あれから20年...『SATC』4人のキャスティング秘話

今から20年前、クリエイターのダーレン・スターは女性の友情と恋愛関係を描く新しいドラマのためのオーディションを行っていた。そのドラマこそ、今なお多くのファンに愛されている『SEX AND THE CITY』(以下『SATC』)。『ビバリーヒルズ高校/青春白書』や『メルローズ・プレイス』などを生み出してきたヒットメーカーはどのようにして、キャリーやサマンサ、シャーロット、ミランダらを発掘したのだろうか。

【関連記事】『SATC』VS『CSI:ニューヨーク』リアルなニューヨークを描いているのはどっち?

『SATC』は、「Me Too」が叫ばれ、女性を中心とした番組が意欲的に製作される時代が訪れる前から、人知れず傷ついている独身のキャリアウーマンを主人公にし、女性の友情、女性のエンパワーメント、カジュアルなセックスをテーマにしていた。そして、後に二本の映画、そして前日譚を描く物語『マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~』まで製作される大ヒットシリーズに成長した。

『SATC』がスタートしてから20年が経った2018年現在、サラ・ジェシカ・パーカー(キャリー役)、キム・キャトラル(サマンサ役)、クリスティン・デイヴィス(シャーロット役)、シンシア・ニクソン(ミランダ役)の4人がキャスティングされるまでを、米Varietyの取材でスターが振り返った。

主演サラについて。「パイロットを書いた後、私はサラこそキャリーにぴったりの女優だと思った。もともと彼女の大ファンだったし、面白くて、いつもとてもスマートだからね。素晴らしいコメディの素質を持っているとも思っていた。それらを兼ね備える彼女にこの役は完璧にフィットするように感じたんだ。ニューヨークで一緒にランチをした時おそらくサラは、"この男は誰?""この脚本は何?"と思っていただろうね(笑)。でも、脚本を気に入ってくれたよ。彼女は主に映画で活躍していたから、TVシリーズをやるということに壁はあったかもしれないが、それがHBOだったということが違いをもたらしてくれた」アメリカではAリスト俳優でもオーディションを受けて役を得ることは知られた話だが、スターの希望によりサラに直接オファーをし、オーディションなしで配役が決定したという。

次にシャーロット役のクリスティンについて。「私は『メルローズ・プレイス』で彼女をキャスティングしていたんだ。その時彼女が演じたキャラクターが大好きだったが、クリスティン自身とは違う面があることはわかっていたし、シャーロットなら彼女自身を反映させることができると思った。だからこそ、彼女にぴったりだと感じたし、一緒に仕事をしていたという強みもあったからね」クリスティンはオーディションを受けていたようだが、スターはその詳細を覚えていないほど、シャーロットには彼女がハマる! と強く確信していたのだそう。

続いて、ミランダ役のシンシアについて。「シンシアは、おそらくニューヨークで脚本を読んでもらったはずだ。シンシアはニューヨークの舞台女優として伝説の存在だった。彼女の読みは素晴らしかった。ミランダになりきっていたから、"シンシアは本当にミランダのような女性なんだ"と私は思いこんでいたくらいだよ」

最後に、サマンサ役のキムについて。「キムは当初この役をやりたくないと思っていたんだ。オーディションに呼ぶにはかなり説得しなければいけなくて、実際に私たちは他の女優をキャスティングしようともしたんだけど、ギリギリのところで一緒にランチをすることができて、キムはオーディションに参加することを同意してくれた。もちろん、彼女は素晴らしかったよ。それによって、僕らはもう1人の候補だった女優からキムに変更せざるを得なくなったわけだ」

もはやほかの女優でこの4人のキャラクターを想像することはできないほどハマり役となっているが、スターも「キャスティングは本当に幸運なことだ。適切な人が適切なタイミングで参加できる時間が必要」だと明かし、「それもドラマを作るという仕事の魔法の一つだよ。4人の彼女たちもね」と語った。(海外ドラマNAVI)

Photo:『SEX AND THE CITY』
(c)2014 Home Box Office,Ink.All rights reserved.HBO(R) and all related