『シカゴ』『LAW & ORDER』などのクロスオーバーイベント誕生秘話

米NBCでは『シカゴ・ファイア』や『シカゴ P.D.』など同じフランチャイズの作品がクロスオーバーするエピソードが大きな人気を博している。クリエイターのディック・ウルフは『シカゴ』シリーズの他に、『LAW & ORDER』や『FBI』シリーズでもクロスオーバーを展開しているが、米Deadlineがクロスオーバーイベントの誕生秘話や進化の過程を紹介している。

NBC以外では、米ABCの『グレイズ・アナトミー』『STATION 19』、米FOXの『9-1-1:LA救命最前線』『9-1-1: Lone Star』、米CWのアローバースなどクロスオーバーイベントは定番となりつつあるが、一体どのようにしてこのコンセプトが誕生したのだろうか?

最初に放送されたクロスオーバーエピソードは、ウルフが指揮を執る『LAW & ORDER』と、トム・フォンタナが製作総指揮を務めた犯罪捜査ドラマ『ホミサイド/殺人捜査課』だった。このアイデアは生まれたのは約27年前で、ウルフとフォンタナ、『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』などを手がけるウォーレン・リトルフィールドによる何気ない会話から生まれたのだという。

そして、『LAW & ORDER』と『ホミサイド』は3度にわたってクロスオーバーが実現。その後もウルフは精力的に他の作品でもクロスオーバーエピソードを製作し続け、その度に質が高くなり徐々に規模も拡大していった。

現在、ウルフはNBCで“One Chicago(ワンシカゴ)”と呼ばれるブランドナイトを導入。『シカゴ・ファイア』と『シカゴ P.D.』、『シカゴ・メッド』を水曜の夜に放送し、3つの番組を又にかけた3時間の一大クロスオーバーイベントも開催した。

同じシリーズの番組を同じ曜日の夜に放送することで、クロスオーバーエピソードの放送日以外にも続けて番組を観てもらえる確率が高くなることが判明し、ウルフは木曜にも同じ試みを実施。『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』と復活した『LAW & ORDER』シーズン21、スピンオフドラマ『LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班』を同じ夜に続けて放送している。

この現象は他局にも広がり、米CBSは『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』『NCIS:ハワイ』を月曜、ABCは『グレイズ・アナトミー』と『STATION 19』を木曜、FOXは『9-1-1: LA救命最前線』と『9-1-1:LONE STAR』を月曜に続けて放送。そのような放送枠を確保することでクロスオーバーイベントの実現が容易になり、さらに視聴率増加も大きく見込めるようだ。

なおウルフは、『FBI:特別捜査班』をCBSに単品ではなくスピンオフも含めて売り込んだというから、どれほどフランチャイズとクロスオーバーイベントが現在のTV業界に根付いているかという証しではないだろうか。計画通り『FBI』は2本のスピンオフ『FBI:Most Wanted~指名手配特捜班~』『FBI: International(原題)』を生み出している。今後も、TV業界でフランチャイズとクロスオーバーは永続的に進化して拡大していきそうだ。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『シカゴ・ファイア』© 2019-2020 Universal Studios. All Rights Reserved./『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』© 2016 Universal Network Television LLC. All Rights Reserved.