【日本未公開】50年代のUFO調査を描く『プロジェクト・ブルーブック』捜査官は『X-ファイル』的?

米Historyで1月上旬から放送中の『プロジェクト・ブルーブック』は、1950年代に米空軍が指揮したUFO調査計画を振り返る歴史ミステリー。冷戦の緊張が高まっていた当時、未確認飛行物体の目撃情報が人々の不安に拍車を掛けていた。空軍大佐と天文学者がタッグを組み、真相究明に挑む。

♦︎空軍が天文学者とタッグ
アメリカ空軍所属のミカエル大尉(マイケル・マラーキー『ヴァンパイア・ダイアリーズ』)は、当時全米で相次いでいたUFO目撃情報の謎を解こうと躍起になっていた。相棒となったのは、軍が採用した天文学者のジョセフ博士(エイダン・ギレン『ゲーム・オブ・スローンズ』)。ちなみに博士は実在の人物で、本作での描写同様、米空軍からUFOの調査を依頼されている。

ドラマが進むにつれ、大尉と博士の前には権力という壁が立ちはだかるようになる。ミカエルの上司であるハーディング長官(ニール・マクドノー『エージェント・オブ・シールド』)たちの態度は当初こそ判然としなかったものの、惑星外生命体の発見をどうやら望んでいないことが明らかに。熱心に調査を進めてきた二人に対し、エイリアンの存在を裏付けるような物証はいかなる手段を使ってでも隠せ、と冷酷な命令を下す。上司の命令に従うことでキャリアを拓きたいミカエルだったが、エキセントリックな科学者を自認するジョセフ博士が情報の分析を止める訳もなく...。史実をベースに展開するSFモノとしても、相棒モノとしても興味深いドラマだ。

♦︎凸凹コンビ、まるであの捜査官たち
頭脳派と肉体派がタッグを組むというミスマッチが楽しい作品、とはVariety誌の弁。事件の究明に当たる凸凹コンビとは古くからあるフォーマットだが、超常現象をテーマとしているだけあって、同ジャンルの人気作『X-ファイル』を彷彿とさせる。同作のモルダー捜査官とスカリー捜査官ほど抜群の相性とまではいかないものの、連続ドラマの推進役となるのに十分なコンビプレーを見せてくれる、と同誌。

『X-ファイル』との類似性を指摘するのは、Los Angeles Times紙も同じだ。モルダーとスカリーほど常に対立が際立っているわけではないが、やはり同コンビを想起させる。調査にカタをつけ早々に幕引きを図りたいミカエル大尉に対し、パートナーであるジョセフ博士は、真実を見つけるまでが仕事だと食い下がる。わずかな意識のずれを絶妙なニュアンスで対比させた作品だ。

♦︎ブームを静かに振り返る
主役二人のキャラクター以外にも、UFOをめぐる真相が興味深い。それでいてなお、無理に興味を煽るスタンスになっていないのが本作の美点だ。UFOブームの再来を促すような攻めすぎた姿勢はまったく感じられず、静かに歴史を振り返るような距離感が印象的。もう少し派手なドラマ性を期待していたであろうLos Angeles Times紙は、むしろ科学者が超常現象を理屈で否定してゆくようなドラマを観たかった、と注文を付ける。同紙の期待ほど際立って爽快な展開ではないものの、世間がUFOへの憧れと恐怖に沸いた50年代をありのままに振り返る作品となっている。

そんな本シリーズを野心的な作品だと評価するのはVariety誌。UFO目撃談が公式に調査されたという事実は、本作が触れていなければ歴史の片隅に忘れ去られていたであろう。その経緯を掘り起こしたことに価値がある、と同誌は述べている。

人々がUFO襲来の噂に揺れた50年代を描く『プロジェクト・ブルーブック』は、米Historyで放送中。モルダーとスカリーのコンビを懐かしく感じた方は、日本からもHuluで『X-ファイル』シーズン10の視聴が可能だ。(海外ドラマNAVI)

Photo:エイダン・ギレン&マイケル・マラーキー
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