2026年も折り返し地点を迎え、今年もすでに、シットコムから医療ドラマ、ホラー、ファンタジー、時代劇、そして現代の社会風刺にいたるまで、数多くの素晴らしいドラマシリーズが誕生している。米Varietyのテレビ批評家アラミド・ティヌブとアリソン・ハーマンの両名が、2026年上半期に放送・配信された作品の中から、それぞれお気に入りの作品を厳選した。今回はその中から、日本国内でも視聴可能な10作品をピックアップしてご紹介しよう。
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『精霊たちの家』 (Amazon Prime Video)

Prime Videoの『精霊たちの家』は、イサベル・アジェンデによる1982年の不朽の名作小説を、目を見張るほど美しく、そして胸を締め付けられるような映像で実写化した作品である。本作は、運命と、彼女たちを支配しようとする暴力的で独裁的な男たちの決断によって翻弄される、トゥルエバ家の3世代にわたる女性たちの姿を追う。
物語は、恐怖に満ちた軍事クーデターの最中にある1970年代から幕を開ける。アルバ(ロチ・エルナンデス)は家族の家へと戻り、亡き祖母クララ(ドロレス・フォンジ)の古いトランクをあさる。クララが遺した古い日記へと飛び込むことで、観客は一気に1920年代の彼女の子ども時代へと引き戻され、そこから再び5つの年代を駆け抜けることになる。壮大な家族のサガという枠を超え、男たちの盲目的な選択が、その周囲にいる女性たちの人生を何十年にもわたるどのように形作っていくのかを、美しくも魅惑的に描き出した必見のドラマだ。
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『インパーフェクト・ウーマン』(Apple TV)

アラミンタ・ホールの同名小説を原作とした、Apple TVのスリラードラマ『インパーフェクト・ウーマン』。歪んだ嘘や邪悪な欺瞞によって、その固い絆を永遠に引き裂かれていく長年の友人である3人の女性たちの人生を描いている。
現代のロサンゼルスを舞台にした本作は、エレノア(ケリー・ワシントン『スキャンダル 託された秘密』)が警察に呼び出され、殺害された状態で発見された親友ナンシー(ケイト・マーラ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』)の遺体の身元確認を行うという衝撃的なシーンから幕を開ける。そこから、エレノアともう一人の親友メアリー(エリザベス・モス『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』)は、ナンシーの身に一体何が起きたのかを突き止めようと奔走することになる。
物語は過去へと遡るフラッシュバックを交え、彼女たちの風変わりな絆を掘り下げながら、お互いに隠し続けてきた数々の秘密や嘘を浮き彫りにしていく。本作は単なるミステリーの枠を超え、友情と「女性であること」を複雑かつ緻密に描いたポートレートであり、同時に「女性たちは、問題のある男たちの秘密を隠し通してあげるという悪習を、自ら進んで捨て去ることがいかに重要か」というメッセージを強く訴えかける作品となっている。
『インパーフェクト・ウーマン』はApple TVで独占配信中。
『欲望のセントルイス』(HBO)

映画『LIFE!/ライフ』やドラマ『パトリオット ~特命諜報員 ジョン・タヴナー~』で知られるスティーヴン・コンラッドは、彼にしか使えない独自の「言語」で脚本を書く男である。というのも、HBOのミニシリーズ『欲望のセントルイス』に登場する精神的に未成熟な大人たちは、英語で不倫劇を繰り繰り広げてはいるのだが、彼らの会話はまるで張り切りすぎた子どものようで、「マジでそれ大好き的な」と言ってはしゃいだり、「そんなの絶対無理!」と言って抗議したりするのである。
クィアや変態性を偏見なく探求することを通じて、子どものような無邪気さを追い求める…。それは一見、矛盾しているようにも思えるプロジェクトだ。だからこそコンラッドはコミュニティ・プールで変死体となって発見された、デヴィッド・ハーバー(『ストレンジャー・シングス 未知の世界』)演じる手話通訳士フロイド・スマーニッチの身に一体何が起きたのかというミステリーのなかにその物語を落とし込んだのだろう。
フロイドと、その妻キャロル(リンダ・カーデリーニ『デッド・トゥ・ミー ~さようならの裏に~』)、そして地元の気象予報士クラーク(ジェイソン・ベイトマン『オザークへようこそ』)の三人が織りなす三角関係は、回想シーンを通じて徐々に全貌が明かされていく。ありふれた郊外という舞台設定であるにもかかわらず、クリエイター、脚本、製作総指揮、監督を兼任するコンラッドが創り出す世界観があまりにも魅力的なため、視聴者は瞬く間にその世界へと引き込まれてしまう。
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『ライバルズ』(Hulu/ディズニープラス)

完璧なまでに小気味よいダークコメディの『ライバルズ』は、ジリー・クーパーの小説「Rutshire Chronicles(原題)」を極上のメロドラマ風に仕立て上げた。
イギリスの架空の町ラトシャーを舞台にした本作は、メディア企業「コリニウム」の専務取締役である伝説的なテレビ局幹部トニー・バディンガム卿(デヴィッド・テナント『グッド・オーメンズ』)と、彼の番組の元司会者であるデクラン・オハラ(エイダン・ターナー『風の勇士 ポルダーク』)との間に勃発する激しい対立を追いかける。派手な啖呵を切ってコリニウムを辞職したデクランは、大富豪であり悪名高いルパート・キャンベル=ブラック(アレックス・ハッセル『エブリシング・ナウ!』)と手を組み、独自のテレビ会社「ベンチャラー」を立ち上げる。彼らはさらに、トニーのプロデューサーであり長年の愛人でもあるキャメロン・クック(ナフェッサ・ウィリアムズ『ブラックライトニング』)を引き抜いたため、トニーの冷酷さと復讐心にさらなる火をつけることになる。
物語はコリニウムとベンチャラーのライバル関係を中心に展開するが、ドラマはそこからさらに外側へと広がり、テレビ局幹部たちを取り巻く世界に私たちをどっぷりと浸らせながら、唖然とするような大どんでん返し、官能的なセックスシーン、そして複雑に入り組んだ企業スパイ活動の数々を鮮烈に描き出していく。
『ライバルズ』シーズン1~2はDisney+(ディズニープラス)で独占配信中。
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『スター・シティ』(Apple TV)

Apple TVの『フォー・オール・マンカインド』は、ソ連がアメリカよりも先に月面に到達したという、宇宙開発競争のもしもの歴史を視聴者に提供してきた。そして今、同じクリエイティブチームが手がけるスピンオフ『スター・シティ』では、鉄のカーテンの向こう側へと足を踏み入れ、ソ連の宇宙開発プログラムの視点からこのパラレルワールドを深く掘り下げている。
緊迫感に満ちた、非の打ち所がないパラノイド・スリラーである本作は、1969年、ソ連の宇宙飛行士アレクセイ・レオーノフ(サム・ウィルキンソン『ザ・クラウン』)が月面着陸を果たしたその日から幕を開ける。そこから物語は、ソ連宇宙開発のチーフ・デザイナー(リス・エヴァンス『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』)をはじめ、常に当局の監視下に置かれている宇宙飛行士たちやその家族の姿を映し出していく。
そこは独創性と才気に溢れた世界であると同時に、政府の圧政と恐ろしいまでの硬直性のせいで、その天才たちと自らのシステムを内部から食い尽くそうとしている(破滅の危機に瀕している)世界でもある。観る者を釘付けにし、深く考えさせる重厚なドラマ『スター・シティ』は、世界一になるために支払わなければならなかった、血塗られた恐ろしい代償の数々を鮮烈に描き出している。
『スター・シティ』はApple TVで独占配信中。
『テスタメント/誓願』(Hulu/ディズニープラス)

高い評価を得た『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の衝撃的な続編となる、ギレアド再訪を描いた『テスタメント/誓願』は、少女期、生存、怒り、そして友情をテーマにした、まさに模範的とも言える傑出した青春の物語。
マサチューセッツ戦争から4年後を舞台にした本作は、ギレアドの司令官の娘として豊かな人生を送ってきた16歳の少女、アグネス・マッケンジー(チェイス・インフィニティ『ワン・バトル・アフター・アナザー』)の姿を追いかける。ギレアドの妻となるべく教育を受ける「プラム」と呼ばれる若い女性たちのために、リディアが運営する準備学校の生徒であるアグネスは、結婚市場へと送り出される準備を進める自らの境遇に満足していた。しかし、ギレアドの部外者であるデイジー(ルーシー・ハリデイ『California Schemin’(原題)』)がやってきたことで、アグネスが自分の人生や周囲の世界について知っていると信じ込んでいたすべてが打ち砕かれることになる。
深く心を揺さぶり、見事な演技によって紡がれる本作は、父権制がいかに女性同士の結びつきが持つパワーを過小評価しているか、そしてそれが往々にして権力側にとっていかに命取りになるかを鮮やかに見せつける、極上の人間ドラマに仕上がっている。
『テスタメント/誓願』はDisney+(ディズニープラス)で独占配信中。
『ヤング・シャーロック ~オックスフォード事件簿~』(Prime Video)

アイコニックな名探偵シャーロック・ホームズは、これまでポップカルチャーの中で飽きるほど描かれてきたが、ガイ・リッチーが監督を務めた新作『ヤング・シャーロック ~オックスフォード事件簿~』は、ファンがかつて見たことのない主人公の新たな一面を提示している。
19世紀後半のイングランドを舞台にした本作の19歳のシャーロック(ヒーロー・ファインズ・ティフィン『ハリー・ポッターと謎のプリンス』)は、決して洗練された探偵などではない。それどころか、自分の進むべき道を見つけられずにががいているトラブルメーカーである。しかし、オックスフォード大学での新しい仕事を通じて、奨学生のジェームズ・モリアーティ(ドーナル・フィン『ホイール・オブ・タイム』)と知り合ったことで、二人はチームを組んで行方不明になった遺物の捜索に乗り出すことになる。
秘密と謎、そしていくつかの爆笑必至の小粋なジョークがふんだんに詰め込まれたテンポの良い全8話を通じて、視聴者はこの新しいバージョンのシャーロックと出会い、彼がその卓越した調査能力を初めて開花させることになる「最初の事件」を目撃する。
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『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』(HBO)

『ゲーム・オブ・スローンズ』の前日譚スピンオフ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は、ある一つの家族が自らと大陸全土を破滅へと追いやる物語にふなふさわしく、陰鬱で重苦しいトーンで描かれていた。しかし、だからこそ第2弾となる本作は、信じられないほどの新鮮さをもたらしてくれる。1話あたりのスマートな短さ、軽快なトーン、そして劇的に縮小された物語のスケールが相まって、別世界へと連れ去ってくれる王道ファンタジーさながらの「ウェスタロスを旅する純粋な楽しさ」を味わわせてくれる。
何よりも重要なのは、作品の根底に確かな感情の錨が存在することだ。それは、みずからを“長身のダンカン卿”と名乗る熱き騎士の卵、ダンカンを演じるピーター・クラッフィーと、毒親だらけの王族から逃げ出して名もなき平民として生きることを切望するエゴン・ターガリエン王子を演じるデクスター・ソル・アンセルの二人が魅せる、抜群の化学反応である。ジョージ・R・R・マーティンの傑作中編小説に登場する「ダンクとエッグ」は、今や私たちが深く感情移入せずにはいられない、血の通った一人の人間として生きている。シーズン2の配信が今から待ちきれないと誰もが思っているが、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』よりも制作スケジュールがはるかに扱いやすいお陰で、その願いは予想以上に早く現実のものとなりそうだ。
U-NEXTではメインキングも同時配信中。
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『ウィドウズ・ベイ』

コメディドラマの脚本家として知られるケイティ・ディッポルの手がけた本作は、ホラーとコメディがこれ以上ないほど自然に融合した傑作である。舞台はニューイングランドにある架空の町。良かれと思って行動するものの、熱病のような現実逃避で町を統治する市長トム・ロフティスが治める、呪われた島だ。
この「ウィドウズ・ベイ」を襲う恐怖の数々は、呪われたホテル、殺人ピエロ、仮面の狂人、巨大な嵐、そして不気味にねじくれた海の魔女にいたるまで、多種多様に富んでいる。すべての恐怖シーンがもたらす緊迫感は、「その結末が悲鳴になるのか、それとも爆笑になるのか分からない」という予測不能さによって、より一層高められていく。
今作の嬉しい誤算となったのは、トムのアシスタントであるパトリシアを演じたケイト・オフリン(『ランドスケーパーズ 秘密の庭』)の存在だ。彼女が抱える人見知りや社会的な不安が、シリーズの中で最も傑出した第4話のカルト的ホラー展開を大いに加速させている。もちろん、クリス・フレミング演じる風変わりな麻薬密売人から、スティーヴン・ルート(『バリー』)演じる百戦錬磨のオカルト信奉者にいたるまで、ウィドウズ・ベイの住人は誰もが強烈な個性を放ち、作品に貢献している。
トムが夢見るような「第二のマーサズ・ヴィンヤード(高級リゾート地)」には到底なれないかもしれないウィドウズ・ベイだが、ここは間違いなく、それ以上に最高で魅力的な場所であある。
『ウィドウズ・ベイ』はApple TVで独占配信中。
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ギレルモ・デル・トロ&小島秀夫がドハマり!新作ホラーコメディ『ウィドウズ・ベイ』が一気見必至と話題沸騰
Apple TVによる新作ホラーコメディシリーズ『ウィドウズ …
『ネイバーズ』

HBOによる“レイト・ナイト”ドキュメンタリーシリーズ。その名の通り、深夜に見るのがピッタリな驚くべき人たちが出てくるドキュメンタリーシリーズで、シーズン2への更新も決定済みだ。実在する近隣住民同士が、文字通り取っ組み合いの喧嘩寸前まで発展した実際のケーススタディの数々を追いかけている。
「アメリカン・ドリーム」にまつわる多くの大いなる大義名分や、事実は小説より奇なりを地で行くようなさらに強烈なキャラクターたちが詰め込まれた、非常にシンプルなアイデアの作品だ。モンタナからフロリダ、サンディエゴからマンハッタンにいたるまで、自分たちの家庭の幸福が脅かされたと感じた瞬間の人間ほど、激昂するものはない。
ディレクターのディラン・レッドフォードとハリソン・フィッシュマンは分断された現代のアメリカの姿を、基本的には1話完結型のオムニバス形式で捉えている。しかし、最終話では、自分の生き方に全く悪びれない全裸主義者が、より価値観の近いコミュニティへの移住を検討する姿をじっくりと描いた長編ストーリーへと昇華させ、番組を真の成功へと飛躍させている。
もし「地獄とは他人のことだ」とするならば、この『ネイバーズ』は、この上なく極上で贅沢な拷問と言えるだろう。
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