『リバーデイル<シーズン1>』インタビュー【7】ロベルト・アギーレ=サカサ(製作総指揮)「アイデアは本当に『ツイン・ピークス』から来ているんだ」

アメリカのどこにでもありそうな田舎町リバーデイル。一見穏やかで平和なこの町で一人の高校生が殺されたことをきっかけに、主人公のアーチーとその仲間たちは、謎多き事件の真相に迫ろうとする。やがて、住民たちが抱える秘密や町を覆う深い闇が少しずつ明らかになっていき...という青春"ゴシップ"ミステリー『リバーデイル』。8月8日(水)よりDVDリリースとなった本作のキャスト、スタッフが語るインタビューを全7回にわたってお届け。最後となる第7回は、製作総指揮を務めるロベルト・アギーレ=サカササラ・シェクタージョン・ゴールドウォーター

 

――シーズン1最終話について何か明かせることはありますか?

ロベルト:我々は、シーズン1の最終話を一番重要でドラマチックなエピソードにしたいと考えていた。実際そうなったよ。人間関係や登場人物について、そして恋愛についても描きたかったから、最も重要なエピソードになったと思う。通常は一つのエピソードを8日間で撮影する。だけど最終話は重要かつ大がかりなものだったから、10日間かかった。結末で描きたい物語のアイデアは一つあったんだけど、それがどんどん大きくなっていき、そして爆発した。最終話ではワクワクするような秘密がたくさん明かされるよ!

――本作の製作を始めた時、ジェイソン・ブロッサムを殺した犯人は分かっていましたか? 脚本執筆のどの段階で犯人を決めたのでしょう?

ロベルト:実は最初、ジェイソンはただ溺れて亡くなったという設定で考えていた。でも途中で"違う、ジェイソンは殺されたんだ。撃たれたに違いない!"ということになった。初期の段階でなんとなく犯人が誰かは決めていた。でも役者たちが共演し、人間関係が変わっていくのが見えてくると、自分の感覚も少し変わっていった。最初に直感で思ったことを最後まで変わらず思い続けるというのは、まずないことだ。

サラ:殺人/ミステリーの物語を構築している間に、人間関係や感覚が変化していくのはとてもいいことだと思うの。登場人物にしても、その人物像をより複雑に作り上げることができるから。それは容疑者の人物像を作る上でも役に立つわ。

ロベルト:その通り。(同じく製作総指揮者の)グレッグ・バーランティにこう言ったのを覚えているよ。「グレッグ、僕は誰が犯人か分からないよ」とね。そうしたら彼は「いつか分かるさ」と言ってくれた。彼の言う通りだったよ。どうなるか分からない面白さがあるからこそ、自然な展開が生まれるんだ。

 

――原作コミックスのジャグヘッドは無性愛者ですが、『リバーデイル』ではそのことが描かれていません。彼の無性愛について掘り下げるつもりはおありですか?

ロベルト:それについてはたくさん話し合ったよ。我々は、『リバーデイル』の世界はこの世の中と同じように包括的で、多種多様であるべきだと考えている。すべての事柄を表すべきだとね。本作の製作を始めた時は、チップ・ズダースキーが「Jughead」のコミック(※「Jughead No.4」にてジャグヘッドが無性愛者だと確認できる)を発表する1年前だったんだ。『リバーデイル』で最初に決めたことは、ジャグヘッドとベティは付き合うということ。アーチーにとって一人は同性の親友で、もう一人は異性の親友だからね。それを基に物語を作っていった。でも表現というのは大事だから、次のシーズンでは無性愛についても出そうと考えている。

――同じジャンルの他番組と比べて『リバーデイル』が抜きん出ている点は?

サラ:他の番組を否定するつもりはないけど、私たちは他のことはまったく気にしないで『リバーデイル』という不気味だけど大好きな番組を作ろうと奮闘しているの。様々な視点から、登場人物のことや、数世代にわたる物語を伝えようとしているのよ。そうして物語を描いているうちに、結果として他の番組にはない深みが生まれたのだと思うわ。

ロベルト:高校が舞台となっている青春物語は、どれも独自性を持っている。『Glee/グリー』がいい例だ。高校を舞台としたミュージカル調の青春物語。対して我々の『リバーデイル』は高校を舞台とし、デヴィッド・リンチの『ブルーベルベット』のような青春物語。我々は『フリークス学園』や『アンジェラ15歳の日々』のような番組が好きだ。そういう番組がなかったら、我々は今ここにいない。でも面白いことに、どの番組も昔ながらのアーチー・コミックスのおかげのように思えるんだ。典型となるものという意味においてね。そう考えると、我々も大きな連続体の一部であると言えるだろう。

 

――『リバーデイル』の展開や登場人物について、元のコミックスのファンからの期待を感じますか?

ジョン:アーチー・コミックスのファンは登場人物が大好きだから、常にいろいろと期待する。何十年もアーチーたちを愛してきたからね。期待されている分、難易度は高かったけど、全員がそれをクリアできたと思う。脚本家も、製作者も、役者もね。みんな素晴らしい仕事をしてくれた。こんなに期待値が高いものを期待以上に作り上げて、ちゃんとファンから愛されるものになったと願っているよ。

ロベルト:僕も様々な作品を手掛けてきたけど、アーチー・コミックスのファンみたいなファンには出会ったことがない。彼らはすべてを知っているからね。アーチー・コミックスの総ページ数は10億を超えると思うけど、そのすべての内容を把握しているんだ! 僕自身もファンだから、最高だよね。

サラ:一般的にコミックス原作の実写化で成功するものは、実写化を行う側の人が元の原作を愛している場合だと思うの。ロベルトとジョンほどアーチー・コミックスの熱烈なファンがいるとは思えないわ。それが『リバーデイル』にも表れていると思う。ファンが実写化すると、一番いい実写化作品ができるのよ。

 

――『リバーデイル』と『ツイン・ピークス』を比較する批評家やファンがいますが、類似点は意図的なものだったのでしょうか?

サラ:配役を見ても分かると思うけど、これについては最初から話していたの。『ツイン・ピークス』に出演したことのある人物全員をオーディションに呼んで、ロベルトにはその苦痛に耐えてもらったわ(笑) 『ツイン・ピークス』は私が非常に影響を受けた番組だった。あの作品には1950年代の感受性があって、皮膚をはぎ取られるような物語なの。私たちは『ブルーベルベット』のオープニングで映る画についても話したりする。白い杭柵と青草が映り、そこに切断された耳と"破滅"があることに気づくの。ロベルトの描くものには、そうした純真さと気味の悪さが混在しているわ。

――つまり『リバーデイル』は『ツイン・ピークス』から直接インスピレーションを受けたということでしょうか?

ロベルト:ああ。面白いことに、最初にアーチー・コミックス原作の番組を作る件について話し合った時は、単に青春物語を作ろうとしか考えていなかったんだ。でも序盤でサラが『ツイン・ピークス』のアイデアを投入した。僕はその時、"うまくいくかどうかまったく分からない"と思ったのを覚えているよ。だけど実際に『ツイン・ピークス』を見た時、これは高校の学園祭の女王が殺される話だと気づいて"ちょっと待てよ、とてもいいアイデアじゃないか"と思った。『リバーデイル』のアイデアは本当に『ツイン・ピークス』から来ているんだ。アーチー・コミックスと『ツイン・ピークス』という二つの要素を組み合わせることを決めた時点で、パイロット版には命が吹き込まれたんだよ。

<『リバーデイル<シーズン1>』インタビューリレー>
【1】K・J・アパ(アーチー・アンドリュース役)「衝撃的な最終話になっているよ!」
【2】リリ・ラインハート(ベティ・クーパー役)「恋の四角、五角、六角関係のようなもの」
【3】コール・スプラウス(ジャグヘッド・ジョーンズ役)「ベティとの関係は培養されたバクテリア」
【4】カミラ・メンデス(ヴェロニカ・ロッジ役)「女性たちは固定観念をいい意味で壊しているの」
【5】ルーク・ペリー(フレッド・アンドリュース役)「父親業は大変だよ」
【6】メッチェン・アミック(アリス・クーパー役)「アリスはまるで母ライオン」

 

■『リバーデイル<シーズン1>』商品情報
DVDリリース中、デジタル配信中
<セル>
DVDコンプリート・ボックス...9,400円+税
<レンタル>
レンタルDVD Vol.1~7
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

Photo:『リバーデイル<シーズン1>』 © 2018 Warner Bros. Entertainment Inc. & CBS Studios Inc. All rights reserved.