数多くの名作ドラマを生んだBBCやITVを含む英テレビ局、スタッフ雇用をめぐり調査対象に

数多くの人気ドラマを生み出してきたBBCやITVを含む複数の英テレビ局とプロダクション会社が、スタッフの雇用をめぐって英国競争・市場庁の調査対象になっていることが明らかとなった。

法律違反なら高額の罰金が科せられる可能性も

米Deadlineによると、BBCとITV、Hartswood Films、Sisterの4社が、フリーランスのスタッフ雇用に関して独占禁止法に違反している可能性があるとして、英国競争・市場庁(Competition and Markets Authority/以下CMA)の調査を受けることになったという。

この4社のほかにも、Hat Trick ProductionsとRed Planet Pictures、Tiger Aspect ProductionsもCMAの調査を受ける予定で、当局は「競争法違反を疑うに足る合理的な理由がある」と述べている。

CMAは、英国における「競争の防止、制限または歪曲」を防止することを目的とした競争法第25条に基づき、最新の調査を開始したと発表。一方で、「現段階では、法律違反があったと仮定すべきではない」としている。

当局は、これらのテレビ局とプロダクション会社が具体的に何に違反しているのか、また調査を7社に絞った理由については明かしていないが、ドラマやコメディを専門とするプロデューサーが調査対象に名を連ねていることから、脚本付きコンテンツの製作が対象となっている可能性が高そうだ。

ちなみにBBCは、日本でも人気が高いドラマ『SHERLOCK/シャーロック』や『ピーキー・ブラインダース』、『ドクター・フー』、『刑事ジョン・ルーサー』、『レスポンダー 夜に堕ちた警官』、『女医フォスター』、『ノーマル・ピープル』などを製作。ITVは、『名探偵ポワロ』や『シャーロック・ホームズの冒険』、『刑事モース』、『ヴェラ 〜信念の女警部〜』、『ハリー・パーマー 国際諜報局』、『ダウントン・アビー』、『サンディトン』などを生み出している。

BBC ITVはスポーツ番組の製作においても調査対象に。そちらではこの2社のほかにBT、IMG、Sky、Sunset & Vine Productionsも調査対象となっているという。

現在から2024年3月にかけて情報が収集され、そちらが完了した後にCMAが「異議申し立て」を行うかどうかを決定する予定。「不正行為があった」と当局が結論づけた場合、その組織に対して最大で世界収益の10%に相当する罰金を科すことができると伝えられている。

BBCは、「我が局はCMAの発表に留意し、その調査に全面的に協力するつもりです」とコメント。ITVは、「ほかの組織とともに、CMAから調査開始通知を受け取ったことを確認しました。ITV は競争法を遵守し、CMAの調査に協力しています。現段階でこれ以上コメントするつもりはありません」と述べた。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline

Photo:『SHERLOCK/シャーロック』© 2010 Hartswood Films