大ヒットミュージカルドラマ『Glee/グリー』のレイチェル役で知られるリア・ミシェル。母となり子育てに奮闘しているリアだが、今月ブロードウェイミュージカルで大々的に表舞台に復活した。そして、以前報じられた『Glee』の元共演者との確執など、過去と今の自分自身やキャリアについての思いをインタビューで語った。米New York Timesが報じている。
レイチェルも憧れた『ファニーガール』
リアが出演するミュージカルは『Glee』ではレイチェルも憧れ、歌った『ファニーガール』。オリジナルキャストの代わりとして、次にリアが主人公ファニー・ブライス役で出演すると発表されたときには、チケット1枚の値段が2600ドルまで上がり、今でも500ドル前後をキープしほぼ完売状態だ。今でも続くその人気を見せつけたが、自分は変わったと話すリア。
『Glee』キャストとの確執
リアは2年前、米ミネソタ州ミネアポリスの郊外でアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド氏が白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、黒人に対する不当な扱いをなくすようコメント。しかし、その発言に対し『Glee』のシーズン6でジェーン役として出演していたアフリカ系女優のサマンサ・ウェアがリアから差別的行為を受けていたことを主張。共演者もそれに賛同していた。 また、リアが『Glee』以前に出演していたミュージカル『春のめざめ』の共演者からもいかに彼女の態度が酷かったかという内容のツイートが続き、一時は「Lea Michelle Cancelled(リア・ミッシェル終わった)」という言葉がトレンドになるまでに。謝罪はしたものの、世間からは差別主義者のようなレッテルを貼られ、当時妊娠中だったリアはそのままひっそり出産を終えた。現在36歳のリアは、自分の仕事ぶりが尋常ではないこと、時には欠点もあることを認めている。
「私はギリギリまで自分を追い詰めるように取り組み、本当に一生懸命働くの。絶対にミスは許さない。その完璧主義とプレッシャーのせいで、周りが見えなくなっていた」
子役から『Glee』での大ブレイク
そんなリアの姿勢は、ブロードウェイの子役時代にまでさかのぼる。ブロードウェイでは常に最高のレベルで演じることを期待され、半ば「ロボットのような状態」になっていたという。8歳の時、父(ユダヤ系の小売業店主)と母(イタリア系カトリックの看護師)とニュージャージー州テナフリーに住んでいたリア。そんな彼女の演技のキャリアは思いがけないきっかけで始まるのだ。元々はリアの友人が、ブロードウェイ『レ・ミゼラブル』のオーディションに行く予定だったが、その子の父親が行けなくなったためリアの母が送っていくことになったという。リアはどうしても一緒に行きたいと付いていき、結果、若きコゼットとエポニーヌの2役を射止めることになったのだ。その後、14歳のときに「春のめざめ」でウェンドラ役を演じる。この役は、19世紀のドイツの家庭で、ティーンエイジャーが性的な欲望を追求するというもので、リアは舞台上で共演者のジョナサン・グロフ(『Glee』ジェシー役)とベッドシーンを演じるように言われ、やり遂げた。その後、ジョナサンがライアン・マーフィーとのディナーにリアを誘い、22歳の時に『Glee』で大ブレイクした。
大ヒットとなった『Glee』に出演していた当時の態度を振り返ったリア。
「リーダーであることの重要性と価値を、今は本当に理解している。それは、カメラが回っているときだけでなく、回っていないときもきちんと仕事をするということ。当時の私にとってカメラの外でのことは重要ではなかった」
結婚、出産を経て変わったリア
2019年にアパレルメーカーAYR社長のザンディ・ライヒ氏と結婚。披露宴で司会を務めたマーフィーは「リアはいつも自分自身のことばかり話していたのに、今回初めて、自分が次に“何をしたいか“を話していた」と、ジョナサンに驚いたように話したという。
結婚し、子どもをもうけ周りからも見てとれる変化を遂げたリア。「誰もがいろいろなことを乗り越えてきたと思う。私は今ただこの舞台に来て、準備をして、良い仕事をし、ここが共演者のスペースでもあるという事実を尊重しなければいけない」役柄になりきり、妻として、母としてやっていくことに集中しているという。レイチェルなら、自分の『ファニーガール』での演技がオリジナルキャストではないからとはいえ、トニー賞の対象外だと怒るかもしれないが、リア本人は気にしていないという。
「全く気にしていないというと、ものすごい嘘を言っていると思われるかもしれないわね。でも、本当にどうでもいいの。このファニー・ブライスという役を演じられることが大事だから」私生活の状態やプロフェッショナルなキャリアを考えても、「今までで一番準備ができていると思います」と舞台初日前に語った。その後迎えた初日は関係者も見守る中、6、7回とも言われるスタンディング・オベーションで幕を閉じた。嬉し涙を流すリアの姿は、『Glee』で『ファニーガール』の楽曲を披露したレイチェルの晴れ舞台よりも、多くの観客から声援を受けていたようだ。
(海外ドラマNAVI)
Photo:リア・ミシェル© NYRI/FAMOUS