海外ドラマスターを追え!~ショーン・エヴァンス(Shaun Evans)~

推理作家コリン・デクスターによる小説「モース警部」を元にした人気ミステリードラマ『刑事モース~オックスフォード事件簿~』で、主人公のエンデバー・モースを演じているショーン・エヴァンス。この作品を見るまで彼のことを知らなかったという人は多いだろう。しかし実は15年以上のキャリアを誇る、注目の英国俳優の一人なのだ。そんな彼のキャリアと、人となりをご紹介しよう。

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1980年、ビートルズを生んだ街として知られるリバプールで生まれ育ったショーンは、奨学金を得て通っていたカトリックの学校で演技を学び始める。さらにはアカデミー賞も受賞した名優のダニエル・デイ=ルイスやヘレン・ミレンをはじめ数々の俳優を輩出したことで知られるナショナル・ユース・シアターに通い、18歳の頃にロンドンに出ると、名門のギルドホール音楽演劇学校でも学んだ。

順調に俳優への道を歩んでいったショーンがプロキャリアをスタートさせたのは20代になってから。2001年、ロンドンに暮らす若者たちが主人公のコメディドラマ『Sam"s Game(原題)』で俳優デビュー。翌年、アンドリュー・リンカーン(『ウォーキング・デッド』)やジェームズ・コーデン(『ワン チャンス』)も出演していたコメディドラマ『Teachers(原題)』のシーズン2でレギュラーを務める。役柄はゲイのフランス語教師だった。

2004年、日本でも公開された映画『華麗なる恋の舞台で』でアネット・ベニング(『アメリカン・ビューティー』)やジェレミー・アイアンズ(『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』)と共演。BAFTA(英国アカデミー賞)で4冠に輝いた映画『BOY A』ではアンドリュー・ガーフィールド演じる主人公の友達を演じた。トム・ハーディ(『レヴェナント:蘇えりし者』)主演の犯罪ドラマ『The Take(原題)』では、トム演じる主人公のいとこ役というメインキャストを務めている。

さらには『孤高の警部 ジョージ・ジェントリー』『ホワイトチャペル 終わりなき殺意』といった犯罪捜査ドラマを経て、2012年からスタートした『刑事モース』で主演の座を手にした。舞台でも活動しており、2009年には『Kurt and Sid』でカート・コバーンを演じている。

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なお、ショーン演じるモースは、常人離れした推理力を持つ一方で、人付き合いは苦手という、ちょっと不器用なキャラクターで、シャーロック・ホームズを彷彿とさせるところもある。そんな彼が『SHERLOCK/シャーロック』でその名探偵を演じるベネディクト・カンバーバッチと、2011年の映画『ミスティック・アイズ』で兄弟役を演じているというのは面白い。

そして1960年代のオックスフォードを舞台にした『刑事モース』のほかにも、エリザベス1世のドラマに出演するなど、時代物をいくつも経験しているショーンは、自らもオールドスタイルが好きだという。テクノロジー全般が不得手で、「誰かに連絡するなら、電話をかけるよりも手紙を書く方が、より人とつながっていると感じられる」と話すショーンは、SNSをやっておらず。「Siriに質問するよりも、図書館に行って調べものをする」派であり、携帯電話は持っているものの「グーグルマップが使えないから、道に迷った時には便利」というスタンスだ。

モースは、人並み外れて頭が良いためか、どことなく超然としていて、世間からちょっとズレているという人物だが、ショーン自身にもそういう要素があることで、このキャラクターに説得力をもたらせているのかもしれない。

新米からスタートしたモースはキャリアを積んでいる最中だが、それはショーンも同じ。『刑事モース~オックスフォード事件簿~』のシーズン4では主演だけでなくプロデューサー業にも乗り出し、2017年には同作の撮影の合間を縫って1986年から続く医療ドラマ『Casualty(原題)』で監督デビューも果たしている。モースとショーンのさらなる成長が楽しみだ。

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■ショーン・エヴァンスのプロフィール
1980年3月6日 英マージーサイド州リバプール生まれ

■役柄イメージ
内向的ながら切れ者な役、神経質な役

■主な作品
テレビ:
『刑事モース~オックスフォード事件簿~』(2012~)
『Silk 王室弁護士マーサ・コステロ』(2012)
『ホワイトチャペル 終わりなき殺意』(2012)
『脳外科医モンロー』(2011)
『ディフェンダーズ 闘う弁護士』(2010~2011)
『孤高の警部 ジョージ・ジェントリー』(2007)

映画:
『ミスティック・アイズ』(2011)
『プリンセス・カイウラニ』(2010)
『クライヴ・バーカー ドレッド[恐怖]』(2009)
『BOY A』(2007)
『フローズン・タイム』(2006)
『華麗なる恋の舞台で』(2004)

■私生活
・アイルランドの家系に生まれ、父親はタクシー運転手、母親は病院勤務。11ヵ月上の兄がいる

・アイルランド出身のバンド、ザ・コアーズのアンドレア・コアーと2003年から4年交際していた(アンドレアは破局後、彼とのことを歌った曲「Ten Feet High」を発表)

■トリビア
・『刑事モース』の出演の話が来るまで、原作小説を読んだことがなかった

・趣味は写真と詩

・音楽を聞きながら想像力を働かせるのが得意

・地元リバプールにある図書館に行くのが好き

・『刑事モース』のブライト警視正で知られるアントン・レッサーとは、同作がスタートする10年前の2002年にTV映画『The Project(原題)』でも共演している

Photo:
ショーン・エヴァンス
『刑事モース~オックスフォード事件簿~』
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