米CBSとディック・ウルフが手掛ける『FBI:特別捜査班』シリーズの新スピンオフが進行中だ。その主役を務めるのは、『LUCIFER/ルシファー』でおなじみのトム・エリス。彼が演じるCIA捜査官ハート・ホクストンは、一見すると「ルシファーのよう」なカリスマ的アンチヒーローに思えるが、実はもっと深くてリアルなドラマが期待できそうだ。
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CIA捜査官という“現実の縛り”
『FBI:CIA(仮題)』は、FBIとCIAがニューヨークで合同の対テロ部隊を結成する設定だ。ホクストンはCIA側のエージェントで、まだ相棒となるFBIキャラクターは未発表。ホクストンは「ルールを無視」して動く性格とされ、すでに『ルシファー』時代の彼との比較が話題を呼んでいる。
だが実は、この設定には現実のCIAならではの“面白い縛り”がある。CIAは法律上、基本的にアメリカ国内でアメリカ市民をスパイする権限を持たない。これまで何度も、国内監視活動が発覚するたびに大きなスキャンダルを招いてきた。2022年にも、上院議員が「CIAが令状なしで個人データを大量収集していた」と暴露し、大きな論争になったばかりだ。
つまり、新スピンオフでは「本来国内で活動しにくいCIA捜査官が、FBIとどう協力し、あるいはルールを破ってでもテロを防ごうとするのか」という極めてスリリングなテーマを描ける余地がある。
モラルのグレーゾーンこそ最大の魅力?
トム自身も、ホクストンについて「狡猾さや嘘、騙しが仕事の一部であり、そこに大きな道徳的曖昧さがある」とコメント。つまり「やっちゃいけないこと」をしなければ成果が出ない職業であるスパイを、ドラマとして面白く描く要素が満載だ。
公式のあらすじでは、合同タスクフォースは主に国内テロへの対応がメイン。しかし『FBI』本家やスピンオフ『FBI:Most Wanted 〜指名手配特捜班〜』などでも似た話は多く、差別化をできているのかと疑問視する声もある。だが、この“CIAの法的制約”というリアルなディテールを逆手に取れば、FBIとの緊張関係や衝突、監視の倫理問題など、他のスピンオフにはない重厚なドラマが作れる。
ニューヨークでのクロスオーバーにも期待
さらに舞台はニューヨーク。『FBI』本家や『〜Most Wanted』と同じ本拠地だ。キャンセルされた他スピンオフの穴を埋める意味でも、ファンはクロスオーバー展開を期待している。実際、制作側は『FBI』ブランドを前面に出しつつ、新しい切り口でシリーズを広げることを狙っているようだ。
結局のところ、単なるアクションや捜査劇を超え、CIAという組織の矛盾やモラルの闇に切り込めるかが、この新スピンオフの成功の鍵となるだろう。トム・エリスの魅力と、現実のスパイ活動の“タブー”をどれだけドラマに盛り込めるか、期待は高まる一方だ。
また、『FBI:CIA』は、この秋米CBSでお披露目予定だったが、製作陣の交代を受けて2026年放送に延期されている。
『FBI:特別捜査官』シーズン1〜5、『FBI:Most Wanted ~指名手配特捜班~』シーズン1〜3、『FBI:インターナショナル』シーズン1〜2はU-NEXTで配信中。(海外ドラマNAVI)
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