世界中で長年愛される元祖SF冒険シリーズ『スター・トレック』(以下『スタトレ』)。約60年にわたり、さまざまな時間軸、パラレルワールド、映画、スピンオフ、リブートへと広がり続けてきた。そんな“スタトレ”ワールドで、初心者が入りやすい作品をColliderが挙げている。
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新規の視聴者が置き去りにされない作品
本作の元祖は、1966年に放送が始まった『スター・トレック/宇宙大作戦』である。その一方、2022年にスタートした『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』は、この長いシリーズの中でも、最も親しみやすい入り口となる作品だと言っても過言ではないだろう。
スピンオフ作品である『ストレンジ・ニュー・ワールド』は、一見すると初心者向けには思えないかもしれない。厳密には前日譚にあたり、舞台は『宇宙大作戦』の約10年前。スポックやウフーラ、パイク艦長といったおなじみの名前が、U.S.S.エンタープライズ号とともに登場する。
しかし、この古典的な『スター・トレック』との距離の近さこそが、かえって本作を親しみやすいものにしている。長年のファンにとっては馴染み深い要素が多い一方で、新規視聴者が置き去りにされることはない。また、現代のテレビシリーズとして、ビジュアルや雰囲気が洗練されている点も大きい。テンポは落ち着いており、映像はシネマチックでありながら主張しすぎない。物語も、宇宙という舞台設定以上に、キャラクターとテーマを重視して描かれている。
その結果、初心者は複雑な歴史的背景よりも先に、感情のレベルで『スター・トレック』と向き合うことができる。本作ではキャラクターたちが頻繁に笑顔を見せ、冗談を言い合い、お世辞を交わし、失敗しても許される空気がある。クルーは、共に働くことを心から楽しんでいる集団として描かれており、その関係性が心地よい。
さらに大きな理由として挙げられるのが、エピソードごとの独立した構成である。『ディスカバリー』や『ピカード』がシーズン全体を通した連続ストーリーであるのに対し、本作は1話完結型の物語を重視している。各エピソードは、明確な序盤・中盤・終盤を備えた、完成度の高い物語として成立している。
初めて視聴する人にとって、この形式は非常にとっつきやすい。単発のエピソードを観るだけで作品のトーンやテーマをつかむことができ、満足感のある体験が得られるからだ。そしてこの1話完結形式は、古典的な『スター・トレック』の構造を色濃く反映したものでもある。
また本作は、責任、共感、予期せぬ結果といった問いを一貫して探求しているが、それを抽象的な演説で語ることはしない。未来に不安を抱える艦長、規律と思いやりの間で選択を迫られる士官たち、新天地を探索する中で自らの影響力を学んでいく乗組員たち――こうした地に足のついたキャラクターを通して、進歩や協力、道徳的責任への信念が具体的に描かれていく。
『スター・トレック』を見始める「正しい」方法は一つではない。多くのファンは、それぞれ異なる時代や作品を通じてこのシリーズに出会ってきたはずだ。しかし、常に興味はありながらも、その膨大な歴史に圧倒されてきた視聴者にとって、『ストレンジ・ニュー・ワールド』は稀有な存在であり、真の入り口となる作品である。本作は伝統を尊重しながらもそれに縛られることなく、シリーズの根幹にある精神を損なうことなく現代化している。そして、『スター・トレック』が意味を持つために威圧的である必要はないのだと証明してみせる。もしこのシリーズが約60年にわたって愛され続けてきた理由を知りたいのであれば、『ストレンジ・ニュー・ワールド』こそが、まず観るべき作品だと言えるだろう。
『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』シーズン1~3はParamount+(パラプラ)で独占配信中。(海外ドラマNAVI)




