アガサ・クリスティー原作「シタフォードの秘密」がドラマ化へ

“ミステリーの女王”アガサ・クリスティーの長編小説「シタフォードの秘密」が、インドの動画配信サービス「SonyLIV」でドラマ化されるという。米Deadlineが伝えた。

ミス・マープル作品としてドラマ化されたことも

1931年に発表された「シタフォードの秘密」は、デヴォン州ダートムアで起きた事件をめぐるミステリー。数日前から降り続く雪によって動きが取りにくい村人たちが、シタフォード荘で降霊術会を行ったところ、霊は荘の所有者であるトリヴェリアン大佐の死を告げる。そのお告げを気にした大佐の親友バーナビー少佐は雪の中、大佐が現在暮らす約10km離れたエクスハンプトン村へと赴くが、お告げ通りに大佐は何者かに殺されていた…。

ダートムアが舞台で、同地の刑務所から脱獄した囚人の話も出てくるなど、アーサー・コナン・ドイル著のシャーロック・ホームズ作品「バスカヴィル家の犬」との共通点も多いこの原作は、英BBCでドラマ化されることが先月決まった「殺人は容易だ」と同じく、エルキュール・ポワロやミス・マープルといったクリスティー作品の有名な探偵は出てこない。それでも何度かドラマ化されており、2006年に英ITVの『アガサ・クリスティー ミス・マープル』の一編として作られたほか、2018年にはフランスの国営テレビ France 2が手掛けるクリスティー作品のアンソロジードラマ『Les Petits Meurtres d'Agatha Christie(原題)』として放送された。また、ラジオドラマでポワロ役を長年演じたことで知られるジョン・モファットが参加したラジオドラマが1990年にBBCで作られている。

アガサ・クリスティー ミス・マープル

今回のインド版のドラマ化では、監督・プロデューサー・脚本家・音楽監督としての顔を持つヴィシャル・バードワージ(『モトゥとパトルー:ジャングルの王』)がメガホンを取る。バードワージはウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ハムレット」や「オセロ」、「マクベス」を犯罪やスリラー色の強い映画へと作り変えており、彼が脚色も担当する今回の企画も同じように大幅な変更が加えられることになりそうだ。

子どもの頃にクリスティーのミステリーをすべて読んできたと語るバードワージは、「彼女のプロットやキャラクター、設定はこのジャンルにおいて並ぶものがおらず、今日でも人々をワクワクさせる魅力があります」と述べている。

2013年に誕生したインド発の動画配信サービス「SonyLIV」は、ここ数年の間でヨーロッパや北米、オーストラリアなどにも上陸。2025年までに世界的なプラットフォームへと成長するという目標を掲げている。日本にもそう遠くない未来にやってくるのだろうか。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline

Photo:アガサ・クリスティー/『アガサ・クリスティー ミス・マープル』© Agatha Christie Ltd. (a Chorion company) 2005 © Agatha Christie Ltd 2013