カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた『パルプ・フィクション』やカンフー映画の要素を取り入れた『キル・ビル』シリーズをはじめ、過激な暴力描写とダークユーモアを投入した特異な表現で、独自のスタイルを生み出してきたクエンティン・タランティーノ監督。ハリウッドの重鎮的存在となった鬼才は当代きってのシネフィルとしても知られているが、そんな彼が、米HBO製作による“あの人気ドラマシリーズ”を「嫌いな作品」として挙げている。
意外?あの犯罪捜査シリーズを「本当につまらないと思った」
まず、タランティーノが「気に入らない作品」としてピックアップしたのは、アンソロジードラマ『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』。2015年に米New York Magazineのインタビューでタランティーノは、シーズン1第1話で観賞することを止めたと明かし、その理由を次のように説明している。
「シーズン1第1話を観ようとしたんだけど、全然入り込めなかったよ。本当につまらないと思った。それにシーズン2も酷そうだったね。予告編を一見しただけで、ハンサムな俳優たちがハンサムに見えないように努めて、世界の重荷を背負っているような顔で歩き回っていたから。すごく深刻な感じで、彼らは拷問でも受けているかのよう。口髭とみすぼらしい服で惨めに見せようとしていてさ」
ちなみに、お気に入りのドラマシリーズに『JUSTIFIED 俺の正義』と、意外や『ママと恋に落ちるまで』を挙げ、一番好きなドラマ作品としてはHBO製作の社会派ドラマ『ニュースルーム』をチョイスしている。
人気ドラマシリーズから生まれた映画も酷評
そして、タランティーノは「嫌いな映画」の1本として、1992年に公開された『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』をピックアップ。本作は、デヴィッド・リンチが手掛け、カルト的人気を誇るドラマ『ツイン・ピークス』から派生した映画作品だ。1992年に米LA Weeklyのインタビューに応じたタランティーノは、大企業との癒着を警戒しつつ、スタジオとバランスの取れた関係を保つことの重要性に触れながら、『ローラ・パーマー最期の7日間』を以下のように評している。
「他の人のことをとやかく言うつもりはないけど、カンヌ国際映画祭で『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』を見た後、デヴィッド・リンチは彼のケツの穴の奥深くに消えてしまったようなものだったから、何か違うことを耳にするまでは、もうデヴィッド・リンチの映画を観る気になれなかったよ。僕は彼のことが大好きだったんだけどね」
なおタランティーノは現在、映画監督としては引退作になるとされている『The Movie Critic(仮題)』に着手しているようだ。
参照元:米IndieWire
(海外ドラマNAVI)
Photo:クエンティン・タランティーノ©Maurice Clements/FAMOUS/『True Detective』 (2014) - filmstill (c)amanaimages/『ツイン・ピークス2』(C)1992TwinPeaksproductions.AllRightsReserved.