今秋シーズン10がスタートする米AMCの大人気サバイバル・パニックドラマ『ウォーキング・デッド』だが、その原作者でプロデューサーのロバート・カークマンが利益配当をめぐり放送局のAMCを訴えている件に進捗があったようだ。米Deadlineが報じている。
2017年8月にさかのぼるこの争いは、カークマンに加えて、同じく製作総指揮者のゲイル・アン・ハード、デヴィッド・アルパート、チャールズ・H・イグリー、そして元ショーランナーのグレン・マザラがAMCを訴えた件。彼らは『ウォーキング・デッド』および、本国で同作の直後に放送されるトーク番組『トーキング・デッド』、スピンオフの『フィアー・ザ・ウォーキング・デッド』において自分たちが多大な利益をもたらしたにもかかわらず、局側が帳簿を操作したために正当な報酬を受け取っていないとして、ロサンゼルス郡上級裁判所にて訴訟を起こしていた。
8月28日(水)、ロサンゼルス上級裁判所判事のダニエル・バックリーは、カークマンらがAMCとの問題を解決するために、2020年2月10日からミニ裁判を行うよう裁定した。ミニ裁判とは、普通の裁判のように双方が言い分を主張するものの、その相手は裁判官や陪審員ではなく案件の関係者。今回のような内輪揉めのケースでよく用いられる方式で、それぞれの主張を受けた話し合いを経て和解するパターンが多い。今回なら2~3週間かかるだろうと言われている。
『ウォーキング・デッド』スタッフとAMCとの訴訟といえば、シーズン1でショーランナーを務めていたフランク・ダラボンも、同局から受け取るはずの利益配当金が支払われていないと主張して2013年にニューヨークで訴えを起こしている。およそ3億ドル(約318億円)を請求する同案件は、カークマンのミニ裁判後の2020年5月に裁判が始まる予定だ。
AMCの弁護士は「(カークマンたちの)ロサンゼルスでの案件と(ダラボンの)ニューヨークの案件との掛け持ちにより、非常に困難な作業となる」とその大変さをアピールし、ミニ裁判を来年2月から同年9月に延期してほしいと希望。だが、カークマンらの弁護人は「忙しいのはみな同じだが、まだ5ヵ月も先の話なのだから対応は可能なはず」と反論している。
AMC側としては、ミニ裁判の1年延期を提案することでミニ裁判そのものの実施や和解への道を閉ざしたいようだ。すでに数年越しとなっているこの問題が、映画化も決まっている『ウォーキング・デッド』フランチャイズに影響を与えるかどうかは現時点では未定だ。(海外ドラマNAVI)
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ロバート・カークマン(左から2番目)と『ウォーキング・デッド』のキャストたち
(C)Michael Moriatis/AMC