米ABCの大ヒットドラマ『フルハウス』のおいたんことジェシー役で知られるジョン・ステイモス。人気キャラクターの一人として番組を支えてきた彼だが、実は当初辞めたがっていたという。
主役は大人で、子どもは脇役?
1987年から1995年にかけて放送されたファミリードラマ『フルハウス』。2016年よりNetflixで配信された続編ドラマ『フラーハウス』でも懐かしのキャストが再集結してファンを喜ばせた。しかし運命が違えば、ジョンの姿はそこになかったかもしれない。
『フルハウス』ジョーイ役のデイヴ・クーリエによる新しいポッドキャスト番組『Full House Rewind(原題)』。同番組の初回ゲストとして出演したクリエイターのジェフ・フランクリンは、かつてジョンが降板しようとしていたことに言及した。
きっかけは最初の読み合わせ。その場にはジョンを一目見るためにスタジオや放送局からお偉い方が集まっていたという。当時のジョンは、今も続く長寿ドラマ『General Hospital(原題)』でデイタイム・エミー賞候補になるなど、注目の若手俳優だった。
ジョンにとってもスターとしての実力を証明する絶好の機会だったに違いないが、ステファニー役のジョディ・スウィーティンが注目をさらってしまったようだ。フランクリンによると、この読み合わせで当時5歳だったジョディが特大ホームラン級のジョークを放ったのだという。デイヴは「ジョンと一緒に部屋を出たことを覚えてる。彼は“番組全体が彼女のものになる。こんなのやってられないよ”って感じだった」と振り返った。
このことについてジョン自身もトーク番組『Hot Ones(原題)』でコメント。『フルハウス』における子どもたちの役割の大きさを勘違いしていたことが苛立ちの原因だったと説明している。「『フルハウス』は…嫌いだったよ。最終的には大好きになったけど、企画段階では『Bosom Buddies(原題)』のような作品だったはずなんだ。子どもたちがちょい役で出るバージョンのね」
『Bosom Buddies』とは1980年から1982年にかけてABCで放送されたシットコムで、ピーター・スコラーリとトム・ハンクス演じる独身の広告マンたちが唯一借りられるアパートが女性専用だったため、そこに住むために女装をしなければならない彼らの姿を描いたコメディ。フランクリンは同作の製作・脚本に関わっていた。
あくまでもメインキャストは大人で、子どもたちは脇役だと思っていたジョンは、子役のキャスティングにものすごく長い時間がかけられていることを不思議がっていたものの、実際に大きな違和感を覚えたのは読み合わせの時だった。「読み合わせでみんなが座ってセリフを読み始めたら、ステファニー役のジョディ・スウィーティンが彼女のセリフを読み始めた時にみんな死ぬほど笑ったんだ。本当に叫ぶくらいにね。俺は“ここで何が起きてるんだ?”って感じだった。みんな、俺のセリフも聞こえないくらいめちゃめちゃ笑ってたんだよ」
その後、会場だったホテルのロビーへ飛び出したジョンは、電話でエージェントに“マジでこの作品から降ろしてくれ”と言うほど腹を立てていた。それでも、ダニー役のボブ・サゲットや駆けつけたエージェントからなだめられたりアドバイスされたりしたため、留まることを決意したという。
「長い間そのことで闘った。それから最終的に“俺は何をやってるんだ”って思ったんだ。優しさと思いやりに満ちた素晴らしい作品を自分たちは作り上げたのであり、この作品にメインキャラクターなんていないことに気がついた。メインキャラクターは愛で、俺たちは普通ではないけれども、愛に満ちた家族の完璧な例だった。それは当時のニューノーマルで今でも型破りな家族だ」と話し、最終的には留まるという決断をしたことを誇りに思っているようだ。
ジョンが若い共演者に抱いていた不満など、当時についての暴露話を披露するのは今回が初めてのことではない。以前にもミシェルを演じたアシュレイ&メアリー=ケイト・オルセン姉妹を一度はクビにさせたことなどを明かしていた。しかし最終的には家族として唯一無二の相性を見せ、時代を超えて愛される歴史的ドラマに。彼がこうした話ができるのも、絶対的な絆を信じているからかもしれない。(海外ドラマNAVI)