今見ても色褪せない、『X-ファイル』が魅力的であり続ける理由

近年、かつての人気シリーズがイベント・シリーズとして続々と復活しているが、中でも熱狂的な歓迎を受けているのが、今年1月、シリーズ終了から14年ぶりに全米で放送が開始された『X-ファイル 2016』だ。『X-ファイル』と言えば、アメリカン・ドラマ史に残る傑作シリーズのひとつとして知られる伝説のドラマ

しかし、今でこそ制作のクリス・カーターや、主演のデイビッド・ドゥカブニーやジリアン・アンダーソンは海外ドラマファンにはおなじみの大物だが、1993年の放送開始当時は全員がまだまだ無名の存在だった。しかもジャンルは現在よりもかなりマニアックな位置付けにあったSFホラー。TVシリーズの企画としてはだいぶリスキーなものだった

だが当時3大ネットワークに追いつけ、追い越せの新興ネットワークだった放送局FOXは、あえて他局が敬遠しそうな作品で勝負に出たのだ。マニアックなジャンルに無名の俳優たち、しかも放送は視聴率の墓場と言われる金曜日(当時は現在以上にどの局も金曜日の視聴率は低かった)といういくつものリスクがありながら、『X-ファイル』はいかにして全世界で人気を集めるシリーズにまで成長したのか

 

それまでSFというのはマニアックなファンが見るジャンルという扱いだったが、『X-ファイル』はエイリアンを筆頭とする超常現象を真正面から描きながらも、それをFBIの捜査官が捜査するという、いわゆるベーシックな刑事ドラマのフォーマットに落とし込み、現実世界のリアリティを反映させ、一般視聴者にも間口を広げた。そして基本は1話完結形式でありながら、エイリアンと政府の陰謀をめぐるミソロジーという、シリーズ全体を通じて描かれるストーリーの2段構えで強固な世界観を確立していった

当時攻めの姿勢だったFOX局で放送していたからこそ、実験的なエピソードにもトライしやすく、それは『X-ファイル』の世界観をますます深めていく事になった。現実世界に根差したリアルなSFは、ジャンルの枠を超えて大人の視聴者をも魅了し、『X-ファイル』の面白さはどんどん浸透していく。日本でも全米放送開始の翌年にはレンタルがスタートし、海外ドラマとしては異例の大ヒットを記録したが、ある一定の年齢以上の方は、新作が出るたび、レンタル店で争奪戦になった事を懐かしく思い出すだろう。これも『X-ファイル』がSFというコアなジャンルでありながら、いかにグローバルな魅力を持った作品であるかのひとつの証明だと言える。

 

実際、20年以上も前の作品にも関わらず、『X-ファイル』は今あらためて見ても、驚くほど面白いのだ。超常現象に都市伝説、UMA(未確認生物)にもちろんエイリアンまで、扱うネタの豊富さもさることながら、シリアスなものからコミカルなものまで、時には際どい作風もあるバラエティ豊かなエピソードはまったく飽きる事がない。

SFというジャンルが持つ創造性をこれほど豊かに発揮したTVシリーズは『X-ファイル』が元祖と言っても過言ではないだろう。『X-ファイル』がもたらしたジャンル革命は、現在のドラマにも色濃く影響を与えている。ヒットメイカーのJ・J・エイブラムスは『LOST』をスタートさせる際、『X-ファイル』の影響を認めている。さらにその『LOST』チームのクリエイターが制作した『FRINGE/フリンジ』は、まさに『X-ファイル』のフォロワーと言える作品だ。その元祖と言える作品が、面白くないわけがないのだ

さらに大きな影響を与えているのが、個性豊かなキャラクターたちだ。『X-ファイル』の場合、主演のドゥカブニーとアンダーソンが当時は無名だった事で、余計な先入観を与えずにモルダーとスカリーというキャラクターを描けた点も大きい。超常現象を信じる変人モルダーと、理性的で超常現象には懐疑的なスカリーという単に正反対のキャラクターというだけでなく、そんな二人が歩み寄り、確かな信頼を構築していくその過程に、人間ドラマとしての醍醐味が凝縮されているのだ。二人が作り上げた男女のパートナーシップは今では男女コンビ・ドラマの代名詞となり、『BONES』にしても『キャッスル』にしても『メンタリスト』にしても、男女のコンビものはすべてモルダー&スカリーと比較されるのが宿命だ

この強烈な存在感はサブキャラクターにも発揮されている。スキナー長官をはじめ、シガレット・スモーキング・マン(CSM)、ディープ・スロート、ローン・ガンメン、クライチェックなどなど、未だに忘れられないキャラクターは枚挙にいとまがない。

 

これも優れた俳優たちと脚本家の見事な仕事ぶりの結果と言えるが、それもそのはず。『X-ファイル』には、今をときめくクリエイターたちが数多く関わっているのだ。『24 -TWENTY FOUR-』や『HOMELAND』を手掛けるハワード・ゴードンとアレックス・ガンサ、2009年まで『SUPERNATURAL/スーパーナチュラル』を担当したキム・マナーズ、『キャッスル』のロブ・ボウマン、『アメリカン・ホラー・ストーリー』や『SCREAM QUEENS(原題)』の制作に携わるジェームズ・ウォン、『ブレイキング・バッド』のヴィンス・ギリガン(ちなみに彼は『X-ファイル』のスピンオフ作品『ローン・ガンメン』の制作も手掛けている)、そして『ゲーム・オブ・スローンズ』や『THE FLASH/フラッシュ』といった数多くの人気シリーズを監督しているデイビッド・ナッターなど、こちらも枚挙にいとまがない。

 

これほどの才能が集結して作り上げ、今も多くの作品に影響を与え続けている『X-ファイル』を見ずして海外ドラマは語れない。かつて見ていた人も今見れば新たな驚きと面白さを、まだ見た事がない人も、時代を超える不朽の面白さを必ず味わえるはずだ。

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