【お先見】『グッド・プレイス』地獄にいくはずがたどり着いたのは天国！ あの世を舞台にしたシットコムが誕生

「悪いことをするとバチがあたる」という言葉、きっとみなさん聞き覚えがあると思いますが、今回ご紹介する『グッド・プレイス』の主人公エレノアは、「悪いこといっぱいしてきたけど、天国に来ちゃいました！」という、とってもうらやましい（？）キャラクターです。

映画『フィールド・オブ・ドリームス』ドラマ版、『グッド・プレイス』クリエイターによって製作

1989年にケヴィン・コスナー（『ザ・テキサス・レンジャーズ』）主演で大ヒットした感動大作『フィールド・オブ・ドリームス』が、米NBCの配信サービスPeacockでドラマ化されることが明らかになった。米TV Lineらが報じている。 1960年代のアイオワ州を舞台に、野球にかける夢や希望、家族の絆を...

『ヴェロニカ・マーズ』や『HEROES／ヒーローズ』といったドラマや、世界中で社会現象を巻き起こしたディズニー映画『アナと雪の女王』のアナ役で知られるクリステン・ベル演じるエレノアは、ふと気づくと見知らぬ部屋におり、そこに現れた人から自分が死んでしまったことを告げられ、今いる場所はあの世であることを知ります。Good Placeと呼ばれる場所にいる彼女に対し、ここの創造者であるマイケル（『CSI：科学捜査班』のテッド・ダンソン）は、そこに来られるのは生前にとにかく良いことをしてきた人たちだけだと教え、いかにエレノアが素晴らしい人物だったかを語るのでした。

しかし、実はマイケルが絶賛していたのは同姓同名の別の人物であり、今ここにいるエレノアはむしろ悪人...（笑）病気に悩むお年寄りに効き目のない偽の薬を売りつけていた彼女がGood Placeに来れるはずなんてこれっぽっちもないのです。かといって、聞かされた音の様子だけでもおぞましいことが伝わってくるBad Placeに自ら行きたいとはとても思えません。

全てがパーフェクトで、住人は皆仲良く幸せに暮らしているGood Placeでは、住む家と運命の相手がすでに用意されています。エレノアのソウルメイトは、ナイジェリア出身でセネガル育ちの真面目な青年チーディー。彼には正体を明かし、一緒にウェルカムパーティーに参加しますが、エレノアがパーティーで行った無礼な行動が原因で、朝起きてみるとGood Placeは住民が空飛ぶエビ（！）に襲われたり、巨大な穴が突如現れたりと、カオス状態になってしまいます。その理由は...、もちろん本来いるべきでないエレノアが原因です。こうなったら残るために彼女がすることは一つしかありません。そう、Good Placeに相応しい良い人になること。でも、生前ひたすら人を利用してきたエレノアにとってそう簡単にはいかないのでした。

クリエイターを務めるのは『Parks and Recreation（原題）』や『サタデー・ナイト・ライブ』、『Brooklyn Nine-Nine（原題）』で脚本を担当していたマイケル・シュア。2度のエミー賞受賞歴のある売れっ子です。先月行われたエミー賞授賞式でも『マスター・オブ・ゼロ』のプロデューサーとしてノミネートされていました。そんな彼の手掛けるシットコムということで前評判も高く、「天国をテーマにしているのに笑えるの？」と思っていたのですが、第1話からとにかく笑いっぱなしです。エレノアがGood Placeに到着してから、生前の行いがどのように採点されてきたかという説明があるのですが（例えば、悲しんでいる友人をハグしたらプラス4.93ポイント、ウエイトレスにチップをあげなかったらマイナス6.63ポイントなど）、なぜだかリアルに思えてきちゃうんです。誰も死後の世界についてわからないのですからなおさらです。また、Good Placeでは汚い言葉を使うのはご法度。Fワードは自動でFork（フォーク）に変換されて口から出てくるんですから！　そんな細かい設定がきちんとされているからこそ、ありえない世界観でも、すんなり入っていくことができます。

天国の設定が面白いことに加え、主演を演じるクリステンの普通っぽさがこのシリーズが受け入れられる理由でしょう。彼女はいわゆる「Girl Next Door」（どこにでもいそうな女の子）タイプなのですが、そんな普通の子でも、実際はズルをするし、人を利用するし、嫌味ばっかり言うし、ダメなところはたくさんあります。まるで自分自身を見ているかのような気持ちまで生まれてくるほどです。

同じように、ダメな人たちを見て笑える30分のシリーズといえば、『フィラデルフィアは今日も晴れ』、『Girls／ガールズ』、『ラブ』、『マット・ルブランの元気か～い？ハリウッド！』などがありますが、『The Good Place』もそれらに続く新しいシットコムになるはず！

最後になってしまいましたが、ドラマファンにはお馴染みのテッド・ダンソンも忘れてはいけません。『CSI』シリーズのお堅いイメージがあるかもしれませんが、アメリカでは彼の代表作と言えば、1982年から1993年まで放送されていた国民的シットコム『Cheers（原題）』やコメディ映画『スリーメン＆ベビー』なので、やっとコメディに戻ってきてくれましたーという感じもあり、今後の展開が楽しみです。

Photo：クリステン・ベル©Kazuki Hirata / HollywoodNewsWire.net
テッド・ダンソン©Kazuki Hirata / HollywoodNewsWire.net
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