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なぜ最近の海外ドラマは画面が暗い?『ゲースロ』『クリマイ』への批判とその背景

2025年6月19日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

近年、テレビドラマの視聴体験において、ある共通の不満が頻繁に聞かれるようになった。それは、「画面が暗すぎて、何が起きているのか見えない!」というものだ。特に、復活を遂げた『クリミナル・マインド FBI行動分析課』と、伝説的ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の最終シーズンは、この問題で視聴者からの批判を浴びている。

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『クリミナル・マインド』が抱える「暗さ」の問題

オリジナルシリーズのファンから圧倒的な支持を受け、シーズン19(復活してからは第4シーズン)の撮影が進行中の『クリミナル・マインド』。オリジナル版の要素を維持しつつ、ストリーミング配信への移行によって、より深く、より凶悪な犯罪描写が可能になった。しかし、その成功の陰で、あるビジュアル面での変更が不評を買っている。それが、文字通り「画面が暗すぎる」という点だ。

多くの視聴者がこの「暗さ」に戸惑い、自身のデバイスの明るさ設定や、テレビの故障を疑うほどだ。だが、これは意図的な演出であり、決して視聴者側に問題があるわけではない。物語やトーンの「暗さ」に合わせるため、あえて画面を暗くしているのだ。オリジナルシリーズも異常犯罪を扱っていたが、リバイバル版はさらに踏み込み、ストリーミング配信になったことで、民放テレビでは不可能だった残虐な描写も可能となった。作品全体が「暗い」方向へと進化した結果、画面の照明もそれに合わせて抑えられているというわけである。

『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8で噴出した「暗すぎる」問題

この「画面の暗さ」を巡る批判は、決して『クリミナル・マインド』に限った話ではない。記憶に新しいのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8、特に第3話だ。ウィンターフェルの戦いを描いたこのエピソードは、長年の期待が高まっていたにもかかわらず、その過度な暗さで酷評された。画面が真っ黒に近く、アクションのほとんどが見えないほどだったため、7シーズンにわたって築き上げられた物語のクライマックスが台無しになったと感じた視聴者も少なくなかった。

当時、撮影監督のファビアン・ワグナーは、この暗さについて弁明した。彼は、視聴者がiPadやパソコンで圧縮された映像を見ていることや、テレビの設定が正しくないことを理由に挙げ、『ゲーム・オブ・スローンズ』のようなシネマティックな作品は、映画館のように暗い部屋で観るべきだと主張した。

しかし、この説明は当時のファンの間ではあまり受け入れられなかった。最終シーズン全体に漂う粗雑な印象に加え、有名な「スターバックスカップ事件」や、最終話で映り込んだペットボトルなど、立て続けに発生したミスによって番組への信頼が損なわれていたため、ワグナーの説明も、意図的な演出というよりは、またしても制作側のミスと受け止められてしまったのだ。

なぜ最近のドラマはこんなにも暗いのか?

もちろん、『クリミナル・マインド』『ゲーム・オブ・スローンズ』最終シーズンほどの激しい批判にさらされているわけではない。しかし、「画面が暗すぎてシーンが見づらい」という点においては、両者に共通する問題であり、この問題は決してこの2作品だけに限ったことではない。では、なぜ最近のテレビ番組はこんなにも暗いのだろうか?

複数の要因が絡み合っているため、この問いに対する単純な答えは存在しない。まず、現在のテレビ界は「グリムダーク(陰鬱で暗い)」なストーリーやコンセプトが主流となっている。実録犯罪や連続殺人犯、アンチヒーロー、悪人がはびこる物語、そして善人が悪に染まるストーリーなど、重苦しいテーマが数多く制作されている。こうした番組は、全体のムードを高めるために照明を落とし、色彩も抑えめにしている傾向にある。

しかし、より根本的な問題は、ワグナーも指摘したように、テクノロジーの急速な進化と、多様な画面性能のバラつきにある。現在のテレビ番組の撮影には最先端の機材が使用されており、その技術は一般的なノートパソコンやiPad、家庭用テレビのそれをはるかに上回っている。例えば、最新の高性能HDRテレビであれば暗いシーンも鮮明に表示されるかもしれないが、ほとんどの視聴者はそうした環境にはないため、手持ちのデバイスでは暗いシーンがさらに暗く、色や明るさが十分に再現されないのだ。

ハリウッドの制作現場と一般視聴者の環境の違いも考慮すべきだろう。撮影監督や監督が作品のラフカットをチェックする際、彼らは最先端の高解像度スクリーンが設置された暗い視聴ルームで作業を行う。つまり、理想的な環境下で作品の最終チェックをしており、小さなノートパソコンの画面などで見ているわけではないのだ。映画監督やテレビ監督が「本来の見せ方」と語る時、それはこうした理想的な条件で撮影された映像が、意図した通りに再現されることを意味している。しかし、残念ながらほとんどの家庭用スクリーンはそれに完全に対応できていないため、『クリミナル・マインド』や他の作品が「暗すぎる」といった不満につながっている。この状況がすぐに変わる可能性は低いだろう。

『クリミナル・マインド FBI行動分析課』はDisney+(ディズニープラス)で配信中。(海外ドラマNAVI)

参考元:Screen Rant






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Photo:Instagramアカウント@criminalmindsより

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海外ドラマNAVI編集部

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