ジョージ・R・R・マーティンのベストセラー・ファンタジー小説「氷と炎の歌」シリーズをドラマ化した『ゲーム・オブ・スローン』で、ジョン・スノウは一番人気といっても過言ではない人気を誇っているが、意外や原作のファンからは評価が低いようだ。
キャラクター像が原作から逸脱?
ドラマ版ではイケメン俳優のキット・ハリントンが演じたこともあり、女性ファンを中心に絶大なる人気を誇ったジョン・スノウ。スターク家の落とし子として育てられたジョンは、屈強な戦士になるために剣の訓練に努め、頭角を現したキャラクターだ。
米Colliderによると、シーズン1のジョンは、かなり小説に忠実に描かれているとのこと。ところが、ドラマ版がシーズンを重ねて人気が高まっていくほど、どんどんジョンのキャラクター像が原作から逸脱していったという。
小説のジョンは、性格に問題があることが大きなポイントとなっている。落とし子として社会的に受け入れられなかった彼は愚かなほど頑固で生意気、不機嫌でプライドが傷つけられると簡単にキレる性格だったが、数々の経験を経て失敗から学んで成長していく。
小説で初登場した時に14歳で、スターク家に嫡子として認められなかったジョンは、自分のセルフイメージに挑戦して冥夜の守人に加わる。 彼のキャラクターアークのポイントは自己発見の旅であり、正しいことを目指しているにも関わらず、ことごとく物事に失敗してしまう彼に共感できなかったり、感情移入できなかったりする読者がいるだろうか? 思うように自身の地位を確立できずに英雄になれないでいたジョンだが、落とし子という立場で影に追いやられていた分、その成長過程で鋭い観察力を培い、直感的かつ戦略的な知性を発揮し、冥夜の守人の兄弟の尊敬と忠誠心を勝ち取っていく魅力的なキャラクターとして描かれている。
しかしColliderは、ドラマ版のジョンは闘いに強いだけの戦士としての面が強調され、彼の内面の葛藤や、より大きな物語に対する彼の重要性が模索できていないと分析。その結果、ジョンの可能性が無駄になり、キャラクターの成長が十分ではなかったとしている。特に、ドラマシリーズがマーティンの小説の物語を追い越してしまってからは、ジョンのキャラクターアークの発展の乏しさに拍車がかかってしまったようだ。
Colliderは、ドラマ版よりも小説のジョン・スノウの方が魅力的だとしているが、2022年に企画が明らかになったジョンを主人公にしたスピンオフドラマ『Snow(原題)』が実現した暁には、小説シリーズのファンを満足させることが出来るだろうか。
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