受けていた。

日本でも大ヒットしたコメディ映画『テッド』のクリエイターであるセス・マクファーレンが製作総指揮と主演兼ねるSFコメディで、完全に人気シリーズ『スター・トレック』をパロっており、スター・トレックやスター・ウォーズのファンだと余計に笑えるコメディ。パイロット版の監督は『アイアンマン』のジョン・ファヴローが手がけており、製作陣の作品に対する気合が伺える。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:FOX
放送局&放送開始日:FOX 2017/9/10
製作総指揮: セス・マクファーレン、ジョン・ファヴローなど
出演者: セス・マクファーレン、チャド・L・コールマン(『ウォーキング・デッド』)、スコット・グライムズ(『ER 緊急救命室』)ほか

■『Ghosted』

You never know when they might be coming... #WorldUFODay #Ghosted

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全米で人気のコメディシリーズ『ザ・オフィス』のダリル役で知られたコメディ俳優クレイグ・ロビンソンと、『プリティ・リトル・ライズ 〜セレブ・ママたちの憂うつ』でエド役を演じるアダム・スコットが主演の『X-ファイル』をパロディにしたようなコメディ。

マックスはスタンフォード大学の教授だったが、奥さんが宇宙人にさらわれてから異星人の探求に固執しすぎて大学からクビにされる。一方、元ロサンゼルス市警で行方不明捜査専門の刑事だったリロイも訳ありでクビになり今やモールで警備員をするというショボい生活に身をやつしていた。ところが、そんな二人がいきなり誘拐されて連れて行かれたところは、SFチックな最新機器がそろったアンダーグラウンド・ビューローという場所だった。極秘で宇宙人を捜査しているというその機関はマックスとリロイに行方不明になっている捜査官を探して欲しいと依頼する。他にやることもないし引き受けたはいいがチグハグ・コンビで捜査前からドタバタ騒ぎ。やがて出くわした場所で人間を装っている者の自らの頭をすげ替えている超不気味なヤツに遭遇。どうやら地球に侵入しているエイリアンらしく、おまけに人類の運命はふたりの手中に委ねられているとわかり...!?

日本では未公開作品ばかりだが、クレイグは数々のコメディ映画に出ておりアメリカでは名の知れたコメディアン。そこに居るだけで笑える、心底コメディアンといったタイプのクレイグと、神経質なおっちょこちょい役が上手いアダムのコンビで、どんな番組にしてくれるかが楽しみ。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:FOX
放送局&放送開始日:FOX 2017/10/1
製作総指揮: ナオミ・スコット(『母が教えてくれたこと』)クレイグ・ロビンソン、アダム・スコットなど
出演者:クレイグ・ロビンソン、アダム・スコット、エディ・パターソン(『カリフォルニケーション』)、アディール・アクタル(『Utopia -ユートピア-』)ほか

■『The Gifted』

You can't escape what you are. #TheGifted is coming to FOX this Fall. #AreYouGifted

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勢い止まるところ知らずのマーベル・ユニバースが、『X-MEN』シリーズの監督ブライアン・シンガーを製作総指揮に迎えておくる新シリーズ。

X-Menたちは伝説と化し、人間にはないスーパーパワーを持った者たちはミュータントとして迫害され、たとえ子どもといえども容赦無く親から引き離されて収容所に送られてしまうという恐怖政策が幅を利かす世界となっていた。そんな折、少年アンディは自分の感情が高ぶると周囲の物が壊れるという現象に訳が分からず怯えていた。アンディの父親リードはミュータントたちを起訴する連邦弁護士。アンディは悩みを姉のローレンにすら打ち明けられず辛い日々を送っていた。

そんなある日、アンディが学校で札付きグループにいじめられたことからパワーが全開し、校舎を崩壊させてしまう。ローレンもこれまで上手く隠していたが実はミュータントだった。迫害は覚悟で自分のパワーを使って弟を救い出し、連邦政府の追っ手から逃れるためにアンディと身を隠す。リードはビル崩壊の責任が息子にあるという知らせを受けて愕然とするが、家族より大切なものは他にない。妻と一緒に二人の子どもたちを探し出し、ミュータントの援護活動をする地下組織に送り届けようと必死の画策をする。仲介拠点となっている場所で、嫌々ながらも手助けをするミュータントたち。やがて追っ手の手が伸びグループは絶体絶命に追いやられる。果たして彼らに救いの道はあるのか?

父親リード役には『トゥルーブラッド』のスティーヴン・モイヤー、地下組織のリーダー格マルコにはヒット・シリーズ『REIGN/クイーン・メアリー』やSFサスペンス『インコーポレイテッド』と立て続けに出演し、注目株の英国俳優ショーン・ティールが抜擢されている。他のマーベル作品よりはやや低年齢層をターゲットにしているようだが、番組の真髄に流れる「家族愛」あるいは世界的な問題となっている「差別」といったテーマは、一般視聴者の興味を誘うことになるだろう。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:FOX
放送局&放送開始日:FOX 2017/10/2
製作総指揮: ブライアン・シンガー(『レギオン』)、マット・ニックス(『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』)など
出演者:スティーヴン・モイヤー、エイミー・アッカー(『パーソン・オブ・インタレスト』)、ブレア・レッドフォード(『理想の夫婦の別れ方』)ほか

■『Snowfall』

From powder to power. The official #SnowfallFX trailer drops tomorrow.

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1991年にロサンゼルスの貧困地帯に住む黒人少年たちを描いた映画『ボーイズ"ン・ザ・フッド』で一世を風靡し、2005年度監督作品『ハッスル&フロウ』では主演のテレンス・ハワードがアカデミー賞にノミネートされるなど、黒人社会を描かせたら屈指のジョン・シングルトン監督が今回は製作総指揮で参加の問題作。

1983年。まだサウス・ロサンゼルスが"サウス・セントラル"と呼ばれていた頃のことだ。コカインよりも依存度が高く安価で手に入った"クラック"と呼ばれる違法ドラッグがアメリカ中で横行していたころが舞台となる。

貧困地帯サウス・セントラルに住むフランクは19歳。家計を補うために叔父のレオンを手伝ってマリワナを売る商売をしていた。単価が低いためいくら売っても生活が楽にならない。かたやCIA内部では南アメリカでの共産主義化阻止のために、ドラッグ密輸団の利益を利用してニカラグアのゲリラを援助するという違法な作戦が着々と進行していた。捜査官だったテディは自責の念がうずくのを感じながらも主導権を握ることとなり、後に悪名高いCIA作戦の渦中にはまっていく。一方、贅沢な暮らしを夢見るフランクは、コカイン売買で得られる収入がマリワナ売買の比較にならない高利益であることを知る。コカインを売ることは自分の中でのモラルの一線を超えることとなり、危険度もマリワナのそれとは比較にならないことを知りつつも、地元のディーラーと手を結び売人の道を突き進む選択をする。

80年代のサウス・セントラルに住んでいた黒人たちは現代にも増してことに特殊な英語のアクセントやスラングを使用しており、同じアメリカ人でも戸惑うことがある。だが驚くなかれ、主人公フランクを演じる新人俳優デイムソン・イルバは生粋のイギリス人。オーディションでデイムソンに課された最終テストは、実際に"サウス・セントラル"(現サウス・ロサンゼルス)のギャングの巣窟に行き、地元の人間と交わることだった。監督の懸念に反して、完全にローカルの人間と同化していたデイムソンにシングルトン監督は舌を巻き、その場でデイムソンにフランク役に決定したという。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:FOX
放送局&放送開始日:FX 2017/7/5から放送中
製作総指揮:デイヴ・アンドロン(『JUSTIFIED 俺の正義』)など
出演者:セルヒオ・ペリス=メンチェータ(『バイオハザード IV アフターライフ』)、エミリー・リオス(『ブリッジ ~国境に潜む闇』)、アミン・ジョセフ(『トランスペアレント』)ほか

 

■『LA to Vegas』

LAスクリーニングの時点では"LA to Vegas"というタイトルだったのがいきなり、"to" が消えて、">" に変わるという面白い変更があった番組でラスベガス行きの格安航空ジャックポット航空が舞台になるコメディドラマ。

主人公となるのはフライト・アテンダントの夢見る女性ロニー。毎週末、金曜日にロサンゼルスを飛び立ち、日曜日の夜はラスベガスからロサンゼルスに帰ってくるという往復ルートのアテンドを務めるロニーは同僚でゲイのバーナードと共に、いつの日か素敵な乗客と出会ってワクワクするような人生を送ることを思い描いている。だが現実は正反対。ピーターパン症候群の典型とも言える機長のデイヴは大体ハッパを吸っていい気分か、一杯飲んでは美人な乗客にモーションをかけるとんでもないヤツ。乗客たちは変な常連さんも含めた連中ばかりでシンデレラ物語とは全く縁がないし、一体どうしたらいいの〜、と思っていた矢先に...。

長寿コメディ番組『サタデーナイト・ライブ』で90年代に一世を風靡して以来、お茶の間の人気者でコメディ俳優のウィル・フェレルが製作総指揮にあたっている。執筆も手がけるウィルは、これまでに映画を中心に数々のヒット作を飛ばしているだけに、この新番組からも大衆受けするギャグが期待できそう。また、ジャックポット航空のパイロットを演じるのは、これまで捜査官や弁護士などストイックな役柄が多かったディラン・マクダーモット。女好きでいつも酔っぱらっている機長(コワイっ!)が意外と板についている。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:FOX
放送局&放送開始日:FOX 未定
製作総指揮:アダム・マッケイ(『マネー・ショート 華麗なる大逆転』)など
出演者:ディラン・マクダーモット(『ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル』)、ピーター・ストーメア(『ファーゴ』)、エド・ウィークス(『ある大邸宅の結婚狂想曲』)ほか