これが『キングスマン』の原点だ!黒縁メガネ男子が躍動する『ハリー・パーマー 国際諜報局』の“萌え”ポイントを徹底調査!

『007』と双璧をなし、『キングスマン』がオマージュを捧げたスパイ映画の最高傑作『国際諜報局』が57年ぶりにドラマシリーズとなって完全復活! 『ピーキー・ブラインダーズ』『ギャング・オブ・ロンドン』の若手演技派俳優ジョー・コールが黒縁メガネで躍動する最新ドラマシリーズ『ハリー・パーマー 国際諜報局』(全6話)が動画配信サービス「スターチャンネルEX」にて配信中、さらには6月7日(火)よりTV放送「BS10 スターチャンネル」にて独占日本初放送がスタートする。これを機に、本作をより深く、より楽しく視聴していただくために、大好評を博したオリジナル映画の歴史を辿りながら、5つの“萌え”ポイントをまとめてみた。

スターチャンネル独占配信・放送『ハリー・パーマー 国際諜報局』あらすじ

1963年、冷戦下の西ベルリンに配属されていた英国陸軍軍曹ハリー・パーマー(ジョー・コール)は、軍の物資を盗み東側に横流ししていた罪でロンドンの軍事刑務所に投獄される。同じ頃、核兵器を開発していた英国人教授が誘拐される事件が起き、ドルビー少佐(トム・ホランダー)率いる特別諜報機関W.O.O.C.が救出作戦に動き出す。ドルビーは誘拐に関与している男と一緒に写真に写っていたパーマーを訪ね、服役免除を条件に誘拐事件解決に協力することを要請。かくして諜報員になったパーマーは、ベルリン、ベイルート、そして米国が核実験を行う太平洋の環礁へと世界を飛び回る。果たして事件の黒幕は誰なのか…。

これだけは知っておきたい5つの“萌え”ポイント

➀ライバルはジェームズ・ボンド!『キングスマン』の黒縁メガネ・キャラはハリー・パーマーがモデル!

メガネ男子といえば、今でこそ、「知的でクール」とか、「おしゃれでセクシー」とか、何かともてはやされる存在になったが、1960年代は、映画のヒーロー役なんてお呼びではなかった。それを180度変えたのが、映画『国際諜報局』だ。1965年、プロデューサーのハリー・サルツマンとアルバート・R・ブロッコリは、イアン・フレミングのスパイ小説『007』シリーズを映画化し大成功を収めていたが、その裏で、ハリーはこっそり『007』へのアンチテーゼとして執筆されたレン・デイトンの大ベストセラー小説「イプクレス・ファイル」にも注目していた(派手好みのアルバートと方向性の違いを感じていたという一説もあり、『007/黄金銃を持つ男』(74)を最後にシリーズから離脱している)。

そして1965年、ハリーはレンの小説を同名タイトルで映画化。日本では『国際諜報局』というタイトルで公開され、大ヒットを記録した。当時、無名だった英国俳優マイケル・ケインは、スキのないパーフェクトヒーロー“ジェームズ・ボンド”とは対照的なキャラクター、“ハリー・パーマー”役を熱演。黒縁メガネでコックニー訛り(東ロンドンの労働階級出身の言葉)、料理とクラシック音楽をこよなく愛する皮肉屋スパイというかつてないヒーロー像は、瞬く間に観客の心を掴み、英国アカデミー賞で作品賞を含む3部門受賞の快挙も! マイケルは一躍スターとなり、『パーマーの危機脱出』(66)、『10億ドルの頭脳』(67)と立て続けに続編が公開された。

インテリジェンスに富んだ風貌の中に、したたかさと、人間らしさを秘めた新たなヒーロー、ハリー・パーマー。その象徴とも言える“黒縁メガネ”は、『国際諜報局』公開とともに“モテ”アイテムとして認知され、大ヒット映画『キングスマン』にも継承されることになるのだ。

ハリー・パーマーが異色のヒーローと言われる所以は、彼がエリートではなく、労働者階級出身の犯罪者という点。決してイギリス国家や女王陛下のためではなく、懲役を免除するかわりに「スパイになれ!」と強要され、無理やり作戦に参加させられているところが実に面白い。それにしても、数々の危機を乗り越えながら、どんどんスパイとして逞しくなっていくハリーの姿には胸熱だ。彼の悪戦苦闘ぶりに(表向きはクールに)ハラハラしながらも惹かれていくジーン・コートニーとの恋模様も気になるところ。

➁映画『国際諜報局』を正統に受け継ぐ本ドラマシリーズでは、ハリー・パーマーを取り巻く世界をさらに深堀り!

『ミッション・インポッシブル』のイーサン・ハントや、『ジャック・ライアン』シリーズの同名主人公など、キャラクターを打ち出したスパイ映画は数多く存在するが、スーパーハイスペックヒーローの『007』=ジェームズ・ボンドと、元祖黒縁メガネヒーローの『国際諜報局』=ハリー・パーマーを超える“濃い”キャラクターは皆無だ。その証拠に、『裸の銃を持つ男』『オースティン・パワーズ』『ジョニー・イングリッシュ』シリーズなど、両作にオマージュを捧げたパロディー映画は後を絶たず、『キングスマン』シリーズに至っては、ハリー・パーマーの進化系ともいえるキャラクターが黒縁メガネ人気にさらに火をつけたと言えるだろう。

そんなスパイ映画の最高峰『国際諜報局』を正統に受け継ぐドラマシリーズとして製作された『ハリー・パーマー 国際諜報局』では、かつてハリー・パーマーが朝鮮戦争に従軍していたこと、離婚を迫られている妻がいること、そして軍法違反行為で投獄されるまでの経緯など、映画版では描かれなかった彼のバックグラウンドも詳細に描写。ルーシー・ボイントン演じるジーン・コートニーも、スパイ活動だけでなく、恋愛、結婚、自立など60年代の女性が持っていたであろうリアルな葛藤を描き、キャラクターに深みをもたらしている。さらに米国が核実験を行う太平洋環礁の島やベルリンの壁、ベイルート、ヘルシンキなど、舞台が世界にまたがり、スケール感が大幅にアップしている点も魅力だ。

また、その一方で、60年代風のカラフルなオープニングシーンや、パーマー好みのフレンチプレスで淹れるコーヒー、お得意の料理シーン、斜めに捉えた象徴的なカメラアングルなど、オリジナル映画版へのオマージュも数多く見られ、コアなファンにも配慮した演出も見逃せない!

<往年の名作をリメイク(映画化またはドラマ化)した主な作品>

●ドラマ『スパイ大作戦』→映画『ミッション・インポッシブル』シリーズ
●映画『パトリオット・ゲーム』他シリーズ→ドラマ『トム・クランシー/ CIA分析官 ジャック・ライアン』
●映画『コンドル』→同名ドラマ化
●映画『ニキータ』→同名ドラマ化
●ドラマ『0011ナポレオン・ソロ』→映画『コードネーム U.N.C.L.E.』
●ドラマ『電撃スパイ大作戦』→映画『ボーダーランズ』他多数

➂元祖黒縁メガネスパイ、ハリー・パーマーを演じたマイケル・ケインに引けをとらないジョー・コールの魅力

ドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』や『ブラック・ミラー』『ギャング・オブ・ロンドン』などで海外ドラマファンにはお馴染みの若手演技派俳優ジョー・コール。『シークレット・アイズ』や『暁に祈れ』など映画の世界でもエッジの効いた超個性的なキャラクターを演じ、ジャレッド・レトやホアキン・フェニックスのアプローチを継承する憑依型俳優のイメージが強いが、今回はその熱すぎる個性を封印し、黒縁メガネが板についた人間味あふれるスパイ、ハリー・パーマー役で新境地を拓いている。

オリジナル映画版のマイケル・ケインは、少し病んだ目(主観です!)が魅力的で、スラッと背が高く、存在感は抜群。自身の意志で目の前に起こるトラブルに対抗していく強さを感じるが、ジョーが演じるハリー・パーマーは、スパイに抜擢されてからは終始受け身、目の前のトラブルに巻き込まれながら、ギリギリのところで機転を働かせ、危機を脱するハラハラ感が魅力。黒縁メガネの奥に光る眼は、マイケルとは対照的にとてもピュアであどけなく、なんだか放っておけないキャラクターなのだ。

当初、ジョー・コールと衣装デザインのキース・マッデンは、マイケル・ケインが着用したメガネと同じ「カーリー&パクストン」のものを使用する予定だったが、ジョーに似合わないと判断し、『キングスマン』のコリン・ファースと同じメガネブランド「カトラー アンド グロス」 に変更。ジョーは片っ端から試着し、運命のメガネ「0692 Optical Rectangle Glasses」に出会った。

➃1960年代の街並みを舞台に、キャラクターごとに魅せるオールドファッションにうっとり!

時代は、ジョン・F・ケネディがキューバ危機に直面する1960年代前半。パソコンもスマホもなく、オフィスでは電話とタイプライターの音が鳴り響いている。居心地のいいダイナー、針を落とすレコードプレイヤー、古き良き街並みを見渡せば、フォルクスワーゲン1500やMGBロードスターなど車ファン垂涎のクラシックカーが惜しげもなく登場する。まさにオールディーズの世界が隅々まで再現されていた見事な美術セット。こだわりはそれだけではない。ハリー・パーマーをはじめ、キャラクターごとの衣装も、デザイナーのキース・マッデンが、「1年違うと全く違うものになる」という60年代ファッションを徹底的に研究し、見事に再現されているのだ。

<華麗なる女性スパイ>

●ジーン・コートニー(ルーシー・ボイントン)
ドルビーの部下の諜報部員。オックスフォード大学出身のエリートでキャリア志向だが、家族や婚約者はBBCのお茶くみ係だと思っている。映画『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーの恋人役でブレイクしたルーシー演じるジーンのクールビューティぶりが半端ない! オリジナル映画版ではハリー・パーマーの添え物的なポジションだったが、本ドラマでは敏腕な諜報員として対等のポジションに。ハリーへの想いをほんのり匂わせる場面も!

彼女のファッションがまた素晴らしいのだが、キースはオードリー・ヘプバーン、ナタリー・ウッド、カトリーヌ・ドヌーヴなど往年の名女優を参考にしつつ、最大のインスピレーションは初期のジーン・シュリンプトン(60年代のスウィンギング・ロンドンを代表するスーパーモデル)とフォトグラファー、デヴィッド・ベイリーとのコラボ作品から受けたという。

<個性際立つ男性スパイ陣>

●ハリー・パーマー(ジョー・コール)
マイケル・ケインの単なる物真似ではなく、 新たなハリー・パーマーのルックを追求。労働者階級出身のハリーには、ライバル(?!)ジェームズ・ボンドのような光沢のある生地は使用せず“ガッツ”があるもの、そしてスタイリッシュになりすぎない控えめなスタイルをチョイス。とりわけ、キースがヴィンテージショップで見つけてきて仕立て直したスーツをジョーは一番気に入っていたという。

●ウィリアム・ドルビー(トム・ホランダー)
ハリー・パーマーの才能を買い、刑務所から出してスパイ活動に参加させる特別諜報機関W.O.O.C.のトップ。上流階級出身のドルビーは、ドラマ『おしゃれ(秘)探偵』のジョン・スティードを参考にしたのだとか。かつてジョン・レノンが住んでいたこともあるモンタギュー・スクエア34番地にある「メイソン・アンド・サンズ」で、奇跡的な縁で出会えたポール・マッカートニーのカリスマテーラー、ヘンリー・ローズの手により完璧な英国紳士の衣装が完成したという。

●ポール・マドックス(アシュリー・トーマス)
ジーン・コートニーが西ベルリンのミッションに関連してコンタクトをとるCIAエージェント。こちらはもう王道、ハリー・パーマーとは逆のジェームズ・ボンド風のスタイリッシュなルックを意識した。

➄『ブラック・ミラー』のジェームズ・ワトキンスをはじめ、製作スタッフも超一流が終結!

オリジナル映画『国際諜報局』シリーズで製作を務めたハリー・サルツマンの子ども、ヒラリー&スティーヴン・サルツマンが製作総指揮として参加しているほか、本シリーズ実現のために超一流スタッフが終結。メガホンをとるのは、SF アンソロジー『ブラック・ミラー』が高い評価を受け、プライム・タイムエミー賞など多くの賞を受賞したジェームズ・ワトキンス。レン・デイトンの著作とハリー・パーマーの大ファンであることを公言しており、今回、長年の夢が実を結んだ。また、脚本には、映画『トレインスポッティング』で英国アカデミー賞を受賞し、『普通じゃない』『ザ・ビーチ』など名匠ダニー・ボイルと数多くコンビを組んでいるジョン・ホッジが担当。TVドラマ脚本は初となる。衣装デザインは前述のキース・マッデンが手腕を発揮しているが、ワトキンス監督とはとは映画『バイオレンス・レイク』でタッグを組んでおり、息の合ったところを見せている。

57年ぶりの傑作復活に加え、キャラクターをさらに深堀りした充実の内容、60年代のカルチャーを見事に再現した美術&衣装、そして何より、ヒリヒリするような情報戦を楽しみながら、元祖“黒縁メガネ”男子の躍動をたっぷりと堪能できるという贅沢さ。最新ドラマ『ハリー・パーマー 国際諜報局』は、スパイ映画好きの男性はもとより、ファッション大好きな女性ファンにもぜひお薦めしたい傑作シリーズだ。

配信および放送情報

スターチャンネル『ハリー・パーマー 国際諜報局』

海外ドラマ 『ハリー・パーマー 国際諜報局』 (全6話)

【配信】スターチャンネルEX

<字幕版><吹替版>絶賛配信中
作品公式ページ

【放送】BS10 スターチャンネル
【STAR1 字幕版】6月7日(火)より毎週火曜23:00ほか 独占放送スタート
※6月5日(日)15:00より <吹替版>第1話 先行無料放送 ※STAR1で吹替版を放送
【STAR3 吹替版】6月9日(木)より毎週木曜22:00ほか 独占放送スタート
放送詳細ページ:https://www.star-ch.jp/drama/harrypalmer/sid=1/p=t/

(坂田正樹)

 

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