映画監督が手掛けた傑作海外ドラマ5選

テレビドラマで頭角を現した監督たちが、後に映画の世界で活躍することもあれば、その逆のパターンも。今回は、ヒット作を生み出すレジェンド映画監督によって作られた傑作海外ドラマ作品を5本紹介!

映画監督が手掛けた海外ドラマ

『トップ・オブ・ザ・レイク ~消えた少女~』ジェーン・カンピオン

『ピアノ・レッスン』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で、アカデミー賞史上初の「2度監督賞ノミネートを受けた女性監督」になったジェーン・カンピオン初のドラマシリーズ。

本シリーズで、カンピオンは、世界のさまざまな地域で少女たちが受けている不当な扱いに光を当てた。シーズン1は、ニュージーランドの田舎を舞台に、妊娠した12歳の少女の失踪事件を、シーズン2はオーストラリア・シドニーで起きたアジア系少女の謎の死を軸に展開する。

『ハンズメイド・テイル』のエリザベス・モスが、児童性的虐待事件を専門に扱う主人公の女性刑事ロビンを演じる。カンピオンは全13話で脚本を務めるほか、8話の監督も務め、緊張感、エロティシズム、孤独を感じさせるような彼女の作風が本作でも大いに活かされている。

『ストレイン 沈黙のエクリプス』ギレルモ・デル・トロ


『パシフィック・リム』ギレルモ・デル・トロ監督のテレビシリーズ初進出作品にして、20年の構想を経て完成させた映画級SFサスペンス・アクション。デル・トロと映画『ザ・タウン』の原作小説などで知られる小説家チャック・ホーガンにより、2人の共作小説「ザ・ストレイン」シリーズ三部作に基づいて製作された。2人はパイロット版の脚本も執筆し、デル・トロが監督を務めている。

謎の生命体がニューヨークに上陸。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)で疫学者として働く主人公エフは、長年にわたり人類をヴァンパイアに変えようとしてきた勢力との戦いに挑む。

『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ナイトメア・アリー』などで知られるデル・トロ監督。戦争やファシズムへの批判を筆頭に、トレードマークのホラー要素が随所に見られ、かつてナチス強制収容所の司令官だったヴァンパイアまで登場する。それに加えて、歯切れの良い会話とコリー・ストール(『アントマン&ワスプ:クアントマニア』)とデヴィッド・ブラッドリー(『After Life/アフター・ライフ』)の力強い演技が、このドラマシリーズを4シーズンにわたって価値あるものにしている。

『Vinyl ‐ヴァイナル‐』マーティン・スコセッシ


『タクシードライバー』『グッドフェローズ』『ディパーテッド』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の巨匠マーティン・スコセッシと『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』のテレンス・ウィンター、ローリングストーンズのフロントマン、ミック・ジャガーがタッグを組んだ音楽ドラマ。

1970年代のニューヨークシティを舞台に、暗い過去を持つ落ちぶれたレコード会社社長が、自社レーベルと破滅状態の私生活を立て直そうとしながら、次世代の新たなサウンドを探し求める姿を描く。

『Vinyl』の主人公リッチーは、スコセッシ監督作品の欠点の多いキャラクターたちを連想させる。リッチーの快楽主義や奇妙なビジネス手法は、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のジョーダン・ベルフォートを彷彿とさせ、彼の結婚生活の苦悩は『カジノ』のサム・“エース”・ロススティーンを思い出させる。

また、ミック・ジャガーが参加しているおかげで、音楽のチョイスも完璧で、全体的に楽しい作品になっている。

『バンド・オブ・ブラザース』スティーヴン・スピルバーグ


『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『E.T.』、『ジュラシック・パーク』シリーズ、『プライベート・ライアン』など世界最高のヒットメーカーの一人として挙げられる名匠スティーヴン・スピルバーグと俳優トム・ハンクスが製作。映画『プライベート・ライアン』の成功に続いて二人が制作したこの超大作は、2001年度ゴールデン・グローブ賞受賞、エミー賞20ノミネートされるなど高く評価され、今では史上最高の第二次世界大戦を描いたドラマシリーズとみなされている。

スティーヴン・アンブローズの同名ノンフィクション小説をベースに、米陸軍第101空挺師団・第506パラシュート歩兵連隊の新兵キャンプ時代から終戦までの冒険を描く。

ドラマに登場するキャラクターはすべて実在する人物で、生存している本人が各エピソードに登場するなど、徹底したリアリズムで描いた本作は、第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦を描きアカデミー賞で11部門にノミネートされた傑作映画『プライベート・ライアン』と比べても遜色がない。

さらに、スピルバーグが全10話で9人の監督と仕事をしながらも、全員が彼のトーンとビジョンに完璧に合致しているという点にも注目だ。

『ツイン・ピークス』デイヴィッド・リンチ


『マルホランド・ドライブ』『エレファント・マン』『ブルーベルベット』などエキセントリックな作風で知られるデイヴィッド・リンチが手掛けた、カルト的人気を誇る刑事ドラマ。

コメディとドラマが絶妙なバランスで描かれる『ツイン・ピークス』は、FBI捜査官のデイル・クーパー(カイル・マクラクラン)が、架空の田舎町ツイン・ピークスで起こった地元の高校生ローラ・パーマー(シェリル・リー)の殺人事件を捜査する物語だ。

この作品は公開後に爆発的な人気を博し、ローラ・パーマーの最期を描いたスピンオフ映画『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』の製作につながった。また、オリジナル版の放送から25年後の2017年には、『ツイン・ピークス The Return』と題されたリミテッドシリーズも製作。シーズン3とも呼ばれる、同リミテッドシリーズは、企画・製作総指揮、そして全18パートの監督をリンチが務めた。

(海外ドラマNAVI)

Photo:参照元:collider、movieweb