『スター・ウォーズ:アソーカ』(以下『アソーカ』)でクリエイターを務めたデイヴ・フィローニが、今年5月に58歳で急逝したレイ・スティーヴンソンをベイラン・スコール卿に起用した理由を語っている。
ベイラン役として考えていたのはレイだけ
アニメシリーズ『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』と『スター・ウォーズ 反乱者たち』にも登場したベイラン・スコールは、フォースとライトセーバーを使いこなす傭兵。『アソーカ』でのベイランは、かなたの銀河へ姿を消した銀河帝国のスローン大提督を連れ戻そうと目論むモーガン・エルズベスと同盟を結び、大提督の帰還を阻止しようとするアソーカ・タノらと対立した。
米Entertainment Weeklyのインタビューに応じたフィローニが、『アソーカ』の脚本を執筆するにあたり、ベイランを演じてほしい俳優として念頭にあったのはレイだけだったと明かした。『~クローン・ウォーズ』と『~反乱者たち』で製作総指揮・監督を務めていたフィローニは、その時にレイと絆を深めたという。「レイとの仕事に興味を持った理由は、彼が才能にあふれ、信じられないほど優れた俳優だからですが、人間としても本当に優しく、とても人生を大切にしていたからです」と、再タッグの理由を明かした。
またフィローニは、『アソーカ』で危険なほど大きな野心を抱いていたベイランを、レイは単なるヴィランではなく白黒つけがたい複雑なキャラクターとして捉えていたとも説明。レイは、撮影が休みとなる週末の間にベイランのキャラクター像を練り、衣装の細部に至るまで考え、月曜日に撮影セットへ戻ると、フィローニと話し合うためにアイデアのリストを見せて話し合うという流れを繰り返していたそう。
フィローニは、「撮影中に僕が、“レイ、君は悪役なんだよ。それは理解しているよね?”と言うと、彼は“そうは思わない”と答えていました。それで、“分かった。君がそう思っていないことを尊重するし、ベイラン自身は自分がヴィランだと思っていないのだろう。だけど、この作品での君はヴィランなんだよ”と伝えると、彼は“どうだろうね”と反応したりして…そんな感じで完璧でした」と回顧。ベイランのキャラクター構築にレイが大きく貢献したと述べた。
『アソーカ』にはほかにも数多くのヴィランが登場したが、特にベイランが大きな人気を博した理由は、残忍だが思慮深く、独自の道徳律を持つ彼に、視聴者が感情移入しやすかったからかもしれない。なお、『アソーカ』でベイランについて明かされなかった謎が多く残っているため、『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』などのアニメシリーズで、彼の物語が継続される可能性も示唆されている。
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Photo:『スター・ウォーズ:アソーカ』© 2023 Lucasfilm Ltd.