壮大なフランチャイズを展開している『スター・トレック』シリーズのジャン=リュック・ピカード役で知られるパトリック・スチュワートが、一番お気に入りに挙げている『新スタートレック』のエピソードは、どんな物語なのだろうか。
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パトリック・スチュワート、『スター・トレック』シリーズがファンに与えた宗教的な影響を語る
本国アメリカにて1987年から1994年まで続いた人気SFド …
多くの人のベストエピソードとして語り継がれるあの一話
1987年から7シーズンにわたって放送された『新スタートレック』は、24世紀の宇宙を舞台に、ピカード艦長率いる宇宙艦U.S.S.エンタープライズが、未知の惑星や生命体と遭遇しながら探査任務を遂行するSFドラマ。
パトリックはお気に入りのエピソードとして、シーズン5第25話「超時空惑星カターン」(原題:The Inner Light)を挙げている。この回は、ピカード艦長が探査機のビームに打たれ、異星カターンで“ケーミン”としての人生を体験する。見知らぬ妻との暮らし、家族との幸せな日々、そして惑星の滅亡という現実を30年にわたり味わうが、実際にはエンタープライズで気を失っていたのはわずか25分だ。カターンの人々は、滅びゆく文明の記憶を未来へ託すために、この体験を仕組んだのだった。目覚めたピカードは、彼に託された人生の記憶を胸に、探査機から回収された笛を静かに吹く――。それは、忘れられた星と家族の記憶を奏でる旋律だった。
ラストでピカードが笛を吹くシーンは、『新スタートレック』の中でも屈指の名シーンとして語り継がれている。パトリックは、このエピソードについてシーズン5のDVDに収録された特典映像で、こう語っている。「『超時空惑星カターン』は、7年間を通して私が経験した中で、最も興味深い演技の挑戦だったと思います。ピカードでありながら、連邦とはまったく違う世界で暮らし、妻と子どもがいて、孫までいましたからね」
探査機によって夢のような仮想現実に閉じ込められたピカードは、まったく別の人生を体験する。そこで築いた家族や愛情は幻ではあるものの、彼にとっては確かな“現実”だった。「超時空惑星カターン」は、単なるSFを超えた深い人間ドラマとして、パトリックの心にも強く残るエピソードとなったようだ。
そして、このエピソードを特別に思っているのはパトリックだけではない。エピソード監督を務めたピーター・ローリットソンをはじめ、メイクアップ界のレジェンド、マイケル・ウェストモアや、『新スタートレック』の脚本家や他のスタッフもお気に入りとして挙げている。
『新スタートレック』全シーズンはNetflixで配信中。最新シリーズ『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』シーズン1~3はParamount+にて独占配信中。(海外ドラマNAVI)