1970年代にイギリスから世界的なムーブメントを起こした伝説のパンク・ロック・バンド「セックス・ピストルズ」。そのギタリスト、スティーヴ・ジョーンズの自伝を基にしたドラマシリーズ『セックス・ピストルズ(原題:Pistol)』が、本日7月13日(水)よりDisney+(ディズニープラス)のスターで配信スタート。この配信開始を記念して、本作の脚本を手掛けるクレイグ・ピアース(『ムーランルージュ』)のインタビューが到着した。
『セックス・ピストルズ』あらすじ
1970年代にイギリスから世界的なムーブメントを起こした伝説のパンク・ロック・バンド「セックス・ピストルズ」のギタリスト、スティーヴ・ジョーンズの自伝「Lonely Boy: Tales from a Sex Pistol」を基に、セックス・ピストルズを描く物語。
1975年にデビューした彼らは反体制的な歌詞、斬新なファッションなどによってすぐに注目された一方、危険視され中止運動が起こるなど世間を騒がせる存在となる。しかし、アメリカツアーの失敗、バンド内の不和、突如の脱退などによって、活動時期はたった3年にも満たず終わりを迎える。
『セックス・ピストルズ』キャスト
セックス・ピストルズのメンバーを演じるため、イギリスの若手俳優たちが集結。ヴェネチア映画祭最優秀新人賞に輝いた『ベイビーティース』のトビー・ウォレスがギターのスティーヴ・ジョーンズを演じる。ドラムのポール・“クッキー”・クック役を本作で俳優デビューとなるジェイコブ・スレイターが、『1917 命をかけた伝令』のアンソン・ブーンがボーカルのジョン・ライドン役を、TVドラマで着実に実力をつけるクリスチャン・リースがベースのグレン・マットロック役を、そして『エノーラホームズの事件簿』で注目を浴びたルイス・パートリッジが二代目のベースとなるシド・ヴィシャスに扮する。今回のキャスティングが決定した際は、「伝説的なアイコンを演じることに、すごいプレッシャーがあった」と口をそろえて言うほど重圧があったようだ。
さらに、セックス・ピストルズに多大な影響を与える周囲の人物役で個性的なキャストが出演する。“セックス・ピストルズの生みの親”と呼ばれ、マネージャーを務めたマルコム・マクラーレン役にはトーマス・ブロディ=サングスター(『メイズ・ランナー』シリーズ)、ファッションデザイナーとしてはもちろんマルコムと共に彼らをプロデュースしたヴィヴィアン・ウエストウッド役にタルラ・ライリー(『ウエストワールド』)、“パンクの女王”ジョーダン・ムーニー役にメイジー・ウィリアムズ(『ゲーム・オブ・スローンズ』)、シドの恋人で悲劇的な最後を迎えるナンシー・スパンゲン役にエマ・アップルトン(『ウィッチャー』)、ヴィヴィアンのブティック「SEX」で働き、その後プリテンダーズとして活躍するクリッシー・ハインド役でシドニー・チャンドラー(『SKAM Austin(原題)』)がら出演。
監督を務めるのは、今なお世界の若者を魅了する『トレインスポッティング』、アカデミー賞監督賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネア』など、数々の名作を生み出してきたダニー・ボイル。脚本は、『ムーランルージュ』『華麗なるギャツビー』などを手掛けたクレイグ・ピアース。
クレイグ・ピアース「僕たちはドキュメンタリーを作ろうとしているわけじゃない」
――本作は、よくある伝記ものとかではありません。ピストルズがそういう時代に生まれてきたという瞬間があります。でも、こういった作品で時々、それは安っぽく聞こえます。この脚本を書くにあたって、あなたは本作で何をしようとしたんですか?
あなたが言いたいことはわかるよ。なぜこれらのことが時々本物でないとか、安っぽく感じられるかというと、とても有名なものとか、人とかを描いていると、それは目新しさが失われる傾向にあるからだよ。
彼らがどういう人で、何をした人なのか、すでに知られている。でもそれは、彼らのイメージだけなんだ。そして、どんな脚本家も、そのキャラクターの本質的な真実と、そこに内存するすべての矛盾を捉えようとする。良いこと、悪いこと、醜いこと、魅力的なことすべてをね。
僕がこのプロジェクトを引き受けた唯一の理由は、スティーブ・ジョーンズ著の「Lonely Boy」に、感情に訴える適切なものがあったからなんだ。それは素晴らしかった。
もちろん、僕が引き受けるどんなプロジェクトでも、そしてほとんどの脚本家たちも同じだと思うけど、ものすごい量のリサーチをしないといけない。自分の心の中にその世界のイメージを築いて、その世界に対するフィーリングを作り上げないといけない。自分の想像の中にそれを宿せるようにするために。でなければ、それは蓄積するだけ。必ずしも脚本に入らないものを読むことになるけど、それはより広い理解を与えてくれる。
このバンドが何をやったのか、彼らが何を表現したのか、より広い意味で、パンクが何を表現したのか。彼らは未来のない虐げられた子供たちだった。そして、それに反抗して、彼らの未来を作り出した。社会の核心を揺さぶったんだ。
彼らは最終的に、たった12曲がレコードにスクラッチされただけ。彼らは1枚のアルバム“Never Mind the Bollocks Here’s The Sex Pistols”(「勝手にしやがれ!!」)しか作らなかった。でも、それは社会を本当に変えた。そして彼らに未来を与えた。他のアーティストたちが立ち上がって何かを言うように刺激した。ポピュラー音楽や文化の世界を変えたんだ。
もちろん、物事は周期的に進む。このストーリーをまた語るのが重要な理由は、当時社会が経験していた多くのことに、今の社会もまた苦しんでいるから。保守的な反発、多くの人々にとっての経済的絶望感、その上、僕たちが直面している環境的危機もある。そういった葛藤や何かを言おうとすることは、人々がよく経験すること。だから、大きなレベルで、それは重要なストーリーなんだ。
でも、それが、人々が実際に耳を傾けるストーリーになる唯一の方法は、人との交流にあるハートや感情、そのストーリーに伴うリアルな人間の感情を捉えること。それがドキュメンタリーには出来なくて、ドラマに出来ることだから。僕たちはドキュメンタリーを作ろうとしているわけじゃない。
――なぜ今、ピストルズについての番組を製作することにしたのでしょうか?
プロデューサーのゲイル・ライオンが僕に伝記を送ってきたんだ。それが、まず僕をとても夢中にさせた。そして、僕はずっとあの時代やパンクが大好きだったんだ。僕が子供の頃、パンクは本物であることのキャッチフレーズだったよ。
彼らが何に反対していたのか、彼らが何と戦っていたかを語ること、そして、それに光を当てることが重要だと思った。ある特定の文化や時代のいわゆる忘れ去られた世代に耳を傾けるのは重要だということを、社会に思い出させるためにね。
感情的なアンカー(支えとなるもの)を持った興味深いキャラクターがたくさんいて、素晴らしい話だから。もし物語があまりに広がり過ぎていたとしても、アンカーが僕たちを夢中にさせる。すべてがストーリーなんだ。そうだよね? 政治、宗教、家族。すべてがストーリーなんだ。
――本作はスティーブ・ジョーンズの回想録を基にしています。本をドラマシリーズの脚本にするプロセスはいかがでしたか?
とても難しかったよ。回想録とか伝記は、明らかに彼が当時どのように感じたり、考えたりしていたかについての内面の議論といったものだ。当時の彼と、今の彼は違う、とかいろいろあるんだ。もちろん作家として、内面のことを取り上げて、それを具体化する方法を見つけるのが仕事だよ。
僕は元々第1話だけを書いていた。最初のエピソードにすべてのキャラクターたちが出てくるわけじゃないけど、この番組の本質を反映していないといけない。だから、たとえそれが60ページしかなくても、書いて、何百回と書き直して、書き直された60ページなんだ。
脚本を書く時、とても大まかな感じで始めるんだ。なぜなら、よく知らないから。それから、「そうだ。まさにこれだ!」となるまで何度も、磨いて、磨いて、磨くんだ。それからリサーチがある。すごい量の本を読んだり、見つけられるすべての人と話したりする。セックス・ピストルズのドラマーだったポール・クックらは時間をとても寛大に割いてくれた。彼は今もスティーブの親友なんだ。彼はスティーブの特徴とか、いつも可笑しい人だったとか、いつも一緒にいたいと思う人だったと話してくれて、ちょっとしたことでも、キャラクターに光を当てるのにとても助けになったよ。
――ダニー・ボイルをこのプロジェクトの監督に迎える重要性について、また彼がどんなエネルギーを本作に持ち込んだかについて教えてください。
僕たちは監督を見つけるために、いろいろするつもりはなかった。完璧な監督はダニー・ボイルだと思っていたから。それで、僕たちは彼に脚本を読んでもらうことができた。今考えると、これは論理的なことだと思う。ダニーは、セックス・ピストルズのギタリスト、スティーブ・ジョーンズと同じ年齢だった。そしてパンクは、ダニーにとってすごく重要だったんだ。ダニーも労働階級のバックグラウンドの出身だったから。彼によると、愛情あふれる家庭の労働階級のバックグラウンドだった。
そして彼はマンチェスター出身だ。とても賢いクリエイティブな子供の一人で、社会が彼らに何を提供しているかを見ていた。そしてその答えは、大して何も提供してくれないというものだった。でも、セックス・ピストルズやそういったバンドは、彼に何か言えるかもしれないということを信じさせ、実際言えるように鼓舞したんだ。
ダニーは音楽やストーリーにとても情熱を持っている。それで、彼は引き受けたんだ。そして、混沌としたパンクの世界を僕は、出来るだけ脚本のスタイルで具体化しようとした。でも、それをスクリーン上でうまくいくようにするための方法を見つけるためには、ダニーのようにビジョンを持った監督が必要だったんだ。
ダニーがやった素晴らしいことの一つとして、「バンド・キャンプ」というものを作ったことだよ。彼はそこで、役者たちを集めて、彼らに楽器を学ばせたんだ。番組で見るすべての音楽は、それがスクリーン上で演奏されている時、実際に俳優たちがライブで演奏しているものを録音したものなんだ。ポストプロダクションで、再録したものはない。口パクすることはなかった。それはまた、芝居のリハーサルを始める前に、彼らがキャラクターたちを自分たちのものにし、バンドになることを可能にした。
とても詳細にわたる長いリハーサル期間があったよ。それはまた、本物らしさを足すことになった。僕はリハーサルを見たことで、脚本を書き直したけど、とても多くのことを学んだよ。
『セックス・ピストルズ』は、7月13日(水)よりDisney+(ディズニープラス)にて独占配信開始。
(海外ドラマNAVI)
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Photo:『セックス・ピストルズ』©2022 FX Productions. All rights reserved.