ティーンを中心に絶大な支持を集め、今や全米キッズたちの成長に欠かせない放送局である、ディズニー・チャンネル。日本でも近年、ケーブル局でありながら、多くの視聴者を獲得し、子どもから大人まで幅広い層の視聴者を獲得している。11月18日(日)に開局15周年を迎えた同局は、10月から12月にかけて懐かしい番組から最新作まで、特別編成にて放送中。
そもそもディズニー・チャンネルは、1983年にウォルト・ディズニー製作のアニメーションを中心に放送するプラットフォームとして開局されたのだが、2000年代に入ると、同じくオリジナル・アニメーションを放送していたニコロデオンがTVドラマの製作に着手したのを受け、それに対抗する形で、ドラマ・シリーズの放送を開始したという経緯がある。
この頃に製作された作品たちは、のちに黄金時代と呼ばれる作品群が登場し、その人気を不動のものにする土台を作った名作としてファンに認知され、当時の視聴者が大人へと成長した現在でも根強い人気を誇っている。そんな2000年代初期の名作たちの系譜が、現在のディズニー・チャンネルに受け継がれ、再び名作を生み出している。
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『リジー&Lizzie』と『アンディ・マック』
2001年より放送が始まった『リジー&Lizzie』は、14歳の普通の中学生リジー・マグワイア(ヒラリー・ダフ)が、親友のミランダ(ラレイン)やゴード(アダム・ランバーグ)らと共に、思春期特有の悩みを日々経験し、それを乗り越え、成長していく姿を描いたコメディ・ドラマ。のちに世界的ポップスターとなるヒラリー・ダフが主演を務め、笑顔はじける好演を魅せてくれる。
当時のティーンたちは自分たちと同じような悩みを抱える主人公リジーに自らを投影し、思春期を乗り越えたと言っても過言ではないほどに大ヒットを記録した。その証拠に本作は、それまでTVドラマが劇場映画として公開されるというのは極めて稀なことであったが、2003年に劇場映画化され、大ヒットを記録したのだ。それだけティーンの心を鷲掴みにし、今なお語り継がれる大傑作なのである。
そんな『リジー&Lizzie』のクリエイターであるテリー・ミンスキーが久しぶりにディズニー・チャンネルへとカムバックを果たし、新たに製作したドラマ・シリーズが『アンディ・マック』だ。
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13歳の誕生日を迎えたアンディ(ペイトン・エリザべス・リー)は両親や親友、たまに帰ってくる姉のベックス(ライラン・ボウデン)に支えられ、幸せな生活を送っていたが、ある時、ベックスが実は母親であることが判明し、アンディの人生は一変してしまう。恋、友情、学校生活...現代のティーンが抱える悩みを映し出した、ディズニー・チャンネル初の連続ドラマとして、大きな注目を集めている本作。多感な年ごろである13歳のリアルな実情を描いているという点で高い評価を得ており、日本で生活しているだけでは知りえないアメリカのティーンの生活が詰め込まれた作品である。
そしてやはり本作が他作品と一線を画す大きな理由は、ディズニー・チャンネル史上初めて「同性愛」を描いているという点だ。これまで保守的な姿勢を貫いてきたディズニーが初めて、メインストーリーで「同性愛」を描くということで大きな注目を集めた作品でもある。とてつもなくメッセージ性が強く、ティーンの思春期を映し出した『リジー&Lizzie』と『アンディ・マック』は、ティーンの子を持つ大人たちにこそ観てもらいたい作品である。
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同作に出演しているアッシャー・エンジェルは2019年4月19日(金)に全国公開予定のDCコミックス・ヒーロー映画『シャザム!【仮!】』で主人公ビリー役に大抜擢されている注目株だ。
『レイブン 見えちゃってチョー大変!』がリバイバル!
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2003年から2007年まで放送の『レイブン 見えちゃってチョー大変!』もまた、ディズニー・チャンネルのドラマ・シリーズというブランドを作り上げた傑作のひとつ。どこにでもいるような普通の女の子レイブン(レイヴン・シモーネ)には大きな秘密があった。彼女には生まれながらに未来を予知できる能力があり、その力を利用して学校生活で巻き起こる騒動を回避しようとする、シットコム。
未来を予知できるという超能力コメディでありながらも、起こるべくして起こる未来には大きな意味があったり、たとえ予知できたとしても未来は予測できるものではないといった、メッセージ性の強いストーリーになっており、中には人種問題、ジャンクフードによる健康不良、アフリカ系アメリカ人の歴史をたどるなどの社会問題や歴史にフォーカスされたエピソードも多く存在し、教育番組としても多大なる力を発揮した作品としても知られている。
そんな『レイブン 見えちゃってチョー大変!』が、2017年に復活を果たし、今、再び全米ティーンを熱狂させている。『レイブンのウチはチョー大変!』と冠された同リバイバル版では、オリジナルから10年の時が経過し、今や2児の母となったレイブンが、子育てやシングルマザーとしての生活に苦労しながらも、日々、大切なことを学んでいき、同時に子ども世代の学校生活も描き出すといった内容の作品である。
レイブンの息子が予知能力を覚醒させたことで、母のレイブンと似たような悩みを抱くようになるのもまた面白く、当時の視聴者が今度は親目線で楽しむことができ、子どもたちと一緒になって楽しめる。本作は12月8日(土)よりDlifeで放送スタート。
ディズニー・チャンネル最初のドラマ作品『おとぼけスティーブンス一家』
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ディズニー・チャンネル初期の名作たちを紹介する上で欠かせない作品が『おとぼけスティーブンス一家』だ。2000年から放送がスタートした本作は、ディズニー・チャンネル・ドラマ・シリーズの記念すべき最初の作品。イタズラ好きな少年ルイス・スティーブンスが巻き起こす騒動を描くコメディなのだが、なんといっても、本作の見どころといえば、主演のシャイア・ラブーフであろう。
今や『トランスフォーマー』シリーズや『フューリー』といったハリウッド大作でお馴染み、30代前後のハリウッド俳優の中で最も実力を評価されているといっても過言ではないシャイアもまた、ディズニー・チャンネル出身なのだ。彼の卓越したコメディセンスと抜群の演技力が目を惹く一作として、ディズニー・チャンネル史上最高傑作との呼び声も高い。
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今となっては視聴困難となっている激レア作品ではあるが、もしも観る機会が今後あったとしたら、絶対に見逃してほしくない作品である。ディズニーらしくない独特な世界観も魅力で、大人も大いに楽しめることだろう。
多くの作品が紡いできた歴史によって、築き上げられてきた、ディズニー・チャンネル。初のドラマ作品が放送開始されてから15年以上経過した現在でも変わらぬ人気を獲得しているのも、初期の名作たちがしっかりとした土台を作り上げたから。そんな初期の名作の系譜を受け継ぐ新作もまた、今後の未来に向けて、とても重要な役割を果たすのであろう。
子ども向けというイメージを拭い切れない方たちも、たまには息抜きがてら、ディズニー・チャンネルにチャンネルを合わせてみてはいかがだろうか。思いのほか、夢中になってしまう自分と出会えるかもしれない。
(文/zash)
Photo:
『Disney Channel Stars: Legendary(原題)』(C) Disney Channel/Beth Dubber
『アンディ・マック』(C)Disney Channel/Bob D"Amico
『リジー&Lizzie』 (C) Pauline French/FAMOUS
レイヴン・シモーネ (C)Disney Channel
『レイブンのウチはチョー大変!』(C) Disney Channel/Bob D"Amico
シャイア・ラブーフ(2005年撮影)(C)ChrisBlack/FAMOUS
シャイア・ラブーフ(『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』)(C) FAMOUS