最高の母、妻からの進化とは?『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』クリスティン・デイヴィス(シャーロット役)インタビュー

米HBOで1998年から2004年まで放送された大ヒットドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(以下『SATC』)の続編である『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』がU-NEXTで配信中だ。同シリーズからキャスト&スタッフのインタビューを全4回にわたってご紹介! 3回目に登場するのは、シャーロット役のクリスティン・デイヴィス。長年にわたって演じてきたシャーロットの変化やお気に入りのシーンについて語ってくれた。

理想通りじゃなくてもいい

AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章

――シーズン2でのシャーロットはどうしていますか?

シーズン2の当初は、シーズン1の終盤と同じような感じですね。シャーロットは子どもたちにとっての最高の母親、ハリーにとっての最高の妻であろうと常に努力しています。子育てに関しては、子どもたちがやりたいことを優先させたい一方で、コントロールしたいという気持ちも強くなっている。それが彼女の日常的な悩みです。物語が進む中でシャーロットは、自分の子育てが子どもたちのため、そして彼女自身のためになっているのか考えることになりました。そして彼女は子どもたちに対する態度を一度立ち止まって見直すことにしたのです。そういった葛藤は素晴らしいことで、私も共感できます。シャーロットは道半ばにいて、放り出されることも多くあるけど、それは役者としてとても演じ甲斐がありました。

――シャーロットの成長や変化についてどう思いますか?

個人的には、シャーロットは周囲に対してかなりオープンになったと思います。当初の彼女は、結婚して完璧な人生を送ることを目的にしてきました。今振り返ってみると、彼女が考えていた“完璧な人生”はかなり限定されたものだったと言えます。でも離婚や子どもの問題といった様々な経験を通して、人生で大切なものは何なのか、多くのことを学びました。それは彼女にとって素晴らしい学びだったと思います。

彼女は今でも、理想と現実の間で葛藤しています。もちろん、それは私たち誰にでも当てはまること。現実を目の前にしながら、自分が思い描く人生の形に折り合いをつけるのは誰にとっても難しいことです。シャーロットはいろんな意味でとても満たされた人生を送っていますが、それでも「自分は何者なのか?」「満たされている?」「十分幸せ?」「他人のために人生を生きていて、自分のために生きていないのでは?」といった感じで問い続けています。

そんな風に、これまでは誰かのためというわけでなく自分が思い描く理想像に近づくために生きてきました。そんなシャーロットが人生を真剣に見つめ直し、「この人を私は愛している。彼は私の理想とは違うけれど、それでもいいじゃない」と思えるようになりました。理想通りじゃなくてもいいと学んだのです。

シャーロットとクリスティンのギャップ

AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章

――シャーロットに共感する視聴者は多いと思います。このドラマを見始めた頃は理想にあふれていた視聴者も、時を経て当初の理想とは違った人生を歩んでいるかもしれませんね。

この作品の視聴者は私たちと同世代の人たちが多いですよね? もちろん、それより年齢が下の人も上の人もいて、同世代に限らずみんなが共感できると思います。オリジナルシリーズを今観始めてくれる人もいて、とても嬉しいですね。そこから『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』まで観てくれる人もいて。みんながキャラクターにどのように感情移入し、時を経てその想いがどのように変化していったかといったドラマに対する感想を聞くのがとても好きなんです。視聴者と一緒に成長してきた、という感覚が強くあります。

――道でファンから話しかけられる時、どんなコメントをもらうことが多いですか?

「シャーロットは私よ!」や「シーズン1をちょうど見返したところなの!」とよく言われますね。好意的なコメントがほとんどです。

長年演じているので、その時々でいろいろなコメントをもらいます。例えば、シャーロットが夫のハリーに合わせてユダヤ教に改宗した時は、「私も夫のために改宗しました」と声をかけられることが多かったです。また、シャーロットが不妊に悩んでいた時は、本当に多くの女性からそのテーマについて話しかけられました。同じ悩みを持つ女性が本当に多かったんです。自分の経験を打ち明けてもらえて温かい気持ちになりました。

AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章

――好きなキャラクターには親近感が沸くものですが、このように前から放送されているドラマだとなおさらでしょうか。ファンはあなたのことを前から知っているかのように話しかけてきますか?

そうですね。でも面白いのは、ファンは私のことをよく知っているんだけど、同時に生身の私の存在に驚いていることがあるんです。道で話しかけらたらもちろんドラマの話をします。それが私とファンの共通項だから。けれど、実際の私と話して何故か驚いているファンを見てると、「私は当然存在している。生きてるし、本物よ」と言いたくなります。実生活の私のファッションは、シャーロットとはまったく違うんです。だから「超カジュアルな服装のこの人がシャーロット?」と衝撃を受けるファンもいるみたいですね。とにかく、ファンはよく驚いているように見えます。

撮影中につい居眠り

AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章

――シャーロットの好きなシーンは?

そうですね、沢山あります。一つはずっと昔のシーンで、「15歳の時から探してまだ見つからない。もう疲れちゃった。彼(運命の人)はどこにいるの?」というシャーロットのセリフで、あのシーンはたくさんの人の心に今でも焼きついているみたいで面白いですね(『SATC』シーズン3第1話「自立した女と王子様」)。あと、個人的には結婚式のシーンがお気に入りです(『SATC』シーズン3第12話「恋愛における嘘」)。撮影時のことも思い出せます。トレイとの結婚式のシーンは撮影が長丁場で、教会でつい居眠りしてしまったみんなの写真は今でも残っています。そういった思い出も、実際に放送されたシーンと一緒に大切に心に残っています。それと、モロッコでの撮影(劇場版『セックス・アンド・ザ・シティ2』)にも良い思い出がたくさんあります。

――モロッコのどういう点が気に入ったのですか?

何から話しましょうか! まず、みんなであの場所で撮影できたこと自体、魔法にかけられたように素敵な体験でした。とても美しい国で、誰もが親切でした。(キャリー役の)サラ・ジェシカ(・パーカー)と一緒に買いに行ったラグは今も持っています。彼女は買ったラグをパッチワークのように作り変えてオットマンテーブルに利用していました。彼女はとてもクリエイティブなんです。私が買ったラグは、家のあちこちに敷いています。モロッコのようなアメリカとはまったく違う国に、いつものキャストやスタッフと滞在するということ自体がとても不思議な感じがしたんです。サハラ砂漠ではラクダにも乗って、素晴らしい体験でした! 旅が好きなので、モロッコでの撮影は本当に最高でしたね。

特別感に満ちた革新的な作品

AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章

――このドラマシリーズの撮影には特別感を覚えますか?

とてもワクワクします。もちろん仕事だから、細部にわたって丁寧に、集中して取り組んでいます。例えば、シャーロットの家のキッチン一つをとっても。「この器具はここに置くべきか、あっちに置くべきか」「こんなものはシャーロットのキッチンにはないのでは?」「シャーロットはこのブランドは使わないのでは?」といった感じに小道具の一つひとつが細かく議論され、ドラマに関わるキャスト・スタッフが全員、ディテールにこだわっているというのは本当に素晴らしいし、それが成功した理由の一つだと思います。

質問に戻ると、答えはイエスで、みんなが特別感を覚えて取り組んでいます。『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』のオープニングシーン撮影時、ロケ地のホイットニーカフェでサラ・ジェシカ、(ミランダ役の)シンシア(・ニクソン)と再会した時はまるでパーティーのようでした。これから新章が始まるんだという興奮もありましたし、私たちは役者としてそこに居たけど、18時間の撮影の間、お互いの子どもの話や近況報告に夢中でした。

AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章

――このドラマならではの文化的価値はどういったところにあると思いますか?

脚本の素晴らしさにあると思います。あとは、いわゆる魔法のようなものもあるかもしれません。抜群のタイミングでいろんな幸運が重なり合ったり、その勢いを維持してこられたりしたことも大きいです。

そして(クリエイターである)マイケル・パトリック(・キング)の功績がとても大きいと思います。新しいシリーズや映画の企画を売り込むのはいつも彼の役割だから。何もせず待っているだけで制作の機会が与えられる訳ではなく、いつも誰かが必ず売り込みを行わなければならないという部分は、ほかのドラマとまったく一緒です。

この作品は規模が大きく、ユニークなテーマを扱っているので、常に結果を出すことが求められます。40歳以上の女性たちがメインで描かれたドラマというのは前例がありません。女性のメインキャラクターは7人もいます。いろんな意味で普通ではないし、議論を呼ぶ話題も扱っている。だからこそ毎回毎回良い結果を出さなきゃいけないけど、一方で素晴らしいスタッフと視聴者に恵まれて、このシリーズを継続していけるのはとても嬉しく思います。

WEBメディア「U-NEXT SQUARE」では、毎話配信後にあらすじや感想・レビューを掲載中。特設ページ(https://square.unext.jp/article/AND-JUST-LIKE-THAT-s2)も。

『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』シーズン2 配信情報

【配信開始日】8月17日(木)16:00より第10話配信予定(毎週木曜日に一話ずつ更新)※字幕・吹替版同時配信予定
【視聴形態】見放題
【公式サイト】https://www.video.unext.jp/title_k/and-just-like-that
【視聴サイト】https://video.unext.jp/title/SID0086801

『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』シーズン1~2はU-NEXTにて見放題で独占配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章』©2023 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max™ is used under license.