第73回エミー賞予想〜現地メディアはどう見る?【コメディシリーズ】

アメリカTV界にとって年に一度の祭典、第73回エミー賞授賞式が現地時間9月19日(日)に開催され、今年はU-NEXTにて独占ライブ配信される予定だ。各カテゴリーで魅力的な作品や俳優などが候補に挙がる中、【ドラマシリーズ】、【コメディシリーズ】、そして【リミテッドシリーズ/TVムービー】部門の主要部門について、現地メディアの予想をまとめ、受賞の行方を様々な視点から追ってみよう。2回目の本日は【コメディシリーズ】をご紹介。

■作品賞

『Black-ish』
『コブラ会』
『エミリー、パリへ行く』...大穴
『Hacks』...対抗
『フライト・アテンダント』
『コミンスキー・メソッド』
『Pen15』
『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』...本命

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『Glee/グリー』の歴代記録と並び、新作コメディシリーズとして20ものノミネートを誇るApple TV+『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』。賞レースを総なめにした『シッツ・クリーク』が終了したあとに、同じような"ハートウォーミング"なコメディを求める人にとって、本作は嬉しい発見だっただろう。

15ノミネートのHBO『Hacks』も、配信開始は"今後が期待できるかもしれないちょっとした番組"程度の評価だったが、回数を重ねるたびにサプライズがあったと高評価。特に、本作のようにコメディ業界そのものを描いた良作は賞団体に気に入られる傾向にあり、賞レースを面白くさせる存在ではあるが、すでに勝者は『テッド・ラッソ』に決まりだろう。

■主演男優賞

アンソニー・アンダーソン『Black-ish』...対抗
マイケル・ダグラス『コミンスキー・メソッド』
ウィリアム・H・メイシー『シェイムレス 俺たちに恥はない』
ジェイソン・サダイキス『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』...本命
キーナン・トンプソン『Kenan』...大穴

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各メディアの予想は作品賞と同様に、『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』のジェイソン・サダイキスが受賞するという意見で一致。それもそのはず、今年開催されたゴールデン・グローブ賞、放送映画批評家協会賞、ハリウッド批評家協会賞など数々のアワードを総なめにしてきたのだ。

次のシーズンでファイナルを迎える『Black-ish』で"お茶の間の人気パパ"となったアンソニー・アンダーソンの受賞を願う声もあるが、同シリーズの製作総指揮として他の3つのカテゴリーにもノミネートをされている。アフリカ系俳優が主演男優賞を手にしたのは過去2度しかないので、3度目をアンソニーが...ということになるかも気になるところ。

■主演女優賞

エイディ・ブライアント『Shrill』
ケイリー・クオコ『フライト・アテンダント』...対抗
アリソン・ジャネイ『Mom』
トレイシー・エリス・ロス『Black-ish』...大穴
ジーン・スマート『Hacks』...本命

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過去に4度、同部門へのノミネート歴のあるトレイシー・エリス・ロス(『Black-ish』)と2度のノミネート(助演女優賞では受賞済み)を誇るアリソン・ジャネイ(『Mom』)。両シリーズとも、ファイナルシーズンを迎えるため、受賞を望む声も。

しかし、過去に3度のコメディシリーズ部門(『そりゃないぜ!? フレイジャー』と『サマンサWho?』)での受賞経験を持つ『Hacks』のジーン・スマートが本命のようだ。"彼女のようにコメディを演じる人はいない"と書かれるほど、高い評価を得ている。

■助演男優賞

カール・クレモンズ=ホプキンス『Hacks』...大穴
ブレット・ゴールドスタイン『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』...対抗
ブレンダン・ハント『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
ニック・モハメッド『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
ポール・ライザー『コミンスキー・メソッド』
ジェレミー・スウィフト『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
キーナン・トンプソン『サタデー・ナイト・ライブ』...本命
ボウエン・ヤン『サタデー・ナイト・ライブ』...大穴

合計いくつのトロフィーを持って帰るかが楽しみな『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』から、本カテゴリーではなんと4人がノミネート! どのキャラクターも個性的で愛すべき人物であるが、その中でもロイ・ケント役のブレット・ゴールドスタインの受賞を望むメディアが多い。

しかし、最有力候補として名が挙がっているのはキーナン・トンプソンだ。本カテゴリーでは、『サタデー・ナイト・ライブ』でのノミネートだが、主演男優賞(『Kenan』)にもダブルノミネート。2018年にはオリジナル・ミュージック・アンド・リリックでの受賞経験があるものの、演技で賞を勝ち取る時期にきていると評価されている。

■助演女優賞

エイディ・ブライアント『サタデー・ナイト・ライブ』...大穴
ハンナ・エインビンデル『Hacks』
ケイト・マッキノン『サタデー・ナイト・ライブ』
ロージー・ペレス『フライト・アテンダント』...対抗
セシリー・ストロング『サタデー・ナイト・ライブ』
ジュノー・テンプル『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
ハンナ・ワディンガム『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』...本命

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ジュノ―・テンプルとのダブルノミネートとなった『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』。今回はレベッカを演じるハンナ・ワディンガムの受賞を予想する声が圧倒的に多い。サッカーチームの女オーナーという役柄のため、演じる女優によっては"ただの嫌味な奴"に成り下がってしまうところを、絶妙なバランスで愛されるキャラクターに作り上げたことを評価したい。

しかし、『フライト・アテンダント』のロージー・ペレスも忘れてはならない。過去には『In Living Color(原題)』で振付賞へノミネートされたことはあるが、女優としては初。しかも、ラテン系女優として、このカテゴリーにノミネートされるのは歴代3人目となる。『サタデー・ナイト・ライブ』のエイディ・ブライアントは、自身が主演を務める『Shrill』では主演女優賞へノミネート。このカテゴリーでは、テッド・クルーズのものまねを披露した回でのノミネートとなったが、果たしてそれが吉と出るかはどうか疑問に思っているメディアも多い。

第73回エミー賞のレッドカーペットと授賞式は、9月20日(月)にU-NEXTにて独占配信。(海外ドラマNAVI)

Photo:

『フライト・アテンダント』©2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserve…under license.
Apple TV+オリジナル『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
Netflixオリジナルシリーズ『エミリー、パリへ行く』シーズン1は独占配信中
『Hacks』©HBO