シーズン9の最終話、ボート転覆!隊員たちの運命は?…という荒技的クリフハンガーで、ファンの心をグイっと一つに束ねたあざとさは、このシリーズを家族のように愛しているから許すとして、「みんな大丈夫なのか?」という規則的な心配と「全員お亡くなりになって新シーズンが始まるわけないでしょ」と妙な安心感が入り混じる中、ついに『シカゴ・ファイア』シーズン10が日本でスタートする。
『シカゴ・ファイア』シーズン10【レビュー】
怒涛の展開は健在
正直ここまでくると、前述のように家族同然、親戚同然、物語がマンネリ化していようと、既視感があろうと、誰と誰がくっつこうと、おなじみのメンバーが登場し、悲喜こもごも背負いながら活躍していてくれたらそれでいい(事故死はいや!)…という境地に達している。ある程度の“お決まり”こそが真骨頂なのだ。
それでもケイシー(ジェシー・スペンサー)とブレット(カーラ・キルマー)&セブライト(テイラー・キニー)とステラ(ミランダ・レイ・メイヨ)の過剰なイチャイチャ問題(笑)や、クルース(ジュオー・ミノーソ)を苦しめるアクシデント問題、さらにはウォレス署長(イーモン・ウォーカー)の昇進・移動問題などなど…視聴者の興味をそそる色恋、心配事が次々と展開し、その合間、合間に、ビル火災や車のクラッシュ事故など、緊迫のアクションシーンをしっかりサンドしているところは、シーズン10でも健在。相変わらずこのバランスが絶妙に心地いい。
『シカゴ・ファイア』ファミリーに感謝!
ところで、もう皆さんニュースなどでご存じのように、『シカゴ・ファイア』シリーズをシーズン1から支えてきたはしご隊のエース、ケイシーが本シリーズでシカゴ消防局51分署を離れることに(そのエピソードにはあえて触れない)。とても悲しいことではあるが、10年以上にわたって家族を支えてくれたことに、感謝の言葉しか浮かばない。
移民の国・アメリカで製作される長寿ドラマは、日本と違って登場人物がめくるめく変わっていく。そんな中でも、これまで大黒柱であるケイシー、セブライト、そしてウォレス署長がどっかり腰を据えて支えてきたことに、改めて敬意を表したい。シーズンも二桁の10を記録し、本シーズンの第5話では合計200話に到達するのだとか。ケイシーが去ったあと、このシリーズはどうなってしまうのか?という不安もあるが、まずは「ありがとう」の気持ちを込めて、彼の笑顔と勇姿を目に焼きつけたい。
(文/坂田正樹)
★『シカゴ・ファイア』シーズン10 AXNにて独占放送中★
Photo:『シカゴ・ファイア』© 2021 NBCUniversal Media, LLC