デヴィッド・テナント、演劇の料金が高すぎると苦言「とんでもない金額で…」

『ドクター・フー』の10代目ドクターや『グッド・オーメンズ』クロウリー役として知られるほか、舞台でも活躍するデヴィッド・テナントが、「イギリスの演劇料金が高すぎる」と苦言を呈している。

「とんでもない金額で…」

英The Guardianによると、『キャバレー』や『欲望という名の電車』など一部の演劇は、座席料金が300ポンド(約5万5000円)もするという。この高額な価格は、劇場がパンデミックで生じた損失を取り戻そうとしたことに起因しているとのことで、2019年から2022年の間にチケット価格は最高で20%も上昇。その後に最高値は安定し、2023年のウエストエンド作品の最も高価なチケットの平均価格は141.37ポンド(約2万5000円)となっている。

多くのチケットは客引きによって購入され、非公式サイトにて高値で転売されているという。2008年にデヴィッド・テナントがハムレットを演じた舞台では、客引きによってチケットが一組1,100ポンド(約20万円)以上で販売されていたというから驚きだ。

そんな状況についてデヴィッドは、「ライブシアターは高価で、ますます運営費も高くなっているから、チケットの価格もますます上がっている。それを合理化するのは容易ではありません。誰もが楽しめるものだと想像したいけど、ウエストエンドの舞台に出演している時に、とんでもない金額でチケットが売られていたことを知っています。それでもチケットは売れるんですよね。その時点で、“劇場経営者は何をするべきなのだろうか?”と考えます。もし、それが営利企業であれば、チケットの配布を期待するべきでしょうか? 危険なのは、これからやってくる次世代の聴衆の首を絞めてしまうことです」と胸内を語った。

またデヴィッドは、イギリス経済にとっての芸術の価値は、パンデミックの際に政府が、劇場やその他の文化施設に救済策を提供した際に認められたともコメントしている。

「それが物語っていると思います。困難が迫った時に、この業界を死なせるわけにはいかないという認識と理解があったんじゃないかな。なぜなら、演劇は創造的にも芸術的に重要なだけじゃなく、単に金融エンジンでもあるからです。創造的な芸術はイギリスで最大の輸出品の一つであり、僕たちが国としてお金を稼いでいる物の一つだからね」と見解を述べた。

英国で話題の作品を収録して世界の映画館で上映する人気企画「ナショナル・シアター・ライブ」にて、デヴィッドが主演する舞台『善き人』が、日本では10月20(金)より公開スタートしたばかり。本作は、世界が第二次世界大戦に直面する中、善良で知的なドイツ人教授ジョン・ハルダーが、想像を絶する結果をもたらす運動に巻き込まれていく様が描かれる。

ナショナル・ライブ・シアター『善き人』は全国の映画館で上映中。(海外ドラマNAVI)

Photo:©James Warren/Famous