LAスクリーニング2017 :NBC Universal作品紹介

2017年も行ってきました、LAスクリーニング! NAVI編集部スタッフが一足お先に鑑賞してきた新作ドラマをスタジオ別にご紹介していく特別企画。

NBC Universalといえば、『シカゴ・ファイア』、『エメラルドシティ』、『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』などの作品を手がけているスタジオ。『パーソン・オブ・インタレスト』のサラ・シャヒ、『ママと恋に落ちるまで』のジョシュ・ラドナーが主演を務めるミュージカルドラマから、日本でも大ヒットしそうなNYの雑誌編集部を舞台にした女子向けドラマなど注目の新シリーズが目白押し!

■目次
―『Reverie』:サラ・シャヒ主演!『エクスタント』のクリエイティブ・チームが送り出すSFサスペンスドラマ
―『The Bold Type』:まるでドラマ版『プラダを着た悪魔』!
―『Channel Zero:No End House』:『アメホラ』より怖い!? ホラーアンソロジーシリーズ
―『Rise』:演劇版『Glee』?! 『ハミルトン』プロデューサーが手掛ける青春ミュージカルドラマ
―『The Sinner』:ジェシカ・ビール&ビル・プルマン出演のサスペンスドラマ
―『Unsolved』:ヒップホップ史に残る2つの未解決事件の捜査を描いたトゥルークライムもの

※タイトル、クレジットはLAスクリーニング2017開催時のものです。実際の放送時には異なる場合があります。

■『Reverie』

Sometimes we all need help finding our way home. #Reverie is coming soon to @NBC.

Reverieさん(@nbcreverie)がシェアした投稿 -

番組のタイトルである「reverie」という単語は、「空想、夢想」といった意味がある。このドラマの主人公となるのは人間行動学のエキスパートで元・人質交渉人として活躍していたマーラ(サラ・シャヒ)。悪夢のような事件に関わって以来、大学教授に転身した人生を送っていた。そこへ昔馴染みのチャーリー(デニス・ヘイズバート)から連絡が入る。高度なヴァーチャル・リアリティ(= VR)を利用してクライアントの昏睡状態を作り、その時の脳を刺激することで、ユーザーが選択する幸せだった過去を再体験できるというレヴェリー・プログラムを開発していると話すチャーリー。だが、あまりにプログラムに深入りしてしまったクライアントは、VRにはまったまま現実に戻ることを拒否してそのまま死に至るケースが増えていると語る。

現在もVRを使い、亡くなってしまった妻に会いに行ったクライアントが現実に戻ることを拒否して昏睡状態のままとなっており、このままでは死に至るのは時間の問題だという。チャーリーは、元人質交渉人だったマーラの交渉能力を見込んで、クライアントのいるVRに潜入して連れ戻してほしいと要請する。マーラは自分がレヴェリーに入ることで昔の思い出したくない事件を再度体験することになるかもしれないと怯える。だが、これをきっかけに昔の悪夢を断ち切ることができるかもしれないと、クライアントのレヴェリーに侵入することを承諾するのだったが...。

製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグが参加して話題になった人気シリーズ『エクスタント』のクリエイティブ・チームが送り出すSFサスペンスドラマ。ここ数年、大いに話題となっているVRがもっと開発されたらこのドラマで起きていることは十分にあり得るし、脳に直接作用するVRプログラムが引き起こす"夢想中毒"は、ドラッグに勝るとも劣らぬ害を及ぼす可能性があるだろうことは容易に想像がつく。だがこのドラマは、単にSF要素だけにとどまらず非常によく出来た人間ドラマになっていて、期待大。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:NBC Universal
放送局&放送開始日:未定
製作総指揮:ミッキー・フィッシャー(『エクスタント』)など
出演者:サラ・シャヒ(『Lの世界』『パーソン・オブ・インタレスト』)、デニス・ヘイズバート(『24 TWENTY FOUR』)、キャスリン・モリス(『コールドケース』)ほか

■『The Bold Type』

Run like a girl, run the world. #TheBoldType

The Bold Typeさん(@theboldtypetv)がシェアした投稿 -

【関連記事】【妄想企画】29歳アラサー独身女子が『Sex And The City』のパワー系女子な毎日を東京で再現できるのか!?

"ボールド・タイプ"というのは、活字などで使用されるタイプセットのことだが、"ボールド"というのは"大胆な"という意味もあり、出版業界の"活字タイプセット"と若く大胆な女性たちを主人公にしたドラマということで選ばれたなかなかウィットのあるタイトルだ。世界的に有名な女性誌「コスモポリタン」の編集長を務め、女性の起業者として現在も尊敬されているジョアンナ・コールズの半生をもとに描いたヤング向けドラマ。

若く優秀な人材がしのぎを削るニューヨークの出版業界で、主人公ジェーンは憧れの女性編集長ジャクリーンが指揮をとる人気女性誌「スカーレット」のライターに就任。親友のカットも同誌のソーシャルメディア・ディレクター、そして同じくサットンもまだアシスタントとはいえ、女仲良し3人組で励ましあって共に人生を歩んでいた。そんなある日、ジェーンは最初の大きな取材課題として、絶対にメディアに協力しないと言われているイスラム派の女性アーティストの取材を任される。突撃で取材申し込みをするもののアッサリと拒否され、そればかりか間も無く彼女が自分の国へ旅立ってしまうという。せっかく昇進したのに初っ端から「出来ませんでした」では絶対に済まない弱肉強食の出版界。サットンもカットもそれぞれにキャリアや恋の悩みを抱えていた。3人の前に立ちはだかる現実の壁を若い彼女たちは乗り越えられるのだろうか。

映画『プラダを着た悪魔』を彷彿とさせる内容だが、ヤング向けの本作ではメリル・ストリープが演じた鬼編集長が包容力のある優しい編集長にとって代わり、エミリー・ブラント演じたイジワル先輩の代わりに女友達二人が主人公を支えるという趣向で、ティーン向けのストーリーになっている。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:NBC Universal
放送局&放送開始日:Freeform 2017/7/11
製作総指揮:ルーベン・フライシャー(『ゾンビランド』)など
出演者:ケイティ・スティーヴンス(『フェイキング・イット ~噂のカップル!?~』)、アイシャ・ディー(『マイ・ライフ ~私をステキに生きた方法~』)、メーガン・ファヒー(『シカゴ・ファイア』)ほか

■『Channel Zero:No End House』

【関連記事】ダークアクションの裏に隠された重厚な人間ドラマ!『ペニー・ドレッドフル 〜ナイトメア 血塗られた秘密〜』

インターネットを発祥とする怪談話をテーマにしているアンソロジーシリーズの第2弾。

大好きだった父の突然の死から立ち直れずにいるマーゴット。処方された薬の酷いアレルギー反応によって他界してしまったのだが、"あの時、門限をきちんと守っていればその場にいて救ってあげることができたのではないか..."という後悔の念を抱え苦しんでいる。

そんな彼女のもとに夏休みのため地元に戻ってきている友人ジュールズが訪れる。プールでくつろいでいた二人のスマートフォンに気味の悪い映像が突然流れ出すが、気にせず外へ遊びに行くことに。そこでジュールズの友人から「ノー・エンド・ハウス」の話を聞かされるのだった。それは、世界の何処かに突然出現するお化け屋敷のようなもので、いつどこにオープンするかは近くに住む人たちにだけ映像で知らせるという不思議な方法をとっていた。家の中には6つの部屋があり、数字が上がることにその部屋で体験することとなる"心理的"にショッキングな出来事も強烈になっていき、リタイアせずに6番目の部屋まで到達した人には二度と会えなくなるという。既にその映像を見ていた二人は友人を引き連れ、近所に現れた「ノー・エンド・ハウス」へ向かうことに。マーゴットは次々に起こる不愉快な出来事を乗り越え進んでいくが。

製作スタジオ:NBC Universal
放送局&放送開始日:Syfy 2017年秋
製作総指揮:ニック・アントスカ(『HANNIBAL/ハンニバル』)など
出演者:エイミー・フォーサイス(『THE PATH/ザ・パス』)、ジョン・キャロル・リンチ(『ボディ・オブ・プルーフ 死体の証言』)、アイシャ・ディー(『マイ・ライフ ~私をステキに生きた方法~』)ほか

■『Rise』

【関連記事】トランスジェンダーとして生きる--テレビでようやく語られ始めた彼らのストーリー

昨年のトニー賞で11部門に輝いたブロードウェイ・ミュージカル『Hamilton』のプロデューサー、フロディ・スウォレズ&ジェフリー・セラーのコンビが手掛ける実話ベースのドラマ。

労働階級の人々が多く暮らすペンシルバニア州の小さな田舎町で英語教師をしているルーは学校の予算の都合で10年間顧問を務めてきた教師の代わりに演劇部を任されることに。『グレース』ばかりを演じてきた彼らに新しい作品に挑戦して欲しいと、題目を『春のめざめ』にするが"青年たちの性への目覚め、大人たちへの不信感"といったテーマを扱う作品のため学校は猛反対。しかもルーはメインキャストにアメフト部のスター選手であるロビーを指名し、より学校側からの反感を買ってしまう。

主演の熱血教師役を務めるのは『ママと恋に落ちるまで』のジョシュ・ラドナー。『Glee/グリー』と、高評価を得ている青春ドラマ『Friday Night Lights(原題)』を合わせたような作品として既に本国では期待できる新シリーズとして話題になっている。演劇部員の生徒役には、『モアナと伝説の海』でモアナの声を務めたアウリイ・クラヴァーリョや、Netflixオリジナルシリーズ『ストレンジャー・シングス』のバーバラことシャノン・パーサーなどがいる。

製作スタジオ:NBC Universal
放送局&放送開始日:NBC 未定
製作総指揮:ジェイソン・ケイティムズ(『ロズウェル/星の恋人たち』)、ジェフリー・セラー(『RENT/レント』)など
出演者:ジョシュ・ラドナー(『ママと恋に落ちるまで』)、アウリイ・クラヴァーリョ(『モアナと伝説の海』)、ロージー・ペレス(『フィアレス』)、シャノン・パーサー(『ストレンジャー・シングス』)ほか

■『The Sinner』

No one saw it coming. #TheSinner

The Sinnerさん(@thesinnerusa)がシェアした投稿 -

【関連記事】『ブラックリスト』好きなら必見!『ブラインドスポット』が見逃せない5つの理由

ケーブルチャンネルUSAのダーク・サスペンスドラマ。女優としてよりはジャスティン・ティンバーレイクの奥方として有名なジェシカ・ビールが主役コーラを演じ、アンブローズ刑事には久方ぶりにお目見えのビル・プルマンが起用されている。

家族連れやカップルなどで賑わう湖畔で突然青年がめった刺しにされて殺される凶悪殺人事件が発生した。現行犯で逮捕されたのは主婦のコーラ。平凡な町で平凡に暮らしているごく普通の女性だった。夫と子どもと出かけた湖で見知らぬ青年を友人らの目の前で、まるで物の怪に憑かれたかのようにピクニック用の果物ナイフでめった刺しにしたのだ。凄惨な犯行に家族らをはじめ友人知人はもちろんのこと警察も深く動揺し困惑する。犯行は認めるものの動機に関しては自分でも全くわからないという。ただの衝動殺人で片付けようとする署に対して刑事ハリー・アンブローズ(ビル・プルマン)が待ったをかける。前科もなく夫と子どもに恵まれ一見幸せそうな主婦が自分でも理由のわからない残虐な殺人を犯してしまった理由とは一体?

これまでの役とは打って変わったジェシカの美しくも幸薄そうなくら~い演技が迫真にせまっていて怖い。(取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:NBC Universal
放送局&放送開始日:USA 2017/8/2から放送中
製作総指揮:ジェシカ・ビール(『New Girl ~ダサかわ女子と三銃士』)ほか
出演者:ジェシカ・ビール、ビル・プルマン(『ロスト・ハイウェイ』)、クリストファー・アボット(『GIRLS/ガールズ』)など

■『Unsolved』

日本ではTupac(2パック)、或いはThe Notorious B.I.G.(ノトーリアス・B.I.G.)と聞いても「?」となってしまう人もいるだろうが、この名前はラップに詳しくない人でもアメリカでは知られている有名な(悪名高き?)二人だ。

人気絶頂の時期に何者かに撃ち殺された彼らをめぐる殺人事件はミステリーに包まれ、未解決のまま今年で20年を迎えるこの事件は改めて脚光を浴びている。Unsolvedは同事件にまつわる舞台裏をドラマ化したサスペンス。

ギャングスタ・ラップが大人気で敵対するラッパーが所属するレコードレーベル間で何かと抗争が後をたたなかった90年代後半。西海岸では2パックを筆頭にスヌープドッグやDr. Dreを中心としたデス・ロウ・レコードが脚光を浴び、東海岸ではそのつい最近まで2パックとは友人同士だったビギー(=ノトーリアス・B.I.G.)を頭にパフ・ダディやJay-Zが所属するバッド・ボーイ・レコードが名を馳せていた。やがて名声が友情を妬みに変え、裏切りとなり憎しみへと変貌した。二人の間ではそれぞれのギャングを介したバイオレントな争いが絶えず、1996年9月7日ついにラスベガスで2パックがドライブバイ(=走っていく車から撃たれること)で射殺される。そして2パックの的となっていたビギーも翌年にロサンゼルスで同じように射殺された。

解決は容易に見えたギャング・ラッパーたちの殺人事件は、殺人を担当していた警察関係者の怠慢やミス、そしてあまりにも多くの容疑者がいるばかりでこれといった決め手もなく未解決のまま20年を迎える。こんな状態になった背景と新たな情報に脚色も加えてドラマ化したのが今作だが、たとえラップに興味がなくともかなりハマれる作りとなっている。

"Unsolved"とは未解決という意味だが、この新番組で高視聴率を獲得できればアンソロジーシリーズとして毎シーズンごとに、メディアを賑わせた未解決事件を題材としたシリーズとなる予定。 (取材・文: 明美・トスト / Akemi Tosto)

製作スタジオ:NBC Universal
放送局&放送開始日:USA 2018年
製作総指揮:アンソニー・ヘミングウェイ(『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』)ほか
出演者:ジョシュ・デュアメル(『ラスベガス』)、アイシャ・ハインズ(『アンダー・ザ・ドーム』)、ジェイミー・マクシェーン(『ブラッドライン』)など