デニス・クエイドが語る『ハッピーフェイス』実在の連続殺人犯を演じる葛藤

いよいよ本日よりParamount+にて配信がスタートとなる新作ドラマシリーズ『ハッピーフェイス』。本作は、1990年代に少なくとも8人の女性を殺害した連続殺人犯キース・ジェスパーソンを描いた作品であり、その娘であるメリッサ・G・ムーアの実話を基にしている。ジェスパーソン役を務めるデニス・クエイドは、役を引き受けるにあたり大きな葛藤を抱えたことを明かした。

 

服役中の連続殺人犯を演じることへのためらい

「この役を受けるかどうか、長い間悩んだ」とデニスは語る。「彼が自らの存在を称賛されることを望んでいるように感じたからだ。彼にとっては、それが一種の楽しみでもあるのだろう」

ジェスパーソンは現在、オレゴン州立刑務所で4つの終身刑を受け服役中である。デニスは、役作りの過程でこのような異常心理に接することが精神的に大きな影響を及ぼすことを実感したという。「こうした人物を理解するためには、彼らの思考に近づかなければならない。そこに踏み込むと、どうしても影響を受けてしまう。しかし、彼を演じること自体は難しくなかった。なぜなら、彼らには感情がほとんど存在しないからだ。他者の痛みを感じることがないのだ」と説明する。

それでも最終的に『ハッピーフェイス』に参加する決断を下したのは、物語がジェスパーソンではなく、アナリー・アシュフォード(『アメリカン・クライム・ストーリー/弾劾裁判』)演じる娘の視点から描かれることにあった。「殺人事件が起こると、被害者だけでなく、その家族や友人にも影響が及ぶ。同時に、加害者の家族もまた影響を受ける。この作品は、その広がりを描いている」

実際の娘ムーアの証言と影響

本作の基となったムーア自身も、製作に深く関わった。彼女はショーランナーのジェニファー・カシシオ(『Your Honor/追い詰められた判事』)に対し、「父からの手紙をすべて渡した。中には開封すらしていないものもあった。どう扱っていいか分からなかったし、読みたくもなかった」と明かす。しかし、これらの資料は後に家の火事で失われてしまったという。ムーアは「長年、罪悪感を抱えていた。子どもの頃に気づいていた小さな違和感が、大人になって真実の断片だったと気づいた」と振り返る。

カシシオは、通常の犯罪ドラマとは異なるアプローチをとることを決めていた。「私たちの作品では、暴力の描写を一切排除した。その代わり、感情のやり取りや心理的な駆け引きに焦点を当てている。これまでの犯罪ドラマとは違う視点を提示できると考えた」と力強く語った。

『ハッピーフェイス』はParamount+(パラプラ)で独占配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:Instagramアカウント@happyfacepplusより