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孤独を感じるすべての大人に見て欲しい|知られざるディズニープラスの傑作ドラマ【第10回】

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『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』

ディズニー作品やマーベル、スター・ウォーズなど魅力的なラインナップで知られるDisney+(ディズニープラス)。本企画では、その華やかな作品たちの裏に隠れた知る人ぞ知る傑作をご紹介。第10回となる今回は、ナターシャ・ロスウェルが主演・脚本・製作総指揮を務めた『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』をご紹介しよう。

「人生が始まらない」35歳を描くドラメディ

主人公は、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港でカート運転手として働く35歳のメル。恋愛経験も乏しく、夢を見ることすら忘れ、代わり映えのしない日々を送っていた。そんな彼女は、ある事故をきっかけに、自分の人生を見つめ直すことになる。

親友ロリーや個性豊かな同僚たちに振り回されながらも、「このままでは終わりたくない」と少しずつ変わり始めたメル。空港という慌ただしい場所を舞台に、不器用な大人たちの孤独や友情、そして自己肯定の物語が描かれていく。

『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』

人生に置いていかれた感覚のリアルな描写

本作の魅力は、“人生に出遅れてしまった感覚”を驚くほどリアルに描いている点だ。主人公のメルは、決して特別な人物ではない。単調な仕事をこなし、恋愛もうまくいかず、家族との関係もどこかぎこちない。愉快な同僚たちに囲まれ、一見すると自由で楽しそうな毎日を送っているように見えるが、ふとした瞬間、自分だけが人生に取り残されているような不安に襲われる。そんな日々を繰り返すうちに、気づけば35歳。一人きりで誕生日を祝う彼女の姿には、どこか言いようのない空虚さが漂っている。

『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』

そんなメルが変わるきっかけとなったのは、入院中に出会った老婦人の死だった。誕生日の夜、悲劇に見舞われた彼女に、心から「おめでとう」と声をかけてくれたのは、その老婦人だけだった。朗らかで、どこかメル自身を思わせるその女性は、身寄りのないまま、誰にも見送られることなく静かにこの世を去っていく。

彼女の姿に自分を重ねたメルは、その夜、いつもの明るさを失い、バーで一人涙を流す。ドラマ冒頭の彼女は、まるで「まだ人生が始まっていない人間」のように、自分自身を扱っていた。しかし、この出来事をきっかけに、少しずつ変わり始める。

親友に向かって「もう人生が始まるのを待つのはやめた」と語るシーンは、本作を象徴する名場面の一つだ。空を見上げながら未来へ踏み出そうとする彼女から感じる、確かな“再出発”の気配に勇気をもらえるはず。

人間関係ににじむ大人の孤独

やや暗いタイトルとは裏腹に、本作は全体的に軽快なコメディ調で描かれている。空港職員たちのテンポのいい掛け合いや、メルのどこか不器用で愛嬌のある振る舞いには思わず笑ってしまう場面も多い。しかし本作は、ただ明るいだけのコメディでは終わらない。ふとした瞬間に、登場人物たちが抱える孤独や不安を容赦なく突きつけてくるのだ。

『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』

特に印象的だったのが、第3話で描かれるメルと親友ロリーの衝突シーンだ。メルは新たなキャリアへの一歩を踏み出し、ロリーは恋人との関係を深めていく。互いに人生が前へ進み始めたからこそ、これまで保たれていた距離感に少しずつズレが生まれていく。

親友より恋人や新しい出会いを優先することは、一般的には薄情だと思われるかもしれない。しかし、大人になるにつれ、人との出会いやチャンスは確実に減っていく。一度関係を失えば、新たな居場所を見つけるのは簡単ではない。だからこそ二人は、自分が置いていかれることに強い不安を抱えているのだ。一見すると子どものような口論に見えるこのシーンだが、その奥には、“大人の孤独”や人間関係への焦りが痛いほどリアルに描かれていた。

“人生に乗り遅れた感覚”に心当たりがある人に見て欲しい

『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』

『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』は、決して派手な展開で引っ張っていくタイプの作品ではない。しかし、“人生に置いていかれている感覚”や、“孤独なのに誰にも言えない苦しさ”を、過度にドラマチックに演出することなく、あくまで等身大の温度感で描いている点が本作の魅力だ。

大人になると、こうした孤独や不安を真正面から口にする機会は減っていく。周囲から見れば楽しそうに生活していても、ふとした瞬間に「自分だけが前に進めていない」と感じてしまう。本作が描いているのは、まさにそうした感情だ。

実際、SNSなどでも「自分を見ているようで苦しくなった」といった声が見られ、作品のリアルさや共感性を評価する意見は多い。一方で、「主人公が未熟すぎて見ていてつらい」と感じる視聴者もおり、かなり人を選ぶ作品であることも確かだ。本作は批評家から高い評価を受けながらも、シーズン1で打ち切りとなってしまった。しかし、それでもなお続編を望む声が上がり続けているのは、この作品が単なるコメディではなく、“誰かの人生”として視聴者の心に深く残ったからだろう。

『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』

もし今、「このままの人生でいいのかな」と少しでも感じているなら、『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』はきっとあなたの心に引っかかる作品になるはずだ。

『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』はDisney+(ディズニープラス)で独占配信中。

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Photo:『ハウ・トゥ・ダイ・アローン』
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海外ドラマNAVI編集部

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