スターチャンネルEXで第1話先行配信中、BS10 スターチャンネルでは12月19日(日)に無料放送が控えている『チャペルウェイト 呪われた系譜』。この度、主演を務めるエイドリアン・ブロディとエミリー・ハンプシャーより届いた貴重なインタビューが解禁! 両者とも大好きだというスティーヴン・キング作品の魅力や役の見どころ、撮影の裏側、本作が他のキング作品と違う点などを語ってくれた。
チャールズ・ブーン役エイドリアン・ブロディ
――スティーヴン・キングの作品はこのシリーズの前からお好きでしたか?
彼の作品はどれも皆好きなんだ。スティーヴン・キングが書くホラーはただ怖がらせるためだけのストーリーじゃなくて人間を深く観察しているところから来てるので、人間の複雑な心理を良く掴んだドラマ性が非常に強い。そこが僕は好きなんだ。彼の本ももちろん好きだし映画やTVシリーズになったものも全部好き。彼みたいな幅広いジャンルで沢山作品を書き続ける作家が存在すること自体に感謝している。
――『チャペルウェイト 呪われた系譜』がスティーヴン・キングの他の作品と違う点は何だと思いますか?
まず彼の作品は膨大な人間観察が元になっているからどれも違う要素を持っていると思うけど、これは特に1850年代という時代背景から現代ものとは違う、あの時代独特の暗さや重たさが織り込まれていると思う。過去を背景にしているということから、現代にはない、のしかかるような手作りの感じがホラー要素をさらに強め、迫り来る危機感に不気味さを増してると思う。移り住んだ街の住民ははっきりしない理由で彼らを邪魔者扱いにする。壁から何か訳の分からない不気味なものがニュルニュルと出てきたり、味方も無ければ自分たちを護る手段も限られていて孤立無援。そんな中で家族を護り何とか運命を切り開いていこうとするチャールズ・ブーンがとても好きだった。
「呪われた村〈ジェルサレムズ・ロット〉」 (このテレビシリーズの基になっているキングの短編)を読んでいる時に感じたのは、本の中ですでにこのキャラクターは凄く立体的に描かれていて彼が感じている事が目に見えて来ると言う感じだった。彼の持ってる恐怖、戸惑い、家族への限りない思いなどが文字を追うだけで伝わってくるように書かれていたんだ。
――『チャペルウェイト 呪われた系譜』はホラーストーリーですが、怖い要素だけではなく非常にドラマ的な部分も強い物語だと思います。ホラー作品の役作りに何か他にはないこだわりみたいなものはありますか?
僕は私生活でも演技の時も割りとドラマチックなアプローチで行く方だと思うよ(笑)人生そのものがドラマ満載だしね。だからドラマの中にもホラー要素はあるし、ホラーの中にもドラマの要素がある。コメディの中にも悲劇があり、悲劇の中にもコメディがあるように、それはその人次第と言うことにもなる。悲劇をコメディと感じるか、コメディを悲劇と感じるかは君次第ってこと。どんなキャラクターを演じる時でも必ず守る事があって、そのキャラクターが感じているエモーションの真実を探りだすと言うこと。
フィクションの中のキャラクターでも実存したキャラクターでもそのキャラクターに対する敬意として、何をどういうふうに感じているかを必ず追求している。人間の取る行動はすべて内面で感じていることが発端となる訳だから。まずこのキャラクターは何を感じて、だからこそこういう行動を取っているのだと基礎を固めること。その役が置かれてる環境の中で、何にどんな反応をしているのか? 演じているキャラクターがそのストーリーの経過の中で持ち続けているビジョンを活かすということ。そのビジョンはどこからきたものなのか? その瞬間その瞬間に息を吹き込み生きたものにする。呼吸していることを感じる生きている生の瞬間。このアプローチはドラマ、ホラー、コメディ、どんな役を演じる時も同じものだと思っている。真実の瞬間を追求する。
ただ、ホラーやスーパーナチュラルものの時は少々気負いを入れる。なぜかを言うとホラーやスーパーナシュラルものが見ている人に与えるのは、普段僕達が見聞きし体験すること以上のものだからなんだ。普通の物差しでは測れないもの。それがやっている方にも見ている方にも面白さを増してくれるんだと思っている。
――この役がオファーされて脚本を読んだ時の反応はいかがでしたか? 主演でこのシリーズを引っ張っていく役柄の上にシリーズの中の若い家族をリーダーとして引っ張っていく役目もある訳ですよね?
役者を始めた時はまだ若かったけど今この段階では大人になった自分を感じている。責任ある立場、責任を持って行動する役柄というものに同感できるというか、理解できるようになったというか。若い頃よりそのようなキャラクターをエンジョイできるようになったと思う。『チャペルウェイト』の役柄が気に入ったのは子ども・家族がいる環境。家族をどんなことがあっても守ろうとする優しさと責任感。愛する人たちを守ろうとする彼の強い思い。そんな部分が僕自身の中にあるものと共鳴したんだ。
若い共演者たちを自分の体験を通して理解しサポートできると思ったし、カメラの前に居る時のみならず、いろいろな面で彼らを護ることも出来ると思った。共演者との繋がりはどんな映画の時も大事な要素ではあるけれど、とくにストーリーが家族を愛する人を中心に回転する場合は感情的な繋がり、安心感、お互いを守りたいと思う心、そういったものが特に大切な要素になるからね。彼らを護る心の余裕を持ちたいと思ったし、持てると思ったから。
――ホラー映画は見ている人を恐怖で包みます。あなたを恐怖させるものは何でしょうか?
ニュースが怖いよ。今のニュースは今までに無く恐ろしいものばかり。世界中で悲劇が発生してて、毎日怖いこと、悲しいことが報道されている。アフガニスタンの想像に絶する悲劇とインジャスティス(不正義)が僕たちの目の前で繰り広がり、僕たちはその大悲劇の目撃者となっている。なんという女性蔑視の現実。それをなんとかしたくても何も出来ないでいる人たち。そんな環境の中に居る人たちのことを思うと身体が震える思いなんだ。自分の生まれた国に居ながら安全は一切保障されず恐怖の中で日々を過ごす。現実の中のホラーに続くホラー。想像を絶するよね。映画はその人生のホラーを再現して擬似体験させてくれる。映画観賞は現実逃避に良いというけれど、恐怖を擬似体験させてくれる場合もある。人間の苦闘、サバイバルの厳しさ、生活の中で実際起きているホラー、それを見せてくれて自分たちが普段使ってる計算方法以上のものを与えてくれる。それを通して自分が体験したことが無いことを知り、その渦中にいる人たちの体験を身を持って感じ理解する事のヘルプになると思ってる。
――ホラーという要素には暗いヘビーな部分がありますが、撮影現場はどんな雰囲気だったのでしょうか? 子役たちが怖がって撮影が進まなかったとか?
いろいろなチャレンジがあった。でも子どもたちも現実とフィクションの境界線をきちんと把握してて、撮影現場はフィクションの世界と分かって行動していた。現場に居る人たち全員が協力し合ってやっていくもので、皆が頑張って初めて一つのものが出来上がると理解していた。だから現場は一致団結の協力精神に溢れていた。メイク、証明、衣装、ライター、監督プロヂューサー、それに共演者全員が協力して一つ一つのシーンを仕上げていく。皆それぞれが自分のやることをやり周りをサポートする、というポジティブな部分を皆がエンジョイしてる感じだった。時には緊張感が充満し、時には笑いが発生し、いろいろなプロセスを通して何かをクリエイトするという充実感がある撮影だった。
――子役たちに何かアドバイスしたりしましたか?
それが皆非常にプロに徹してて自分のやるべきことをきちんと理解してくれてた。まあ10才の子の集中力が大人とは違うのは明白だけどね(笑)僕が役の中に入り込んで演技すればするほど子役たちもそれに付いてくるんだ。父親役になり切っている僕に彼らもそれぞれの役になり切った迫真の演技で付いて来る。子どもたちのナチュラルな感性って凄いものなんだ。だから誤魔化せない。
レベッカ・モーガン役エミリー・ハンプシャー
――スティーヴン・キングはお好きですか?
スティーヴン・キングは私が大好きな作家。いつも彼の本を読んでる。彼はホラー作家と呼ばれてるけれど、ホラー作家と言うジャンルの中に入れてしまう訳にはいかないほど、人間の計り知れない深さを扱ってると思う。必ずしもホラーとは言えない、人間のサイコロジカルな動きを利用したサスペンスフルな人間ドラマというような感じのもの。
――レベッカ・モーガンの役作りにキングの今までの作品に登場したキャラクターとの共通点を発見したり、影響されたりしましたか?
レベッカ・モーガンはこのTV シリーズのベースになったオリジナルの短編 「呪われた村〈ジェルサレムズ・ロット〉」には出てこない役で製作総指揮のフィラルディ兄弟が追加した役柄なの。素晴らしいアイデアだったと思う。1850年代の背景の中にレベッカのような社会的な習慣やルールに縛られないで自由に野心をもって生きる女性を登場させるってブリリアントでしょう? この短編が出版されたのは1978年。あの頃はレベッカのような進歩的で周りの眼を気にせず女性の進歩を目指して進んで行く勇気ある女性をウーマンズリブの闘士のような形でしか受け入れられない社会背景だったと思うし、彼女は結婚もしてなく子どもも居ない、1850年代なら教育程度は凄く高いけど売れ残りの寂しい女性という風に見られていたはず。ところが現代はレベッカが結婚してないのを気にする人はそれほどいないと思う。レベッカのような自分の人生を自分の選択で進む女性に共鳴し、彼女を自分の同士のような形で受け止め、インスパイアリングだと思う人の方が多いと思う。レベッカの追加は今の時代の流れに添ったもので効果的だと思う。
――レベッカ役をやる事に決まった時の反応がいかがでしたか?
レベッカ・モーガンという女性が独立心の強い野心的な女性ライターと言う背景は素晴らしいと思った。でもオファーを受け入れる前に一つだけ確かめたいことがあった。野心的で進歩的なレベッカというライターが本を書くためにブーン・ファミリーの子どもたちの教育係として入り込んで行って色々探っては自分の本を書くための準備をしている。彼女が本当の理由を隠して秘密を探る野心的なライターだという設定が面白いと思った。私が気になったのはエキサイティングなスタートをしたものの3話目くらいになった頃には進歩的な生き方を目指していたレベッカが家の主人に恋をして野心を捨て、ライターとしての意気込みもすっかり忘れて今まで書いて来た本も途中でストップしてただの恋する女になってしまい、結婚をして家庭に入ってしまうような運びになるのは絶対にいやだった。そうるなら断るつもりでフィラルディ兄弟に会いに行った。ところがレベッカは恋に落ちるどころか、ブーン・ファミリーの秘密を追求することを止めず書き続け、最後は家族の秘密の中にレベッカ自身も関わってることが見えてくる。すごいストーリー展開でしょ? 私は興奮しっぱなしだった。
――レベッカ・モーガンは刺激的な役柄だったと言うことですね?
とっても不思議な運命を感じたキャラクターだった。まず私が作家として尊敬するキングが書いたストーリーの主人公の一人だということ。この話が来た時、私自身が書いていた脚本が初めて局に売れた時だったから、野心的なライターの彼女にはすごく共鳴できる部分があった。その上、あの時キングが書いたOn Writingがどういう事なのかを彼の体験を通して書き綴った本を読んでる真っ最中だったというオマケまでついてる。そんな状況の中で受けたオファーがレベッカ役だったのは運命の出会い!としか思えなかった。レベッカからは学ぶことが多くあった。演技をする時、よく役者が自分の一部を役にあげたということがあるけれど、私はレベッカの一部をもらった。女性がまだコルセットを使ってしゃなりしゃなり歩いてるあの時代に、高等教育を受け女にとって結婚がすべてという時代に結婚もしてなければ結婚にこだわってる様子もなく自分なりの人生を築こうとして生きるレベッカから大いに学ぶことがあった。
――レベッカ・モーガンは周りや社会が決めたルールに盲目的には従わない生き方を貫いていきますね。
そうなの、彼女の役作りの一貫でレベッカが行ったとされてるMount Holyoke Collegeをチェックした。今でも実存する女子大で1837年に女子神学校として創設されたもの。すごく進歩的な教育をする大学として知られているわ。アメリカの女子大の中で一番初めにトランスジェンダーを受け入れた大学でもある。彼女は女も男と同じように教育を受け自分の人生を切り開いて行くべきと言う信念を貫いていた。
――名優エイドリアンとの共演はいかがでしたか?
素晴らしかった。もちろん、このシリーズをやりたかった理由の一つにエイドリアンとの共演もあった。彼は素晴らし俳優で尊敬してる。テニスは上手い相手とやればやるほど腕が上達すると言うでしょう? エイドリアンが私の演技を1段も2段も上に引き上げてくれると思った。それに挑戦したかった。仕事への情熱も倍増した。エイドリアンは周りの共演者全員のやる気を向上させるタイプの役者なの。サプライズもあって、エイドリアンってものすごく冗談好きなの。あんなに笑わせてくれるとは思ってなかった。良いサプライズだった。それと子役たちのプロ意識。彼らは自然に1850年代の環境に入り込んでシーンの中に溶け込んでしまう。エイドリアンと互角に演技をしているのにはビックリした。特に一番年下のイアンはまだ10歳なんだけど、まるでゲームでもしてるかのようにスイッチの切り替え、演技へのオンとオフが見事なタイミング。まだ頭を使って演技するという年じゃないことから本能的なアプローチが自然で無理が無い演じを生むんでしょうね。
『チャペルウェイト 呪われた系譜』配信&放送情報(全10話)
<配信> 「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」 字幕版/吹替版:12月1日(水)より配信開始 ※12月24日(金)より全話配信開始
<放送>
BS10 スターチャンネル
【STAR1 字幕版】 12月21日(火)23:00より放送開始
※12月19日(日)17:00より第1話先行無料放送
【STAR3 吹替版】 12月24日(金)22:00より放送開始
(海外ドラマNAVI)
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