『NCIS』『SATC』のスターも出馬!ハリウッドと政治のお熱い関係

ドナルド・トランプ元大統領がバラエティ番組を通してお茶の間の人気者になったように、ハリウッドをはじめとした映画・テレビ界で有名になったのちに政界と関わりを持つようになった人は少なくない。先日、ヒル・ハーパー(『CSI:NY』『グッド・ドクター 名医の条件』)がミシガン州の民主党上院議員選挙に出馬する意向を明かしたことに合わせて、彼の前に政界へと歩んだ代表的な14人をご紹介しよう。

アーノルド・シュワルツェネッガー

「政界入りした俳優」と聞いて多くの人が連想するのは、『ターミネーター』シリーズをはじめとしたアクション作品で知られるアーノルド・シュワルツェネッガーだろう。1986年から結婚していた妻が元大統領ジョン・F・ケネディの親戚であったからか、もともと政治に対する関心は強く、2003年にカリフォルニア州知事に当選。2006年に再選を果たし、2011年までの任期を務め上げた。ちなみに、『プレデター』などで共演したジェシー・ベンチュラも、のちにミネソタ州のブルックリンパーク市長、同州知事に選ばれている。

クリント・イーストウッド

そんなシュワちゃんの憧れであるクリント・イーストウッドは、彼より10年以上前に政界入り。監督・プロデューサーとしてアカデミー賞を4度受賞している御大は、1986年にカリフォルニア州にある人口4000人の小さな町、カーメル市の市長に当選し、2年の任期をまっとう。ちなみに、同職で得られるお金は月200ドルだったが、彼はそれを地元のユースセンターに寄付した。以降も、政治的なテレビCMを製作したり、共和党大会で一人芝居を披露するなどして政治に関わっている。

ロナルド・レーガン

ベティ・デイヴィス、ハンフリー・ボガート主演の『愛の勝利』に出演したこともあるロナルド・レーガンだが、俳優として当たり役がなかったことを考えると、俳優よりも大統領としての印象が強いかもしれない。1985年の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で30年前の世界にタイムスリップしてしまったマーティが、ドクに今の大統領は誰かと聞かれてレーガンだと答えたところ、「レーガン!? 大根役者の?」と信じてもらえないシーンを見て初めて、レーガンがかつて俳優であったことを知った人もいるのではないだろうか。

俳優としては決してパッとしなかったレーガンだが、俳優時代に俳優組合の会長を歴任した後、1966年からカリフォルニア州知事を2期務めた。大統領選挙に参加したのは1976年が最初で、その時は共和党の予備選でジェラルド・R・フォードに敗れたが、4年後の再挑戦で現職のジミー・カーターを破って第40代アメリカ合衆国大統領に就任。再選も果たし、1989年まで国のトップを務めた。

シャーリー・テンプル

その名前のカクテルも誕生するなど、1930年代のハリウッドで天才子役の名を欲しいままにしたシャーリー・テンプル。6歳で受賞したアカデミー賞特別賞は、同賞のすべての部門における最年少記録。大人になると、もともと子役時代に名士と親交があった上、夫の父親が大企業の重役だったこともあり政治の世界へ。30代後半だった1967年、アイゼンハワー元大統領に支援される形で共和党から下院選挙に出馬するも落選。その後は知名度とコネクションを生かして、国連代表委員やガーナ大使として外交で活躍。フォード大統領時代には、大統領専用機で海外訪問に同行し、大統領の右腕として相手国との交渉をまとめた。

ジョージ・マーフィ

1902年生まれのジョージ・マーフィは、レーガン、シュワルツェネッガーより前にカリフォルニアの政界に入った有名俳優だ。歌って踊れる俳優として、フレッド・アステア主演の1940年の映画『踊るニューヨーク』などに出演し、1943年の『ロナルド・レーガンの陸軍中尉』ではレーガンと共演。1940年代に俳優組合の会長を務め、アカデミー賞の名誉賞を受賞し、ハリウッドのウォーク・オブ・フェイムに名が刻まれてもいる。1965年から1971年まで上院議員を務めた。

アルバート・デッカー

1905年生まれのアルバート・デッカーもウォーク・オブ・フェイムに名を連ねる一人。1944年にカリフォルニア州の下院議員に当選するが、提案した法案が否決されたことから2年で映画界に戻り、『紳士協定』『エデンの東』『ワイルドバンチ』などに出演した。

ジョージ・タケイ

『スター・トレック/宇宙大作戦』のスールー役で知られ、同じくウォーク・オブ・フェイムの仲間入りを果たしているジョージ・タケイ。1970年代から政治に関わるようになり、1973年にロサンゼルス市議会に出馬したが落選。その時の成績は5人中2位だった。その後まもなくロサンゼルス市長から委員会メンバーに指名され、10年以上にわたって同職を務めた。1995年には当時のビル・クリントン大統領からの指名で日米友好基金の理事になるなど、日系人の地位向上のために尽力している。

ジャック・ケリー

20世紀半ば、ウェスタンコメディドラマ『マーベリック』で主人公ブレット・マーベリックの弟バートを演じていたジャック・ケリー。不動産業などを通して1970年代から政治に関わるようになり、1983年から1986年までカリフォルニア州ハティントンビーチの市長を務めている。

メリッサ・ギルバート

人気ドラマ『大草原の小さな家』のローラ役で知られるメリッサ・ギルバート。2016年の選挙においてミシガン州の選挙区で民主党から下院議員に立候補すると表明していたが、数年前に起きた事故による怪我を理由に撤退した。

シンシア・ニクソン

大人気ドラマ『SEX AND THE CITY』の弁護士ミランダ役で知られるシンシア・ニクソンは、2018年に地元ニューヨーク州の知事選に出馬することを表明。しかし、各党の候補者を決める予備選で現職のアンドリュー・クオモ(66%)に大きく及ばず、34%の得票率にとどまった。

フレッド・トンプソン

『LAW & ORDER』シリーズの検事アーサー・ブランチ役や『ダイ・ハード2』の管制塔責任者トルーデュー役で知られるフレッド・トンプソン。堅い役柄が多かったのもそのはずで、もともと俳優になる前は弁護士で、検事補を務めたこともあった。1973年にある上院議員の選挙責任者だったことから、ウォーターゲート事件の調査の指揮を執ることになり、一躍お茶の間で知られる存在に。1994年から2003年まで上院議員を務め、上院政府活動委員会の委員長でもあった。2007年9月に大統領選への出馬を正式に表明するも、翌年1月に選挙戦から撤退している。

ダイアン・ニール

『NCIS』シリーズのアビゲイル・ボーリン役、『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』のケイシー・ノバク役でおなじみのダイアン・ニール。2018年にニューヨーク州の下院議員に無所属で立候補したが、4人の候補者のうち得票率は最少の1%だった。ちなみに『NCIS』ファミリーでは、ギブスの父ジャクソン役で知られるラルフ・ウェイトも1990年代に3度カリフォルニアの議会選挙に出馬しているが、5%という僅差で敗れた1990年の1回目をはじめ、いずれも当選を果たせなかった。

スティーヴン・マイケル・ケサダ

大ヒットドラマ『ブレイキング・バッド』で麻薬取締局捜査官スティーブン・ゴメスを演じたスティーヴン・マイケル・ケサダ。同作の舞台でもあり自身の故郷でもあるニューメキシコ州アルバカーキの教育委員会で尽力した後、2016年には元共演者ブライアン・クランストンらからの支援も受けて郡政委員選に出馬し当選している。

グレンダ・ジャクソン

グレンダ・ジャクソンは、イギリスで俳優から政治家に転身した最も有名な例と言えるかもしれない。1970年代にアカデミー賞主演女優賞に4度ノミネートされ、そのうち2度受賞(『恋する女たち』『ウィークエンド・ラブ』)した名優は、1992年に労働党から庶民院議員選挙に立候補して当選。1997年から1999年までトニー・ブレア首相のもとで運輸政務次官を務めた。

(海外ドラマNAVI)

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