『シークレット・インベージョン』オープニングクレジットが批判される理由とは?

6月21日(水)よりDisney+(ディズニープラス)にて新作マーベルドラマ『シークレット・インベージョン』第1話が配信開始となったが、そのオープニングクレジットが物議を醸しているようだ。一体、何が問題なのだろうか?

デリケートな時期にAIに仕事を奪われて…

本シリーズは、国際平和維持組織S.H.I.E.L.D.(シールド)の元長官ニック・フューリーが、あらゆる人物に“擬態”できる能力を持つスクラル人による「シークレット・インベージョン(見えざる地球侵略計画)」の阻止に挑むサスペンス・スリラー。マーベルの映画シリーズに引き続き、サミュエル・L・ジャクソンがニック・フューリーを演じる。

そのオープニングクレジットは、地球に侵略するスクラル人の宇宙船や破壊されるニューヨーク、登場キャラクターなどが、ペイントのような荒めのタッチのアニメーションで制作されている。全6話の本作で監督を務めたアリ・セリムが、米Polygonの取材で語ったところによると、Method Studiosが制作したデザインをAI(人工知能)が生成したのだという。

「AIの使用は番組のテーマに合っていると思った」と語る監督は、「AIベンダー(AIモデルやAIシステムの開発を事業とする企業)に連絡したのも、それが目的の一つでした。擬態できるスクラル人のアイデンティティから、“一体、誰がこれを作ったんだろう?”というテーマで、そのアイデアが生まれたんです」と説明した。

しかしAIの使用は、オープニングクレジットを手がけていたかもしれないグラフィックデザイナーやアニメーターから仕事が奪われたことを意味し、セリム監督の発言がネット上で物議を醸す事態に。しかも現在、ハリウッドでは全米脚本家組合によるストライキの真っ只中だ。その背景には仕事の待遇改善だけでなく、AI導入による仕事減少の危機感もあると見られており、「監督の発言は、ストライキに参加している全アーティストと脚本家の傷口に塩を塗ったようなものだ」との意見も寄せられている。

そのほかにも、「『シークレット・インベージョン』の第1話は大好きだけど、オープニングクレジットにAIを使うなんて、マーベルは(ビジネスを)もっとうまくやるべきだ」といった、反発の声が数多くSNSに投稿されている。

AIでオープニングクレジットが制作された『シークレット・インベージョン』は、毎週水曜日に新エピソードが配信される。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline

Photo:『シークレット・インベージョン』ディズニープラスにて6月21日(水)より独占配信 ©2023 Marvel