富豪一家の後継者の座をめぐる骨肉の争いを描き、米HBOで2018年から4シーズン続いた『メディア王 ~華麗なる一族~』は、本年度のエミー賞で最多の27ノミネートとなるなど大きな成功を収めた。しかし、主演のブライアン・コックスにとって、その代償は大きかったようだ。米Varietyが伝えている。
ヒットドラマの主役を演じたことが私生活に影響
同作で一家の長ローガンを演じたブライアンは英Guardian紙のインタビューに応じ、「(同作出演によって)匿名性を失ってしまった。いかにそれが自分にとって重要なものだったのか、痛感しているよ。仕事で成功を求めてそれが得られた場合、その結果にも対処しなければならない。私は昔からずっとプライバシーを大事にしてきたものの、今では失われてしまった。とはいえ、これだけ長くプライバシーを保ってこられたのは非常に幸運だったと言えるだろう。なにせ、この世界に60年以上身を置いているのだからね」と発言。
英国出身で現在77歳のブライアンは、10代前半から演技に取り組むようになり、これまで舞台・映画・ドラマで200以上の作品に参加。その中には『ジェイソン・ボーン』シリーズ、『X-MEN2』『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』といったハリウッドの大作映画もあったし、1986年のテレビ映画『刑事グラハム/凍りついた欲望』でハンニバル・レクター、2017年の映画『チャーチル ノルマンディーの決断』ではウィンストン・チャーチルという有名な人物を演じたこともあったが、作品によって印象を変える彼の演技力もあり、いい意味でイメージを絞りにくい俳優としての立ち位置をキープしていた。
だが、『メディア王』ではおよそ5年、30話以上にわたって主役のローガンを演じることに。ブライアンにとって一つの役をこれだけ長く演じたのは初めてで、しかもその作品がヒットしたことから、お茶の間ですっかりおなじみの存在となってしまった。英国俳優には自身のプライバシーを大事にする人が多いが、ブライアンもその一人のようだ。
ちなみに、ブライアンは2021年に発表した回想録の中で、実は『ゲーム・オブ・スローンズ』のロバート・バラシオン役や、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのスワン総督役をオファーされていたものの断ったと明かしている。前者を蹴った理由は、同役が早々に死んでしまうために報酬が少なかったからだそうだが、これらの作品がのちに世界的大ヒットを遂げたことを考えると、話を受けなかったことで彼の匿名性は長続きしたと言えるかもしれない。
そんなブライアンは今月28日から英国で始まる舞台『The Score(原題)』では、「音楽の父」として知られるドイツの作曲家バッハを演じるという。知名度が上がった彼が今後どんな演技を見せてくれるのか、どんな作品選びをするのか気になるところだ。
『メディア王 ~華麗なる一族~』全4シーズンはU-NEXTにて配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:米Variety
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Photo:『メディア王 ~華麗なる一族~』©2018 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.