本編が完結してなお、圧倒的な人気を誇るサバイバル・パニック・ドラマ『ウォーキング・デッド』。AMCグローバル・メディア(以下AMC)は現在、本作の次期放映権に関する大規模な契約締結に向けて最終段階に入っている。複数の大手プレイヤーが獲得に名乗りを上げるなか、AMCは自社の利益を確保すべく「共同独占」という戦略的な舵取りを狙っているようだ。
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CEOが語る『ウォーキング・デッド』共同独占の重要性
AMCの代表作となった『ウォーキング・デッド』フランチャイズは、ストリーミングサービスにおいて依然として高い需要を維持しており、数々のスピンオフ作品を生み出し続けている。
5月8日(金)に行われた第1四半期決算説明会において、クリスティン・ドーランCEOはウォール街のアナリストたちに対し、「『ウォーキング・デッド』のライセンス権に対する外部からのアプローチには、非常に興奮している」と手応えを語った。クリスティンによれば、現在あらゆるシナリオを検討中とした上で、「コンテンツの一部を自社のために共同独占的に維持することは極めて重要だ」と強調。入札プロセスには「非常に大規模かつ熱心なパートナー」が複数参加していることを明かした。
権利の切り出し方については、一つのパートナーと包括契約を結ぶのか、あるいは地域ごとに分割するのか、すべての選択肢が出されているという。クリスティンは「分割の可能性もあれば、一社に集約される可能性もある。国内と国際でも異なる。解決策はいくらでもあるのだ」と、柔軟な姿勢を示している。
IP価値の現在地
かつて『フレンズ』や『サウスパーク』、『ジ・オフィス』を巡って繰り広げられたストリーミング界のコンテンツ争奪戦は、現在では幾分落ち着きを見せている。しかし、『ウォーキング・デッド』という強力なIP(知的財産)の価値は別格だ。今回の契約は確実に数億ドル規模に達すると推測される。
本シリーズは、ケーブルテレビの解約が深刻化するなかでも、地上波放送で良好な視聴率を維持してきた稀有な作品だ。入札者の実名は伏せられたが、アナリストたちはNetflixの動向に注目している。NetflixはこれまでAMCと密接な関係を築いており、新エピソードの放送前に既存シーズンを配信することで、シリーズ全体の熱狂を維持・拡大させる「AMCエフェクト」を仕掛けてきた実績がある。かつて『MAD MEN マッドメン』を再び時代の寵児へと押し上げたのも、このエコシステムだ。また、AMCはHBO Maxでの大規模プロモーションや、Amazon、Rokuといったプラットフォームとの連携も続けており、どのパートナーが覇権を握るかが焦点となる。
収益と「発見のしやすさ」の両立を目指すAMCの決算
AMCのプレジデント兼チーフ・コマーシャル・オフィサーであるキム・ケレハーは、ライセンス契約において金銭的条件以上の価値を重視していると述べた。「今後のパートナーシップを検討する際は、カスタマー・エクスペリエンスや作品の発見のしやすさも考慮している」と語り、世界中の既存パートナーと未来に向けた協議を進めていることを示唆した。
今回の発表は、AMCが発表した2024年第1四半期決算の内容を受けたものだ。売上高は前年比2パーセント減の5億4,210万ドル、調整後の1株当たり利益は8セント(前年同期は52セント)となったが、いずれもアナリストの予想を上回った。ストリーミング部門の売上高は値上げの影響で11パーセント増の1億7,400万ドルを記録した一方、加入者数は3パーセント減の1,010万人となっている。
なお、期待される『ウォーキング・デッド』のライセンス契約による収益は、2026年の営業利益予測にはまだ反映されていない。莫大な富を生むウォーカーたちの行方が、今後のエンタメ業界の勢力図を大きく変えることになりそうだ。
『ウォーキング・デッド』全11シーズンは、U-NEXTやNetflixなどで配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:Deadline




