『ステーション・イレブン』マッケンジー・デイヴィス&ヒメーシュ・パテルにインタビュー!コロナ禍の撮影で「スタッフの顔を見て感動した」

パンデミックを経験した者たちの数奇な運命が時代を超えて交錯するサスペンスヒューマンドラマ『ステーション・イレブン(原題:Station Eleven)』が、ついに日本でも本日4月29日(金)よりU-NEXTにて独占配信開始となる。

2014年に発表された大人気SF小説を原作に、エミー賞&グラミー賞受賞経験のある気鋭のクリエイター、ヒロ・ムライが監督・製作総指揮を務めた話題の本作は、原作に劣らず最高レベルの評価を獲得しており、米ニューヨークタイムズなどで「美しすぎる」「静かで深みのある物語」と大絶賛されている。

そんな『ステーション・イレブン』の日本上陸に先駆け、大人になったキルステンを演じるマッケンジー・デイヴィスと、子どものころのキルステンを助け保護者的な立場になるジーヴァンを演じたヒメーシュ・パテルにインタビューを行い、作品について語ってもらった。

――本作は、パンデミックが始まる何年も前に執筆された小説が元になっていますが、コロナ禍を実際に体験した後では、ロケやこの作品への向き合い方は変わりましたか?

ヒメーシュ:第二話はパンデミックの前に撮影したのでそのままですが、それ以外全部変わりました。ストーリーはもちろん原作と同じですが、パンデミックを実際に体験して、自分たちの考え方も変わりましたしね。

マッケンジー:プロダクションの面で色々変わりました。冬のトロントで撮影していましたが、ロックダウンになってしまい、なかなか大変でした。

――コロナ禍での撮影で環境は変わりましたか?

ヒメーシュ:僕はいつもスタッフのみんなと仲良くなりたいと思っているのですが、今回はシールドをしたり消毒をしたりしていて、きちんと顔を見ることもなかったんです。ロケの最終日にカップケーキでお祝いをしたのですが、食べるためにマスクを外していたので、それで初めてスタッフの顔を見たんですよ。ものすごく変な感じでした。5ヵ月間も一緒にいて初めて顔を見たなんてね。ぐっとくるものがあり感動しました。とてもパーソナルな思い出です。

マッケンジー:最初は空港での撮影がメインで、シールドやマスクをしていたんですが、暗すぎて何も見えなかったです。ものすごく近寄らないと人の顔も見えないくらいだったので、いつも霧の中をさまよっているような感じでした。でも、撮影するためにマスクをとってちゃんと見えるようになると、反射的に演技ができましたね。

――本作ではシェイクスピアがとても印象的に使われていますが、このような世紀末のドラマにシェイクスピア作品が使われることはユニークだと思いますか?

マッケンジー:シェイクスピア作品は今という時代になっても、その構造や信憑性で新しい意味を模索したものが描かれて続けています。私自身、先日『マクベス』や『ハムレット』のリバイバルを見たばかりですが、今でも誰もが共感できるマテリアルだと思いますね

ヒメーシュ:マッケンジーの言う通りだね。

『ステーション・イレブン』アーサー場面写真

――原作は、俳優などのアーティストを描いたものですが、お二人はそのようなキャラクターに親近感を覚えることはありますか。芸術に捧げる人生というのはどういうことだと思いますか?

ヒメーシュ:ワオ、マッケンジー、どう思う?答えて。僕はなんて言っていいかわからないから(笑)

マッケンジー:任せて!(笑)脚本家のパトリック・サマーヴィルとも話しましたが、本作は現実世界で今起こっていることのエコーなのです。芸術に限らず、プライベートなことでも恋愛でも何でもいいのですが、みんな何かに集中して目標に向かって進んでいく。そんなときに、生と死の間を彷徨っているくらい真剣に何かに身を捧げることもあると思います。

――映像美も素晴らしい作品ですが、ロケの場所はどのあたりでしたか?また、特に気に入った場所はありますか?

ヒメーシュ:1、2月のカナダで撮影を始めたのですが、とても寒かったな。こんなに雪を見たことはなかったです。あれを経験したらもうロンドンの雪には文句を言えませんね。オンタリオ州のマスコーカ地区で撮影したことがありましたが、全てが銀世界で静かで平和でとても美しかったです。湖が完全に凍っているのも初めて見ました。とても綺麗でしたね。

マッケンジー:楽団の“トラベリング・シンフォニー”は、主にトロント郊外で撮影しました。私はバンクーバー出身のカナダ人なのでトロントは何度も訪れていますが、とても美しかったです。雪だったからではなくて、夏から秋のオンタリオはとても綺麗なので、それを思い出しました。半分は室内での撮影だったのですが、改めてカナダは美しいと思いましたね。そういえば、6月に一度雪が降って、撮影ができない日があったんですよ。

ヒメーシュ:そうだったね。僕の最後の撮影は5月だったのですが、雪が降ったせいで延期するという話が出ましたからね。

『ステーション・イレブン』ジ―ヴァンとキルステン

――『ブリッジ ~国境に潜む闇』や『マニアック』で知られる脚本家のパトリック・サマーヴィルが本作に参加していますが、彼の過去の作品を見たことはありましたか?

ヒメーシュ:『マニアック』を見ました。パトリックは僕には理解できないような形で物語を考えていて、素晴らしいです。

マッケンジー:私も『マニアック』を見ました。パトリックは人間離れした頭脳の持ち主で、独自の世界がある人です。仕事もしやすいですし、色んなストーリーが詰まっていて、あらゆる側面からの展開を考えているような、そんなクリエイターです。

――もし本作と同じような状況になったら、どのような文化的遺産を博物館におきたいと思いますか?それぞれのキャラクターによって、価値観が異なると思いますから。

ヒメーシュ:そうですね…。ジーヴァンだったら、携帯電話ですかね。ある意味、彼の電話自体がキャラクターのように象徴的なものになるシーンがありますからね。

マッケンジー:キルステンも携帯はよく使っていましたしね。でも早い段階で携帯がない世界になったので、それに彼女は慣れたと思います。でも、私としては電話でいつでもすぐに借りられるレンタルバイクのシステムは最高だと思います。バッテリーもすぐなくなるものですが、今の世界でとても便利だと思いますし、個人的に大好きです。

――キルステンは『ステーション・イレブン』という本を何年も読んでいますが、彼女は何故あれにこだわっていると思いますか?

マッケンジー:内容にこだわっているのではないと思います。あの本は尊敬する人からもらったものなので、彼女にとって最後の宝物のようなもの。それにガイドブックのような意味もあるでしょうね。危険なほど大切なものでもあると同時に、持っていると落ち着くものでもあるのだと思います。

『ステーション・イレブン』キルステン

――本作はSFではありますが、もし他のジャンルに入れるとしたら何のカテゴリーだと思いますか。

マッケンジー:スペキュレイティヴ・フィクションだと思います。現実でパンデミックが起こったので、もうSFではないのではないのかな…と。過去200年ほど、人類はずっと色々な文明の利器を生み出し続けていました。でもこの作品では、小さな発明をしてなんとか生きている人々を描いています。ですので、ありえないような発明やテクノロジーを用いたすごいSFというジャンルよりも、現実世界でもありえそうなレベルのフィクションという意味で、スペキュレイティヴ・フィクションだと思いますね。

――ヒメーシュに質問です。『ステーション・イレブン』とNetflixの世紀末コメディドラマ『ドント・ルック・アップ』とほぼ同時進行で出演されていましたよね。同じようなジャンルのもので二役演じたのはどうでしたか?

ヒメーシュ:とても変な気分でした。偶然にも、どちらも世紀末の物語でしたからね。二作品ともパンデミックの前からプロダクションは始まっていたのですが、パンデミックが現実でも起こったので、今だに混乱していますよ。

――原作は世界的に人気のある小説ですが、ドラマ版を楽しみにしている小説ファンはどのようなことを期待できますか?

マッケンジー:原作に出てくるジーヴァンやキルステン、タイラーなどキャラクターや舞台は原作の小説と同じですし、印象的なシーンももちろんあります。ですが、本作は小説の世界観をさらに広げていると思います。原作者のエミリー・セントジョン・マンデルもドラマ版を見てとても気に入ってくれていました。きっと皆さんも楽しんでくださると思います。

――本作では、設定が暗いだけにユーモアと癒しが際立っているように感じましたが、いかがですか?

ヒメーシュ:そうですね。パイロット版をやっているときから、監督のヒロ・ムライとパトリックのユーモアが合わさり、それがこの作品全体のトーンになったと思います。面白い部分とドラマの部分がバランスよくできています。コミカルな部分があるからこそ、ドラマのシリアスな面が引き立つのです。

『ステーション・イレブン』キルステン

『ステーション・イレブン』(全10話)配信情報

4月29日(金)よりU-NEXTにて見放題で独占配信

(文・取材/Erina Austen)

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Photo:『ステーション・イレブン』©2021 Paramount Television Studios, a division of Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved