『マイティ・ソー』シリーズでお馴じみのヴィラン、“悪戯の神”ことロキを主人公にした『ロキ』は、Disney+(ディズニープラス)のマーベルドラマで唯一シーズン2が製作されているシリーズだ。そんな『ロキ』が持つ、Disney+の他オリジナル作品にはない魅力とは何なのだろうか?
「モダン」と「レトロ」の組み合わせ
『ロキ』は、TVA(時間変異取締局)に捕らえられたロキが、時系列を乱す危険性の高い時間軸を剪定して神聖時間軸を正す任務を課され、相棒メビウスと共にマルチバースを飛び回る活躍がスリリングに描かれる。
米CBRは、本シリーズではキャラクターが様々な時代を行き来するため、「モダン」と「レトロ」の組み合わせが際立っており、その点が他のマーベルドラマと一線を画していると指摘している。「モダン」と「レトロ」のギャップは、舞台美術やキャラクターの衣装に顕著だ。
まず、番組の建築はモダニズムのデザイン、特にネオ・フューチャリズムとブルータリズムの建築、ソビエト社会主義の芸術にインスパイアされているという。テクノロジーの要素を取り入れているネオ・フューチャリズムは、TVAが最新技術を使って時間をコントロールしようとする試みの本質に合致している。さらに、ソビエトの社会主義を連想させる舞台美術は、「個人的な感情や芸術よりも職務が重要」だというTVAのイデオロギーと、社会主義の労働観念に重なる部分がありそうだ。
ファッションについては、ロキたちが1890年代にタイプスリップするエピソードでは、キャラクターが山高帽やレトロなスーツ、淑女的なドレスを身に着け、80年代が中心となるエピソードではマクドナルドに勤務するシルヴィが、その時代のカラフルでキッチュなユニフォーム姿で登場し、視聴者の目を楽しませてくれる。
さらに『ロキ』では、オレンジやブラウンなど温かみのある中間色が基調となり、70代のファッションやインテリアに多用されたカラーにより、過ぎ去った時代を思い起こさせてくれる。そんな点も他のマーベルドラマにはない要素で、一目で『ロキ』だと分かる効果を発揮していると言えるだろう。
ディズニープラスとマーベル・スタジオがファンの注目を集めたいのであれば、ロキを見習って、自分たちの番組にもっと個性的なスタイルを持たせる勇気を持つべきかもしれない。
『ロキ』シーズン2は、ついに本日11月10日(金)より最終話が配信される。(海外ドラマNAVI)
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Photo:©2023 Marvel